スリランカ・グリシディアチップによる産業熱利用施設における燃料代替プログラムCDM実現可能性調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名スリランカ・グリシディアチップによる産業熱利用施設における燃料代替プログラムCDM実現可能性調査
調査年度2010(平成22)年度
調査団体株式会社エックス都市研究所
調査協力機関藤井技術士事務所、北海道電力株式会社、スリランカバイオエネルギー協会、Lion Brewery Ceylon Limited、EnerFab (Pvt) Ltd.、Det Norske Veritas Certification AS、モラトワ大学
調査対象国・地域スリランカ
対象技術分野バイオマス利用
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間【PoA】2011年5月1日からプロジェクト開始、プロジェクト期間は28年間
【CPA】CPA第一号であるライオンビール社は2011年12月1日からプロジェクトを開始、プロジェクト実施期間は15年、クレジット獲得期間は10年間を想定。
報告書
プロジェクトの概要 本プロジェクトはスリランカ全域に幅広く自生・また栽培されているマメ科の早生樹グリシディア(学術名:Gliricidia sepium)他の木質バイオマスを収集し、化石燃料を産業用熱源として利用しているスリランカ国内事業者の熱源代替を、プログラムCDM として推進するものである。昨年度の調査結果を踏まえ、今年度は本プログラム活動(PoA)の早期国連登録を目指し、Lion Brewery Ceylon Limited.(以下、ライオンビール社)のCDMプログラム活動(CPA)案件を対象に有効化審査を実施するとともに、PoA枠組に関する合意形成を中心に実践的な取り組みを行った。ライオンビール社におけるCPAにより見込まれる排出削減効果は約6,468tCO2/年である。
適用方法論 小規模方法論 I.C.「利用者のための熱エネルギー(Ver 18)」を適用。バイオマスのリーケージに関する部分については承認方法論AM0042を適用。
ベースラインの設定 本プロジェクトにおけるベースラインシナリオは、産業熱利用設備における化石燃料の燃焼による熱供給であり、グリシディア等のバイオマス残渣は刈取り後、農地、もしくは農家の裏庭に放置され長時間かけて分解されるものである。未利用地を用いてグリシディア等の短周期で継続的に収穫可能な樹木を本プロジェクト活動への燃料供給目的で新規に栽培する場合、ベースラインシナリオは、土地の未利用状態の継続となり経年的な劣化状態を伴う。
追加性の証明1) 15MWth以下のCPAの追加性証明
    • 15MWth以下の出力能力のCPAに関しては、EB54で公表された「5MW(熱量換算で15MWth)以下の再生可能エネルギー、及び20GWh/年以下の省エネプロジェクトの追加性証明に関するガイドライン」で記載される「プロジェクト活動で採用する技術がホスト国のDNAから追加的な技術であると推薦されたもので、かつ、CDM理事会から承認されたものである場合」に基づき、追加性の証明を行う。

2) 15MWth以上のCPAの追加性証明
    EB54のガイドラインの対象外となる15MWth以上のCPAについては、「追加性の実証及び評価のためのツール(Ver05.2)」及び「小規模CDMプロジェクトに関する簡素化された様式及び手順」の付属書Bを用いて評価を行う。また、投資分析におけるベンチマークとして、スリランカ中央銀行により公表されている2010年1~12月期における商業銀行の主要貸付金利平均値である10.22%を利用した。

ライオンビール社は1)の手法で追加性を立証する。
GHG削減想定量 10,868tCO2/年
    (ライオンビール社CPA:6,468tCO2/年、現在調整中の候補サイト:4,400tCO2/年)
モニタリング 本プログラムCDMにおいては熱源代替は再生可能バイオマスにより実施されるため、設備の稼動状況に関するモニタリングに加え、バイオマスに関するモニタリングが必須となる。バイオマス利用設備の稼働については小規模方法論I.C(Ver18)、バイオマスに関しては、AM0042に記載されるバイオマスの適用状況、並びにEB23 Annex18に規定されるバイオマス残渣に関する定義に基づきモニタリングを行う。
環境影響等 本プロジェクト活動の環境影響評価(EIA)の適用の有無は、「a)バイオマスの調達」、「b)バイオマスの利用」に分けて検討される。
a)については、バイオマスの新規栽培を含む場合で土地開発に関する一定の条項に合致する場合にEIAが必要となるため、CPAレベルで評価を行うとし、b)については本PoA下のプロジェクトは全てEIA適用外となることから、PoAレベルで実施する。
ライオンビール社のCPAにはバイオマスの新規栽培は含まれないため、スリランカにおけるEIA制度の対象外となる。
事業化に向けて ライオンビールに関しては、バイオマスへの燃料転換、及び本PoAの枠組みへの参加に対して積極的である一方、ガス化技術については、エネファブ社に代わるガス化サプライヤーを探索中でもあり、この点が事業遅延の要因となる可能性がある。CDMの事前考慮(Prior Consideration)については、既にDNA及びUNFCCC事務局へ提出済みである。今年度は有効化審査を開始し、現地踏査も実施した。今後、PoAの早期登録を引き続き目指すとともに、さらなるCPA候補企業の探索を行う。
「コベネフィット」効果
(ローカルな環境問題の改善の効果)
 昨年度調査において、コベネフィットに関する検討として、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ばいじん、二酸化炭素(CO2)を評価項目として定量評価を行った結果、代替燃料が燃料油、軽油のいずれであっても対象項目の全てが低減するという結果が得られた。
ホスト国における持続可能な開発への寄与 本プロジェクトは下記の持続可能な開発に貢献する。
  • ホスト国における公害対策・環境改善
  • エネルギー自給の向上
  • 内戦戦災地・震災地復興支援
  • ホスト国における土壌保全