調査名 | 南太平洋島嶼国における小規模CDMプロジェクト計画書作成支援調査 | ||
調査年度 | 2002(平成14)年度 | ||
調査団体 | パシフィックコンサルタンツ(株) | ||
調査対象国・地域 | サモア | ||
調査段階 | プロセス2:プロジェクトの実現可能性の調査 | ||
調査概要 | 脆弱な南太平洋島嶼国の内、日本企業が進出している国(サモア及びソロモン諸島)において、当該国で有望なプロジェクトを選定し、CDM理事会にて検討中である「小規模CDMプロジェクトの様式及び方法」や、CDMに関する先進的取組例であるオランダのCERUPTのガイドラインを参考に、「小規模CDMのプロジェクト設計書」を作成するものである。 | ||
調査協力機関 | YAZAKI EDS SAMOA Ltd、サモアキタノツシタラホテルなど | ||
調 査 結 果 | プロセス1 | (調査対象外) | |
プ ロ セ ス 2 | プロジェクト概要 | 昨年度、南太平洋島嶼国22カ国を対象にGHG削減ポテンシャル、技術的に削減を行なう際に利用可能な資源の賦存量などを示す対策ポテンシャルなどの基礎情報をもとにCDMプロジェクトとして考えられる優先度の高いプロジェクトを選定した。 この中から、協力が得やすく、キャパシティブルディングの期待できるため、日本企業の進出しているサモアとソロモンにターゲットをあてて、CDMの立案案件の検討を行った。いくつかのオプションから、最終的には、サモアにおける日系の自動車部品工場やホテル、国立大学や政府庁舎などの公共施設を対象(7施設のバンドリングにより計1,060kWとなっている)による太陽光発電によるディ-ゼル発電の代替によるCDMプランを作成し、PDD作成を行った。 | |
対象GHGガス | 二酸化炭素 | ||
対象技術分野 | 再生可能エネルギー | ||
CDM/JI | CDM | ||
実施期間 | クレジット獲得期間:10年間 | ||
ベースライン | プロジェクトバウンダリー 〇1)Yazaki EDS Samoa LTD. 2)ホテルキタノツシタラ 3)National University of Samoa 4)国立病院 5)国会議事堂 6)政府庁舎 7)SPREP研修所の7施設のバンドリング 〇太陽光発電設備の建設(建設資材の運搬、建設資材の使用、建設機械の稼働)、太陽光発電設備の稼働、電力の供給(送配電ロスなど) ベースラインシナリオ(プロジェクトの追加性)は資金的な障害により、現ディーゼル発電が継続されるものとする。 〇太陽光発電施設は 1)Yazaki EDS Samoa LTD. :300kW(発電量394,200kWh/年) 2)ホテルキタノツシタラ:300kW(発電量394,200kWh/年) 3)National University of Samoa:300kW(発電量394,200kWh/年) 4)国立病院:100kW(発電量131,400kWh/年) 5)国会議事堂:20kW(発電量26,280kWh/年) 6)政府庁舎:20kW(発電量26,280kWh/年) 7)SPREP研修所:20kW(発電量26,280kWh/年)とする。 〇ベースラインは資金的な障害により、現ディーゼル発電が継続されるものとし、ベースライン排出量の算定には、CDM理事会によるAnnex6の小規模CDMの略式ベースライン(Table1.D.1)のCO2原単位を使用。 〇発電量は、設備の稼働率を15%とし、7施設合計の発電量は、1,060kW×365日×15% = 1,392,840kWh 〇建設機械の稼働や送配電ロスなどプロジェクト実施によるCO2排出は無視できるとし、リーケージは考慮しなかったので、ベースライン排出量=プロジェクト実施による削減量で以下のとおり。 | ||
GHG削減量 | GHG削減量=ベースライン排出量11,640(t-CO2)/10年) | ||
費用 | 【施設整備費】 〇太陽光電池モジュール:400,000円/kW×1,080kW=432,000,000円 〇インバータ:100,000円/kW×1,080kW=108,000,000円 〇アレイ架台:40,200,000円 〇工事費:108,000,000円 〇鉛蓄電池:216,000,000円 【節約される電力料金】 ○215,600,000円/10年(1,392,840kWh/年×15円/kWh×10年) | ||
費用/GHG削減量 | 59,158円/t-CO2 | ||
モニタリング | |||
GHG削減以外の影響 | 維持管理には、鉛蓄電池の交換に必要な費用も含まれる。維持管理には、主要な導入サイトであるYazaki EDS Samoa Ltd.、ホテルキタノツシタラ、National University of Samoaの3者が中心となり、維持管理体制を構築し、ルーチン化することが望ましい。維持管理に必要な費用は、当該小規模CDMプロジェクトの実施により獲得可能なCERの売却や3者の削減される電力料金の一部を積み立てる等により対応することが考えられる。 | ||
実現可能性 | ・日本政府が日本の民間企業が実施するCDMプロジェクトに対して拠出する補助金、南太平洋島嶼国におけるCDMプロジェクトが持つクリーンなイメージにコマーシャル効果を認める日本企業や個人投資家の出資等を得るための活動が不可欠である。投資家に対して、CER以外に何らかの特典を与える等、通常のCDMプロジェクトとは異なる取組みが必要と考えられる。 | ||
他地域への普及効果 | |||
プロセス3 | (調査対象外) | ||
報告書 | 概要 | 概要版(PDFファイル 79KB) | |
本文 | 本文(PDFファイル 549KB) | ||
調査評価 | * 重要なプロジェクトといえるが、多岐の国が関与していることから意思・方向性の統一が必要であろう。 * 通常のCDMプロジェクトと異なる取り組みの考え方を検討する必要があろう。 * ポテンシャル解析の強化や蓄電池の処理体制に要する費用の試算が必要。 * 持続可能開発に寄与することは明らかだが、単純なCDMプロジェクトとしては成立が困難であることも明らかである。ODA又は非ODA資金の利用可能性を追求することが必要であろう。 | ||
備考 |
※1. プロセス1: | 具体的なF/S案件を発掘するため、対象国や技術分野を特定せずに、CDM/JIとして広い可能性を考慮した基礎的な調査 |
※2. プロセス2: | 具体的な調査対象国・調査地域、対象技術分野を前提とした実現可能性調査 |
※3. プロセス3: | 実際に炭素クレジット獲得に向け、プロジェクト設計書の作成、バリデーション、炭素クレジットの投資探しなど、F/S終了後に当たるプロセスを行う調査 |