調査名 | シリア・アンモニア製造プラントのテールガスによるエネルギー利用CDM事業調査 | |
調査年度 | 2009(平成21)年度 | |
調査団体 | 清水建設株式会社 | |
調査協力機関 | 株式会社オオスミ、 有限会社クライメートエキスパーツ | |
調査対象国・地域 | シリア(ホムス市) | |
対象技術分野 | その他(廃ガス利用) | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2010年~2021年/2011年~2021年 | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 本プロジェクトは、シリア第三の都市・ホムス市にある総合化学肥料工場(General Fertilizer Company:以下、「GFC」と称す。)のアンモニア製造プラントにおいて、今までそのまま大気放出されていたパージガス(排出ガス:CH4=6~12%、H2=60%、その他窒素、アンモニア、アルゴンなどを含む)を、工場内で使用されている天然ガス焚きボイラーの代替燃料として有効利用するものである。 | |
適用方法論 | 新方法論(NM0321として国連申請中) | |
ベースラインの設定 | 提案新方法論の物理的なプロジェクトバウンダリーは、「総合肥料化学工場内でパージガスを回収し、ボイラー燃料として利用する場所」である。本プロジェクトでは、パージガスはアンモニアプラント内で回収され、パージガスを燃料とする新規の混焼焚きボイラーは、2基の既存の天然ガス焚きボイラーの隣に設置する予定であり、プロジェクトバウンダリーはこれらの場所に限られる。 これまでプロジェクトが実施されなかったのは、主として技術バリアによるものであり、ベースラインシナリオは「現状維持」となる。 | |
追加性の証明 | ベースラインシナリオの証明方法の基本的な考え方は、GFCで「実際にどうであったか」という過去から現在に至る状況を把握し、その理由や裏付ける証拠を提出することで行われる。 各種バリアの存在状況に関して、裏付ける証拠を収集し、それを時系列的にまとめることで、GFCとしての意思決定の推移を追えるような表を作成する。実際の論証に関しては、現状維持とは異なるベースラインシナリオオプションを複数提示し、それらから(CDMとならなかったら)もっともありそうなシナリオとして、ベースラインシナリオを選択する。この場合、2つの要素に大別し、その要素の中での個々のシナリオ代替案(の組み合わせ)を検討する。これにより、現状維持がベースラインシナリオであり、プロジェクトは追加的であることが証明できる。 | |
GHG削減想定量 | 85,250tCO2/年(平均) | |
モニタリング | プロジェクト活動により利用されるパージガスに含まれるメタンの量と、このメタンガスをボイラで燃焼させることによって得られる熱量をモニタリングすることにより、メタン破壊分と燃料代替分の温室効果ガス排出削減量を算出する。 | |
環境影響等 | 本プロジェクトは、現在大気中に放出されているメタンガスを有効に利用し、かつ現在の燃料使用量を抑制するものであることから、環境に良い影響を与えるプロジェクトである。また、パージガス中に含まれるアンモニアについても、これを回収する設備を同時に導入することを検討しており、この部分も環境に良い影響を与えることとなる。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトでは、2011年よりクレジットの獲得を目指す計画を想定し、その結果クレジットの価格が10US$/tCER以上となる状況であれば、事業実施可能であると考えられる。 しかしながら、本プロジェクトにおいては、新規方法論について国連の承認を得ることが必要であり、現在プロジェクトの登録申請をはじめとして、国連における事務手続きが極めて保守的になっていることから、プロジェクトの実施スケジュールが遅れる懸念があり、COP15を受けて国連手続きが円滑化することを望むものである。 | |
環境汚染対策効果 | 本プロジェクトサイトであるGFCは、ホムス市における大気汚染発生源の一つである。本プロジェクトが対象としているパージガスについても、人体に有害なアンモニアを含んだガスが大気中に放出されており、公害防止の観点からも、パージガスの処理が求められてきた。 プロジェクト実施時のアンモニアの排出量はゼロと見なすことができるため、年間約1,300tのアンモニアの大気放出が抑制されると試算される。 | |
持続可能な開発への貢献 | シリアでは、他の途上国と同様に、電力、ガソリン等のエネルギー需要の増大が大きな課題となっており、最近の化石燃料の高騰に伴いその影響は、GFCにも及びはじめている。 農業国であるシリアにとって、GFCは国内唯一の化学肥料工場であり、農業政策上からも肥料価格の抑制が重要であることから、クリーンなエネルギーであるパージガスを代替燃料として有効利用することは、大気汚染の緩和や省エネのみならず、肥料価格の安定化を通じた市民生活の安定化の観点からも、シリアの持続可能な開発ニーズに貢献するものといえる。 また、中東地域にあって、他の中東諸国に比べてエネルギー資源の少ないシリアにとって、再生可能エネルギーの利用を含む省エネルギーの推進は、きわめて重要な課題であり、これまで技術的な理由から利用することができなかったパージガスを有効に利用する本プロジェクトは、先進国からの技術移転という観点からも、持続可能な |