タイ・養豚場におけるバイオガス有効利用CDM事業調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名タイ・養豚場におけるバイオガス有効利用CDM事業調査
調査年度2008(平成20)年度
調査団体中央復建コンサルタンツ株式会社
調査協力機関[ホスト国側]: Charoen Pokphand Northeastern Public Co.,Ltd.、B.P. Food Products Co., Ltd.、Rajburi Foods Co., Ltd.、Bangkok Food Products Co., Ltd.
[日本側]: 株式会社三井住友銀行、株式会社日本総合研究所
調査対象国・地域タイ(北部)
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガスメタン(CH4)、及び二酸化炭素(CO2)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間プロジェクト操業開始時期:2009年8月
クレジット獲得期間:2010年~2019年
報告書
プロジェクトの概要本プロジェクトの対象サイトは、表1.3.1に示すとおり、プロジェクトオーナーであるCharoen Pokphand Northeastern Public Co.,Ltd. 他3社が所有している11ヵ所の養豚場(既存5ヵ所、新設6ヵ所)である。対象サイトとした養豚場では、豚ふん尿はオープンラグーンにおいて、嫌気性状況下で処理されており、現状では、豚ふん尿からはメタンガスが発生し、大気中に放出されている。
 また、オープンラグーンから放出されているメタンガスは、近隣への悪臭問題も懸念され、現地におけるオープンラグーン方式の見直しに対するニーズは高い。
 以上の状況を受け、本プロジェクトにおいては、バイオダイジェスターを設置することによりメタンガスを大気中に放出することなく回収する。さらに、ガス発電機を設置し、回収したメタンガスを発電用燃料として使用する。また、メタン発酵後に発生する残渣は、肥料として使用する。
ベースラインの設定 本プロジェクトに適用する方法論は、小規模CDMの承認方法論であるAMS-III.D「農業・農産業活動におけるメタン回収」及びAMS-I.D「グリッド接続の再生可能発電」である。プロジェクトバウンダリーは、メタンガスが大気中に放出されている嫌気性オープンラグーン、グリッド電源を消費している養豚場事務所・豚舎とした。
追加性の証明 本プロジェクトは、発電収入(電気代節約効果)を得ることができるが、それらの収入のみの場合、毎年の必要な費用が収入を上回るため、投資回収が不可能であり、事業として成立しない。つまり、本プロジェクトは、クレジット売却により得られる収入によって初めて経済性が確保できる事業であり、投資障壁が認められる。
GHG削減想定量 約 24,000tCO2/年
モニタリング 本プロジェクトにおけるモニタリング項目は、バイオガス流量、バイオガス中のメタンガス濃度、豚の平均頭数、豚の平均体重、発電効率、プロジェクトの発電量、サイト内での電力消費量、サイト内でのグリッド電源からの購入電力量である。
環境影響等 本プロジェクト実施に際しては、ホスト国のDNA審査において規定されている環境影響評価(IEE)を実施し、プロジェクトが地域環境に及ぼす影響の調査・予測・評価を行っている。
事業化に向けて モニタリング機器、モニタリング実施費用、その他のCDM関連費用の負担者は、現時点では未定であり、事業化に向けて早急に確保する必要がある。
 本プロジェクトにおいては、IRRが10%以上となるためには、10年間(2010年~2019年)において13(US$/ton)以上でクレジットを売却する必要がある。投資者を確保する上では、より低いクレジット売却価格とした場合でも事業を成立させるために、発電機及びメンテナンスシステムの購入・設置費、メンテナンス費用について、各種メーカーの費用の比較検証等を通して低減検討を行うことが課題である。
コベネフィットの実現 対象サイトとした養豚場では、豚ふん尿がオープンラグーンにおいて嫌気性状況下で処理されており、メタンガスが発生・放出しているため、近隣への悪臭問題が懸念される。悪臭問題への対応措置として、オープンラグーンにカバー(バイオダイジェスター)を設置してメタンガスを回収することが求められている。
 本プロジェクトに伴う公害防止の内容は、悪臭問題への対応ニーズを踏まえ、メタンガスの大気中への放出を抑制するためのカバー(バイオダイジェスター)の設置である。