調査名 | 中国・安徽省における廃棄物発電システムを利用したCDM事業調査 | |
調査年度 | 2008(平成20)年度 | |
調査団体 | 日本エヌ・ユー・エス株式会社 | |
調査協力機関 | 清華大学CDM R&Dセンター、北京喜地愛母科技諮問公司、南京霖辉环保科技有限公司 | |
調査対象国・地域 | 中国(安徽省) | |
対象技術分野 | 廃棄物管理 | |
対象削減ガス | メタン(CH4)、及び二酸化炭素(CO2) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2009年~2025年/2011年~2020年 | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 本プロジェクトは、安徽省亳州市涡阳县において発生する生活系及び農業系廃棄物を回収・分別し、有機性廃棄物の嫌気発酵処理(メタン発酵処理)によりメタンガス回収及び発電を行なうことで、埋め立てされた場合に有機性廃棄物から発生しうるメタンガスの抑制、廃棄物削減に伴う環境負荷の軽減、並びに周辺地域への電力供給に貢献するというプロジェクトである。 | |
ベースラインの設定 | 本プロジェクトで適用を検討している方法論はAM0025 “Avoided emissions from organic waste through alternative waste treatment processes(Version. 10.1)”である。方法論の手順に従いベースラインを検討した結果、廃棄物は「Landfillガスの回収・フレア処理を伴わない埋め立て処分」されるという、現状継続がベースラインシナリオとして同定された。 | |
追加性の証明 | 「追加性の評価と証明のためのツール」に基づき検討した。投資分析では、本プロジェクトのIRRは、CERの販売収入がない場合は7.38%であり、発電産業の総投資に対する部門別ベンチマークの8%には届かない。しかしながら、CERの販売収入を加味した場合(9ユーロ/CER)は13.69%にまで向上する結果となった。また、AM0025では投資障壁、技術障壁、一般的な慣行による障壁を含めた障壁分析を行うことが推奨されているが、検証の結果、現状継続を示すシナリオ以外は、全ての障壁により実現が困難である結果となった。 | |
GHG削減想定量 | 225,461tCO2/10年 | |
モニタリング | 方法論に従いモニタリングを実施する。主なモニタリング項目は、(1)廃棄物処理量、(2)有機廃棄物の成分、(3)発酵によるメタンガス発生量、(4)発電機排煙の成分および総量、(5)電力収支、(6)発酵残渣中の酸素濃度など。 | |
環境影響等 | 嫌気性発酵処理によって回収できるバイオガス中にはメタン(約55%)、CO2(約44%)、H2S(約0.034%)などが含有している。回収されたメタンは貯蔵タンクに回収され、燃焼までの過程で漏れの無いよう管理される。また、H2Sは脱硫装置によって除去される。廃水管理では施設内での再利用、並びに発酵処理水の農業利用等により、廃棄する水の量をできる限り削減するよう努めている。結果、本プロジェクト実施による周辺地域への環境汚染は無いものと考えられる。 | |
事業化に向けて | 温室効果ガス削減量の推計では、方法論およびメタン回避ツールにおいて与えられている複数のパラメータから、プロジェクトに対して最適なものを選択する必要があり、選択する値によって削減量は大きく変化する。本プロジェクトにおける最も多いGHG削減量の推計値は282,899tCO2/10年であり、一方で最も少ない場合は76,433tCO2/10年となる。CDM登録および実施に係る費用や諸経費を考えた場合、多くの削減量が見込めないシナリオについては費用対効果を十分に検証する必要がある。 | |
コベネフィットの実現 | 近年、経済発展の著しい中国において、三廃問題、すなわち廃棄物、廃水、廃気(大気汚染)の問題が顕在化している。本プロジェクトでは、今後増加すると考えられる廃棄物のうち、有機性廃棄物をメタンガス発電及び堆肥作成に有効利用できる。また、分別回収を確実に行うことで有害物質の埋め立てを回避することができ、また資源ゴミのリサイクルも可能となる。結果、埋め立てされる廃棄物の無害化および投棄量の大幅削減を実現する。そのため、本プロジェクトの実施によるコベネフィットには(1)公害(景観破壊、悪臭、大気・土壌・水質汚染)防止、(2)不法投棄廃棄物の回収簡易化、(3)廃棄物からの資源回収、(4)埋め立て処分場への投棄量の削減、(5)堆肥作成による地元農民への貢献、などが検討できる。 |