調査名 | 中国・重慶市における小規模セメント工場余熱回収発電プログラムCDM事業調査 | |
調査年度 | 2009(平成21)年度 | |
調査団体 | 日本テピア株式会社 | |
調査協力機関 | 重慶市CDM技術サービスセンター | |
調査対象国・地域 | 中国(重慶市) | |
対象技術分野 | その他(廃熱回収) | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2010年~2030年/2010年~2020年(10年間) | |
報告書 |
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プロジェクトの概要 | 中国の重慶市において、いくつかのセメント製造企業の乾式ロータリーキルン方式のセメント生産ラインに余熱回収利用発電設備を導入し、発電事業を行う。発電した電力は、それぞれの企業内でセメントの生産用の電力として自家消費され、環境負荷の華中電網からの電力の購入を代替し、温室効果ガスの排出を削減することができる。 CPA-1は、重慶富豊セメント集団有限公司9MW余熱発電プロジェクトであり、このプロジェクトで発電する年間61,236MWhの電力が華中電網の電力を代替し、年間52,225tCO2の温室効果ガスを削減することができる。 | |
適用方法論 | AMS III.Q. “Waste Energy Recovery (gas/heat/pressure) Projects” | |
ベースラインの設定 | セメントキルンの余熱発電事業は、投資額に対し収益率が低いという問題からCDMとして実施していなかった場合、実現が困難である。 この場合、キルンから生じた余熱は未利用のまま大気放散される予定であった。また生産プロセに必要な電力は華中電網から全量を購入する必要があった。 | |
追加性の証明 | プロジェクトの追加性は投資障壁から証明する。 本プログラムCDM(PoA)に含まれるCPAでは、発電した電力はグリッドに供給せず、セメント生産プロセスで100%を自家消費する。このため、投資障壁で追加性を証明する際の投資ベンチマークは、セメント工業のベンチマークを利用する。 投資分析の結果、プロジェクトのIRRはクレジット収益なしでは、ベンチマークIRRを下回り経済的なメリットが生じない。一方でクレジット収益を考慮した場合、IRRはベンチマークを上回った。 | |
GHG削減想定量 | CPA-1については52,225tCO2/年 | |
モニタリング | AMS-III.Q.に基づき、事業により発電され、セメント生産過程で消費された電力量をモニタリングする。また、発電用タービンに入る蒸気量、温度、圧力を計測する。 モニタリングの指導とデータの収集、管理等は、重慶CDM技術サービスセンターと事業会社と協力して実施する体制を整える。 | |
環境影響等 |
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事業化に向けて | CPA-1プロジェクトは、2008年10月に政府の建設許可を得ており、2010年4月頃に工事を開始、同年10月より発電を開始する予定である。 プログラムCDMの実現は、中国政府の動向を見ながら、プログラムCDMとするか、個別に小規模CDMとするかを検討していく。 | |
環境汚染対策効果 | 余熱発電事業により石炭焚き火力発電がメインである地域のグリッドからの購入電力を代替する。このため、温室効果ガスとともに間接的に地域のグリッドの火力発電所が排出しているSO2も削減していると考えることができる。試算の結果、毎年590.5トンのSO2を削減できる見込みである。 プロジェクトでは環境保護政策の要請により、事業稼働後、2ヵ所の煙突部分で排気中の汚染物質の濃度と排気総量をモニタリングしなければならない。このため、SO2のプロジェクト排出量のモニタリングは可能である。 | |
持続可能な開発への貢献 | 中国はエネルギー供給の約70%を石炭に依存しており、エネルギー不足や公害問題が深刻化しており、省エネとクリーンエネルギーの利用による化石燃料の代替が、中国全土で求められている。また重慶市では、電力供給の制限を実施するほどの深刻な電力不足も問題となっている。 このプロジェクトは中国政府及び重慶市政府の省エネ及びエネルギー構造の発展政策と一致しており、政府の政策推進を後押しし、持続可能な発展に貢献できるものである。 このため、本プロジェクトは中国のニーズと政策に合致しており、中国の持続可能な発展戦略に貢献するものであると言える。 |