2025年06月04日
このたび、環境省「令和7年度アジア水環境改善モデル事業」にGECが代表事業者として提案した、『ベトナム国 活性酸素技術を用いた繊維染色産業の水質改善事業』が採択されました。 ベトナムの繊維染色産業の工場の排水規模は大きく、かつ、難分解性有機物や着色水の除去に課題があり、排水基準(COD、色度等)を遵守することが困難な状況です。このため、活性酸素技術を用いて、これらの物質を効率的に分解することによって、周辺水域の水環境の改善を図るものです。
本年度は実現可能性調査(FS)を通じた事業計画書の作成等を行い、実現可能性が評価された場合には、次年度以降の実証事業に移行します。
■実施体制
【日本側】
・(公財)地球環境センター (GEC)<代表事業者>
・WEF技術開発(株)
【ベトナム側】
・ベトナム科学技術アカデミー エネルギー環境科学技術研究所(VAST-ISTEE)
■実施内容
繊維染色産業が抱える排水の現状と課題、技術ニーズを調査しつつ、関係者に対して本提案技術による水質改善効果や有効性等を示すことにより、本技術の現地での受容性や適用可能性等を確認します。本調査の成果により、活性酸素技術の水処理分野で販路開拓するための事業計画を作成します。
■技術の概要
・活性酸素生成装置は、独自開発した技術であり、オゾンとの生成過程においてヒドロキシラジカルによって生じる強い酸化分解力を活かして、汚泥などの廃棄物の減容化に有効な技術として導入しています。
・水分野においては、難分解性有機物の分解や脱色に効果が高いことから、これらの課題を抱える染色排水等に本技術を適用し、現地の課題解決に貢献します。
■期待される効果
・染色・洗練工程等の濃度が高く、難分解性物質を多く含む排水に、本技術を導入することにより、後段の凝集沈殿処理や生物処理への汚濁負荷の軽減に繋がり、これらのプロセスで発生する薬品注入量や汚泥処分量が減ることで、メンテナンスコスト削減にも寄与する。
・染色排水は、脱色されないまま放流すると、周辺水域への住民からの苦情や灌漑用水としての安全性が懸念されることから、これらの課題を解決することが期待できる。
【参考1】 環境省「アジア水環境改善モデル事業」
https://www.env.go.jp/water/asia_business/adopt_top.html
【参考2】GECが実施した「アジア水環境改善モデル事業」案件
案件名 | 国・地域 | 事業者 | 実施年度 |
ベトナム国 活性酸素技術を用いた繊維染色産業の水質改善事 | ベトナム 北部地域 | ・(公財)地球環境センター ・WEF技術開発(株) | 2025年度 |
ベトナム国 高濃度含油廃液の膜処理による減量化・再利用水の普及事業 | ベトナム 北部地域 | ・(公財)地球環境センター ・ダイセン・メンブレン・システムズ(株) ・大阪工業大学 | 2022年度 ~ 2024年度 |
繊維担体を用いた多段式生物処理によるベトナム国ハロン湾水質改善事業 | ベトナム ハロン湾流域 | ・(公財)地球環境センター ・帝人フロンティア(株) ・立命館大学 ・滋賀県 | 2019年度 |