公益財団法人 地球環境センター

GEC友の会第12回エコツアーを開催

2014年12月12日

 2014年10月30日(木)にGEC友の会第12回エコツアーを開催し、晴天に恵まれたなか会員及び同伴者34名が参加しました。GEC友の会では、会員が地球環境の保全ための小さな努力を継続する力を養うため、これまで廃棄物のリサイクル処理やエネルギー関連施設などを訪問し、環境エネルギー対策を学習するエコツアーを開催してきました。

今回のテーマは生活レベルの創エネ
 現在、全国の原発が停止し、エネルギーの海外依存が非常に高まっている中、改めて、身近な生活レベルの創エネルギーについて考え、私たちの生活や環境問題を見つめ直す切っ掛けになればと、今回のツアーを企画しました。訪問先は「休耕田の菜の花栽培を起点とする廃食用油のエネルギー活用例」、「新エネ大賞特別賞を受賞した市民共同発電所の配当を地域商品券で行うプロジェクト」が実施されている滋賀県湖東地域です。

廃油をディーゼル燃料に!あいとうエコプラザ「菜の花館」
 琵琶湖の水質悪化や、アオコによる異臭をなんとかしようと、1970年代の終わりから80年代にかけて、住民が家庭廃油を回収し石鹸をつくって、これを使う運動を実施しました。
 しかし、有リン合成洗剤が無リン化されると石鹸の需要は激減し、回収した廃油の活用が問題となりました。愛東町(当時)は国や県の補助を受け廃油をディーゼル燃料にするプラントを設置し、精製した油を町の公用車の燃料とするプロジェクトを成功させ、これが廃油の新たな活用方法として注目を浴びました。その後、休耕田で栽培した菜の花から菜種油を採取し、地域で消費するとともに、使った廃油をディーゼル燃料にする「食とエネルギーを地産地消」するプロジェクトに発展しました。
 国などの支援で建設された菜の花館はディーゼル燃料精製プラントや菜種油製造プラント、もみ殻炭化プラント(土壌改良材や苗床などに使用)などを備えた資源循環型地域づくりの拠点施設となっています。
 春になると施設の周囲にひろがる転耕田で栽培される菜の花が満開となり、観光客も増え、生産される菜種油も人気商品となっているとのことです。
事業の説明や施設の見学の間、品質やコストなどに関する活発な質疑応答があり、充実した研修となりました。
 ディーゼル燃料としては品質の安定的な確保の困難さや早く酸化することなど課題もありますが、原材料(廃油、菜種など)の収集、商品化、地産地消運動などの地域が作り上げたソフトが、公的支援を受けたハード施設を上手く活用して、食とエネルギーの循環による環境保全や地域の活性化に成功していると感じました。

太陽光が商店街を活性化!東近江市Sun讃プロジェクト
 市民からの寄付や出資により太陽光発電所を設置し、売電収入で出資者に還元していく市民共同発電所はあちこちに設置されています。特に再生可能エネルギー固定価格買取制度ができたあとは、地方公共団体が市民から広く購入者を募集し太陽光発電所を設置する例が多いようです。
 東近江市Sun讃プロジェクトの特徴は八日市商工会議所と東近江市商工会が設立した新会社が私募債で出資を募り、出資者には東近江市内経済団体が売電伝収入によって発行する商品券で返済していくことです。地域内でつくったエネルギーによって地域の経済を活性化させる新しい仕組みをつくったことが評価され、新エネ大賞特別賞を受賞されました。債券発行の容易さなどから私募債としたことにより募集数が制限されることなどの制約の中で、事業がすすめられています。
ひがしおうみ市民共同発電所3号機が設置されている滋賀県平和祈念館で丁寧な説明をしていただき、参加者からでた多くの質問に真摯に対応していただきました。平和祈念館1階の展示を見学したあと、屋上に設置された太陽光発電パネルを見上げました。

文化プログラム
 その後、文化プログラムとして、伊勢神宮の親神とされる多賀大社を参詣するグループと省エネ大賞資源エネルギー庁長官賞を受賞したキリンビールグループの滋賀工場を見学するグループに分かれて、湖東の初秋を楽しんだ後、無事大阪に帰りました。

 大変お世話になった、NPO法人愛のまちエコ倶楽部、八日市商工会議所をはじめとする関係者の皆様に感謝申し上げます。

GEC友の会事務局