調査名 | ベトナム・ホーチミン市電力送配電設備における高効率変圧器技術移転に伴うCDM事業調査 | |
調査年度 | 2008(平成20)年度 | |
調査団体 | 三菱UFJ証券株式会社 | |
調査協力機関 | ホーチミン市省エネルギーセンター(Energy Conservation Center of Ho Chi Minh City(ECC))、 日立金属株式会社 | |
調査対象国・地域 | ベトナム(ホーチミン市) | |
対象技術分野 | その他(省エネ) | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2009年~2010年/2010年~2016年 | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 本プロジェクトは、ホーチミン市電力会社(HCMPC)との協業により、送配電設備のキーデバイスである変圧器の効率を向上させることにより、ホーチミン市内の配電網の効率化を図るものである。本プロジェクトの実施により、温室効果ガスを低減し、更には温熱などの生活環境の改善や安全性の向上を図る。本プロジェクトを実施した際の年間排出削減量は3,131tCO2/年と試算され、同調査により検討されるベトナム電力公社(EVN)による統括的な取組に発展すると、その潜在的削減効果はその数十倍に達する見込みである。 本プロジェクトは、既存送配電網のリハビリを推進することで温室効果ガスの削減を図るCDM要素に加え、現在ホーチミン市で問題視される環境面・安全面の改善を図る環境配慮型のコベネフィットプロジェクトである。更には、発電施設の増設や改修を伴わず、効率改善による実質的な電力供給量の増加に寄与するものであり、新規発電所建設に伴う環境悪化や化石燃料の消費増加を抑制する上でも効果的なプロジェクトである。 | |
ベースラインの設定 | 本方法論におけるプロジェクトバウンダリーは、プロジェクト活動である変圧器がクレジット期間中に導入される場所とあり、本プロジェクトにおいてはホーチミン電力の有する送配電網となる。 ベースラインシナリオは、“Combined tool to identify baseline scenario and demonstrate additionality”の最新バージョンに則って以下のように設定される。
| |
追加性の証明 | 技術障壁:
| |
GHG削減想定量 | 年平均:3,213tCO2/年、計:22,491tCO2/7年間 | |
モニタリング | 本方法論では、適用条件を確認するため、以下の2項目のモニタリングが求められている。
| |
環境影響等 | ベトナムでは環境問題の改善のため、1984年に環境影響評価(Environmental Impact Assessment:EIA)がthe National Resources and Environment Research Programmed(NRERP)によって紹介され、許可を必要とする開発プロジェクトにおいては提出が義務付けられている。本プロジェクトは、開発許可を必要とするプロジェクトではないため、EIA提出義務に関しては対象外である。 本プロジェクトの実施による環境への負の影響は存在しない。 | |
事業化に向けて | 前述のとおり事業化に向けて残された課題は、実機による詳細データの収集、および初期コストを重視する電力供給会社の入札制度の問題であり、本調査終了後も引き続き調整が必要になる。 また、本調査を通じて技術移転の初期過程が終了し、変圧器製造業者では機器の基本設計およびラフなコスト試算を行った。しかし、プロジェクトを実施に移すためには、(1)試作機の製造および試験・分析、(2)標準機の製造および試験・分析、(3)送電網への設置および試験・分析を通じて、技術とノウハウの蓄積を行う必要がある。アモルファスコアのアジア諸国における販売ルートは、既に確立されており、今後の現地での実施においては、コア供給業者が技術支援を行う。このコア供給業者による途上国への技術支援は、既に中国やタイにおいても行われており、技術移転に関する大きな障害はないものと思われる。 | |
コベネフィットの実現 | プロジェクトの実施により低減される損失量は183,111(W)であり、熱量に換算すると5,489,862,129(BTUISO)となる。この放熱量を石油換算した場合、218,032tという大きなものになるが、こうした定量化された指標を、コベネフィットプロジェクトの効果の指標に置き換えていく検討が必要である。 |