ベトナム・ジャトロファBDF製造及び自動車燃料利用のCDM実現可能性調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名ベトナム・ジャトロファBDF製造及び自動車燃料利用のCDM実現可能性調査
調査年度2010(平成22)年度
調査団体三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
調査協力機関RIN Vietnam、株式会社レボインターナショナル
調査対象国・地域ベトナム(ニントン省バックアイ地区)
対象技術分野バイオマス利用
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間プロジェクト実施期間:25年(2011~2035年)/クレジット獲得期間:21年(2011~2031年)
報告書
プロジェクトの概要調査対象地域の荒廃地でジャトロファを栽培し、ジャトロファ油からBDF(バイオディーゼル燃料)を製造する。ベトナム国内の運輸・輸送手段(トラック、汽車等)で従来消費されていた軽油を製造されたBDFで代替することで、GHG排出を削減する。
 ジャトロファの栽培には、地域の少数民族の雇用を計画している。それによって、少数民族に対して経済的な便益をもたらすことも可能となる。
 日本でBDFの製造・販売実績を有するレボインターナショナルの経験・技術を現地に移転し、日量30,000リットル規模のBDF製造プラントを製図する。
適用方法論AMS-III.AK「Biodiesel production and use for transport applications」
ベースラインの設定 ジャトロファのプランテーションもBDFの製造も行われず、従来通り運輸・輸送手段が軽油を消費し続ける。
追加性の証明 本プロジェクトは小規模CDMプロジェクトであり、「Technological barrier」と「Barrier due to prevailing practice」によって追加性を証明する。
  • Technological barrier:
     現地調査での交通省(Ministry of Transport)、工業貿易省(Ministry of Industry and Trade)及び農業農村開発省(Ministry of Agriculture and Rural Development)へのヒアリングによって、ベトナム国内ではBDFが商業ベースではまったく販売されていないことが判明した。BDFの消費が法的にも求められていないこともあり、ベトナム国内でBDF製造技術が発展していないと言える。
  • Barrier due to prevailing practice:
     各省庁へのヒアリングでも明らかとなったように、ベトナム国内ではBDFが市場流通しておらず、ディーゼルエンジン用の燃料として確立された軽油の消費が一般的な慣行となっている。
GHG削減想定量1年目は2,259tCO2、2年目以降は8,407tCO2/年
モニタリング 本プロジェクトへの適用方法論AMS-III.AKのモニタリングプランに基づき、主に下記のようなパラメータのモニタリングを実施する。
  • BDF生産量と消費量
  • BDFの単位発熱量
  • BDF混合割合
  • ジャトロファの栽培地面積
  • 輸送するアイテム(ジャトロファ種子、BDF等)の重量
  • (BDF製造等での)電力消費量
  • (BDF製造等での)化石燃料消費量」 等
環境影響等 ベトナムの国内法規制に基づき、ジャトロファのプランテーションとBDF製造プラントの建設に関して環境影響評価を実施する。ただし、環境への悪影響は現時点で想定されない。
事業化に向けて 調査対象地域におけるジャトロファのテストプランテーションは開始された。テストプランテーションでのジャトロファ栽培を管理する現地の少数民族との契約も締結し、少数民族への教育等も実施された。
 特にBDF製造プラント建設のプロジェクト資金調達に向けて、金融機関等との話し合いも進めている。
「コベネフィット」効果
(ローカルな環境問題の改善の効果)
 BDFによる軽油の代替は、自動車排ガスに含まれるSOxとPMの減少をもたらし、大気汚染の防止につながる。
ホスト国における持続可能な開発への寄与 急速な発展にともなう大気汚染がベトナムでは問題となっており、コベネフィットでも述べたような大気汚染防止効果が見込まれる。
 ベトナム政府は再生可能エネルギーの開発を大きな政策目標として掲げており、BDFはその一翼を担うものである。
 またプロジェクトは調査対象地域に新たな雇用機会を生み出し、地域の経済発展にも貢献する。