インドネシア・バンドン市近郊廃棄物処分場バイオガス回収有効利用調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名インドネシア・バンドン市近郊廃棄物処分場バイオガス回収有効利用調査
調査年度2005(平成17)年度
調査団体東北電力(株)
調査協力機関鹿島建設(株)、インドネシア国技術応用評価庁、西ジャワ州環境管理局
調査対象国・地域インドネシア(西ジャワ州)
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガス二酸化炭素, メタン
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間2008~2017
報告書概要版概要版(186KB)
詳細版本文(1.2MB) 本文 (269KB)
プロジェクト概要本プロジェクトは、インドネシア第3の都市である西ジャワ州バンドン市の中心から南に約25kmに位置するジャレコング廃棄物処分場において、有機物発酵により発生するバイオガス(Landfill Gas:LFG)を回収して発電事業を行い、温室効果ガスの排出削減を図るものである。同処分場は、オープンダンピング方式の処分場であり、同処分場から発生するLFGは回収されることなく大気中へ無制限に放出されている。本プロジェクトは、同処分場にLFG回収設備、LFG処理設備、発電設備を設置し、回収したガスを燃料として発電事業を行うものであり、本プロジェクトの実施により地域環境改善が図られるだけでなく、発電所の新設に伴い新規雇用機会が創出される等、地域社会・経済への波及効果が期待でき、インドネシアにおける持続可能な発展に寄与するものと期待される。
ベースラインの設定・追加性の証明ベースラインの方法論については、認定方法論ACM0001“Consolidated baseline methodology for landfill gas project activities”をベースとし、発電による化石燃料電源の代替効果を考慮した統合化方法論を適用する。現在、インドネシアでは、稼動中及び閉鎖した後の廃棄物処分場からLFG を回収することを義務付けた法令等の規制はなく、また同国内の廃棄物処分場においてLFG を活用した事例はない。また、同国における処分場の閉鎖方法は、一般的に廃棄物の表面を覆土する程度のものであり、特別な処理は行われていない。以上のことから、ジャレコング処分場閉鎖後の状況として最もあり得るシナリオは“閉鎖した廃棄物処分場を土で覆土した後、ガス抜き管を設置して、LFG をそのまま大気中に拡散させる”であり、これがCDM上のベースラインと判断される。
プロジェクトの追加性については、CDM理事会による“追加性の評価と証明のためのツール(Tool for the demonstration and assessment of additionality)”により検討した結果、本プロジェクトがCDMとして実施されることにより追加的であることが証明された。
GHG削減量本調査では、GHG排出削減量を評価する上で重要なパラメーターである廃棄物中の全有機炭素量(TOC)や分解速度に関連するk値を決定するため、ジャレコング処分場において3箇所のボーリングを行い、廃棄物層内部のごみサンプルの採取・分析を行うとともに、ボーリング孔を利用して観測用の井戸を設置し、発生ガスの成分等の測定を実施した。各ボーリング箇所から採取したサンプルを分析した結果、ジャレコング処分場の廃棄物中TOC含有率は平均で約10.6%となり、IPCCガイドラインのデフォルト値17%と比べて低いことが判った。また、分解速度が極めて遅いとされる木片起因のTOCを仮に含めない場合、同値は平均で約0.55%であり、本処分場のLFG発生ポテンシャルは総体的に低いという結論となった。これらの分析調査の結果をもとに、欧州で一般的に採用されている式に一次減衰モデルを適用し、本プロジェクトにおけるGHG排出削減量の検討を行った結果は以下のとおりである。

項 目
2008~2017年におけるCO2削減量
(CO2-トン)
メタンガス燃焼効果によるCO2削減量
174,059
系統電源代替によるCO2削減量
22,720
合 計
196,779
モニタリング本プロジェクトのモニタリングにあたっては,承認済みの手法であるACM0001“LFG回収プロジェクトに対する統合モニタリング手法:Consolidated monitoring methodology for landfill gas project activities”を用いる。本プロジェクトにおけるモニタリング項目、ポイント(図中の丸印)は以下のとおりである。
環境影響等本プロジェクトは、GHG削減という地球規模の面だけでなく、LFGの回収による異臭、悪臭の軽減といった周辺規模を含む環境改善に貢献するものである。想定される環境への影響として、建設期間中の各種騒音や振動、および運転期間中における発電機などからの排出ガスや騒音などが挙げられるが、設備規模や処分場内での施設設置などを考えれば、それらの影響はかなり限定的といえる。また、本プロジェクトは、同国の政令で定められている環境影響評価対象事業(発電容量10MW以上)には該当せず、手続きや内容がより簡易な環境管理計画(通称UKL)および環境モニタリング計画(通称UPL)の提出(または同等レベルの書類提出)により環境許認可が得られる見込みである。
事業化に向けてボーリングや廃棄物の化学分析等により検討を行った結果、ジャレコング処分場の廃棄物中に含まれる全有機炭素量の割合が当初予想よりも低く、また処分場の敷地面積についても拡張の可能性が大きいという見通しを立てていたものの、周辺住民の反発により、埋め立て部分が約3.6ha程度でほぼ閉鎖されている状況にあるため、所要のメタンガス量が得られる見込みが低く、結果として現状ではプロジェクトの事業性が低いという結論となった。しかしながら、以下の点でアップサイドの変化が生じた場合には、再度その可能性を検討する余地が生じると考えられるため、今後も本処分場を含むバンドン地域のゴミ問題の行方、インドネシア政府の政策について注視していくこととする。
① 処分場敷地面積の拡張
現在、バンドン市近郊で新規処分場の設置手続きが進んでいるが、そこでも住民の反対運動が起こっているとのことであり、ジャレコング処分場の本格的運用再開かつ敷地面積の拡張という選択肢が浮上してくる可能性も否定できない。
② 電力買取価格の引き上げ
同国政府は、2020年までに発電部門における再生可能エネルギーの割合を5%以上にするという方針を打ち出しており、OPEC加盟国でありながら石油の準輸入国に転落した同国にとって、化石燃料を代替する再生可能エネルギーの活用は重要な施策と位置付けられている。売電価格は収益性に大きな影響を与えるため、同国政府主導により電力買取価格引き上げの施策が打ち出されれば、本プロジェクトの実現性が高まることとなる。
③ CO2クレジットの市場価格上昇
CO2クレジットの市場価格が上昇することにより、本プロジェクト実現の可能性が高まることは明白である。