調査名 | エクアドル・ガラパゴス諸島における風力発電CDM実現可能性調査 | |
調査年度 | 2010(平成22)年度 | |
調査団体 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 | |
調査協力機関 | ガラパゴス再生可能エネルギープログラム(ERGAL); Det Norske Veritas Certification AS (DNV) | |
調査対象国・地域 | エクアドル(ガラパゴス諸島) | |
対象技術分野 | 再生可能エネルギー(風力発電) | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2010年~2030年/2011年~2018年(第1クレジット期間) | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 本プロジェクトは、エクアドル・ガラパゴス諸島におけるバルトラ島にて、同国政府が石油依存脱却を目指す「ガラパゴス諸島における化石燃料ゼロプログラム」の下、7.5MWの小規模風力発電をバルトラ島に段階的に導入し、ミニグリッドを通じて隣接するサンタクルス島へ供給することで、ディーゼル起源の電力を代替しCO2排出量を削減するものである。同時に、現在、発電用にタンカーによって運搬されているディーゼルの使用を序々に廃止することで、本化石燃料ゼロプログラム実施の要因となったタンカー座礁による燃料油流出事故の影響を緩和し、ガラパゴス諸島の生態系を保護することが最大の目的である。 | |
適用方法論 | AMS-I.F.「受け手側使用及びミニグリッド向けの再生可能発電(Renewable electricity generation for captive use and mini-grid) (Ver.1)」 | |
ベースラインの設定 | AMS-I.F.に準じ、本プロジェクトで生産される再生可能電力が供給されるミニグリッドを有するサンタクルス島と、19の施設がそれぞれ自家発電機を有するバルトラ島を併せて単一プロジェクトのベースラインとすることが可能である。しかしながら、バルトラ島における消費電力については、データ不足で方法論通りにベースライン排出量を算定することが不可能であることから、当該CDMプロジェクトのベースラインシナリオは、サンタクルス島におけるミニグリッドからの排出量のみを対象とすることとし、バルトラ島へ供給される電力はモニタリングで測定し、ベースライン排出量から差引くこととした。 | |
追加性の証明 | ガラパゴスは離島であり、またUNESCO世界遺産であることから、タービン並びに送電線の設置において脆弱な生態系の保護を考慮する必要があり、立地や設計の変更を余儀なくされる等、技術的課題が多かった。加えて、デザイン上の制約、離島ゆえの大陸からの距離、また配送や建設における問題、更には世界的な需要のヒートアップから、小規模風力タービンの入札に応じる業者も少なく、初期投資額を抑えることが難しい状態である。このような困難からプロジェクトの設置費用や運営費が増加し、資金調達が難しく、プロジェクト実施の主な障壁となっている。CER収益による追加的な支援なくしては、障壁を乗り越えることは不可能と考える。 | |
GHG削減想定量 | 8,935t-CO2/年 | |
モニタリング | AMS-I.F.で要求されるモニタリング項目は、グリッドへ供給された純電力量である。しかし、本プロジェクトではベースライン排出量の算出にあたり、バルトラ島へ供給される電力分を差し引くため、バルトラ島への送電量も計測する。同様に、本プロジェクト以外の再生エネルギー起源の電力で、同じサブステーションを通じて供給される電力に関しても、モニタリング項目に加える。両指標とも、電力メーターを使用し、継続的に計測する。 | |
環境影響等 | ガラパゴス諸島に生息する動植物への影響を中心に環境影響評価を実施し、2009年7月に関係監督機関の承認を経て環境ライセンスを取得した。その後のプロジェクトの立地の変更に伴う環境監視計画(EMP)の変更申請も承認を取得している。EMPには、イグアナを保護するためのフェンスの設置や、鳥類を保護するためのタービンの設計の工夫等、影響を最低限にする施策が盛り込まれている。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトは、機器メーカーの選定を終了し、建設作業を開始する段階にあり、EMPへの軽微な変更に関しても承認を取得したところである。風力発電機器調達に関する契約締結日である2010年7月21日がプロジェクト開始日となり、2011年10月の風力発電所の稼動予定に向けて着実に進行している。 | |
「コベネフィット」効果 (ローカルな環境問題の改善の効果) | 評価分野を発電所のテールパイプから排出される排気ガス削減における「大気質改善」、また評価指標を、SOx、NOx、煤塵、及びCO2とし、濃度、排出ガス流量及び稼動時間の実測データを用いて、1MWh発電当たりの大気汚染物質の排出量を算定した。評価レベルはTier3とし、2010年2月に測定されたテールパイプからの実測排出値を使用した。SOx、NOx、PMの排出量が、プロジェクト実施により削減されることが証明された。 | |
ホスト国における持続可能な開発への寄与 | 本風力発電プロジェクトの実施は、船舶やトラックによるディーゼル油運搬を排除することから、生態系破壊のリスク軽減、また陸上輸送による温室効果ガスの削減、土壌環境及び水質環境の改善等において持続可能な開発に貢献することが明らかになった。 |