水力発電主体の配電網延伸による地方電化

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名水力発電主体の配電網延伸による地方電化
調査年度2012年度
調査団体 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
調査協力機関 ブータン電力公社(BPC)、ブータン経済省再生可能エネルギー局(DRE)、Karma Namkhai Consultants
調査対象国・地域 ブータン
対象技術分野 再生可能エネルギー
対象削減ガス 二酸化炭素(CO2)
CDM/JI CDM
報告書

概要版
詳細版
PDD

参考PPT資料

 プロジェクトの概要本プロジェクトは、ブータン政府がODAを活用して実施する配電網延伸による未電化地域約3万世帯の電化事業である。未電化地域にブータン国内の水力発電所からの電気を供給することにより、プロジェクトが実施されなければ発生したであろう、恒常的なケロシン等の化石燃料消費を抑制し、温室効果ガス排出削減を目指すものである。
適用方法論AMS-III.AW. 01.0 Electrification of rural communities by grid extension(グリッド延伸による地方コミュニティの電化)
ベースラインの設定AMS-III.AWにおけるベースラインシナリオは、プロジェクトが実施されなかった場合に利用されたであろう技術により、当該プロジェクトが提供するサービス(地方電化事業により新たに分配される電力)とエネルギー等価のサービス(電力)を提供するのに必要な化石燃料消費である。
モニタリングAMS-III.AW に基づき、ベースライン排出量の算定に関し、プロジェクトにより各世帯に供給された電力量がモニタリング対象となっている。さらに、方法論の適格要件を満たすことを確認するため、近隣諸国への電力輸出入もモニタリング対象となっている。
GHG削減量事前の算定では、プロジェクトによる分配電力量は、マスタープランの想定に基づいた数字を適用する。電化予定の33,436世帯について、世帯当りの電力消費を60kWh/月と想定した場合のプロジェクト全体の排出削減量は、約19,260tCO2/年である。
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間本プロジェクトの実施期間は2008年7月25日から30年間である。クレジット獲得期間は、CDM登録日から21年とする。
環境影響等「環境影響評価法(Environmental Assessment Act 2000)」とこれに基づき制定された「環境許可に関する規則(Regulation for the Environmental Clearance of Projects)」、「戦略的環境影響評価規則(Regulation in Strategic Environmental Assessment)」に基づき、環境許可 (Environment Clearance)及び森林許可 (Forestry Clearance)を取得しており、環境への悪影響はないことが確認されている。
追加性の証明

マイクロスケールCDMの追加性証明に関するガイドライン Guidelines for demonstrating additionality of microscale project activities ver. 04 (EB68 Annex26)に則り、以下の追加性テストの免除事項への適合を立証している。

  • 年間排出削減量が二万トン以下
  • 国連の定める後発開発途上国(LDC)適格国
事業化に向けて

本事業の全工期は2009年9月~2013年 6月を予定している。進捗に多少の遅れは見られるが、全ての対象戸数への配電網の延伸は2013年中に完了予定である。

コンポーネント
対象戸数
進捗予定
JICA I
約15,000戸
2009年 9月~2012年12月
JICA II
約3,700戸
2012年 5月~2013年 6月
ADB IV
約8,800戸
2009年10月~2012年12月
ADB V
約5,000戸
2011年12月~2013年 6月
ADA VI
約800戸
2010年 4月~2012年 4月
ADA VII
約200戸
2012年 2月~2013年6月
ホスト国における持続可能な開発への寄与 第10次国民総幸福量(GNH)に基づき、「経済・社会発展」、「文化遺産の保全と振興」、「環境の保全と適切な利用」、及び「良い統治」の各項目において、プロジェクトがGNHの最大化に貢献することが求められている。