調査名 | 中国・廃棄物処分場からのメタンガス排出抑制CDM事業調査 | |
調査年度 | 2008(平成20)年度 | |
調査団体 | パシフィックコンサルタンツ株式会社 | |
調査協力機関 | 北京煜立晟科技有限公司(GCE:Green Castle Environment) | |
調査対象国・地域 | 中国(北京市郊外) | |
対象技術分野 | 廃棄物管理 | |
対象削減ガス | メタン(CH4) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2010年~2016年/2010年~2016年 | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 中国の北京市郊外にある都市廃棄物処分場において廃棄物から排出されるメタンガスの発生を回避するプロジェクトをCDM事業化する。 対象とする都市廃棄物処分場は、既に廃棄物の受け入れは終了し、覆土がなされている状態にある。ここに埋められている有機廃棄物に空気及び水分を送り込む設備を設置し、好気性分解の環境を作り出すとともに廃棄物中の温度等のモニタリングを行い、好気性分解の環境を維持することにより、嫌気性分解におけるメタンガスの発生を回避する。 また、有機廃棄物分解処理を促進することで、廃棄物からの浸出水の水質改善を行うとともに、廃棄物全体の容積縮小を促進し、早期の跡地利用を実現する。 | |
ベースラインの設定 | バウンダリーは、埋め立てられた廃棄物に対して空気及び水分を供給することにより好気性分解処理が促進されるプロジェクトサイトである。また、エアレーション等に使用される電力はグリッドから受電するため、これを含める。 ベースラインは、都市固形廃棄物が嫌気性分解処理として埋め立てられ、発生するメタンガスの回収等が行われずに、その一部または全量が廃棄物処分場から大気中に放出されている状態として設定される。 | |
追加性の証明 | 本プロジェクトの経済的なメリットはCDMクレジットによる収入のみであるため、追加性が証明しやすいプロジェクトである。また中国においては、埋め立てが完了している処分場に対し、本プロジェクトで採用する好気姓分解技術を導入する義務や規制は今のところ存在しない。初期投資額が約5億円であることを考えると、CDMクレジットがなければ、本プロジェクトが実施されにくいことは容易に説明できる。 | |
GHG削減想定量 | 年平均 113,700tCO2、795,900tCO2/7年間 | |
モニタリング | 廃棄物の有機炭素量のサンプリング
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環境影響等 | 本プロジェクトで採用される好気性技術では、処理中の廃棄物からの浸出水が集水された上、再循環利用されるため、排水による水質汚濁等の問題は想定されない。 なお、ホスト国における環境影響評価に関する法律・制度として既設の廃棄物処分場の処理方法変更に際して、周辺河川や土壌に排出される排水等に対する環境影響の追加的な調査等は特に必要とはされていない。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトは、CDMとしてのクレジット収入以外は、主に北京市からの資金出資により事業化される見込みである。事業化に向けての課題としては、方法論パネルの「新方法論承認」勧告を経て、CDM理事会の承認を得ることである。また、新方法論の内容を十分に理解し、廃棄物好気性分解処理技術を以下の3点に留意しながらCDM事業として実現化することである。①民間企業が実施するCDM事業としての採算性を確保することが可能であること。②中国の廃棄物処理事業者が運転管理することが可能なCDM事業であること。③新方法論適用の対象事業(北京近郊)以外の中国の他の事業にも適用可能であること。 | |
コベネフィットの実現 | 閉鎖された廃棄物埋立処分場に好気性分解処理技術を導入することにより、有機性廃棄物から発生するメタンガスの排出を抑制するとともに、廃棄物から浸出する排水中のCOD濃度を低減させることができる。そのため、周辺の河川や地下水の水質改善効果が期待される。さらに、廃棄物自体の減量化も促進される。サンプリング分析から、処分場からの浸出水のCOD濃度を約3,800mg/ℓと仮定する。また、北京市の年間降水量を約500mmと仮定すると、処分場全体への年間降水量(=浸出水量)は、78,500トンと推定される。現状の嫌気性分解から、プロジェクトの好気性分解に改善されることにより、浸出水のCOD濃度が約1,000mg/ℓになると仮定すると、年間のCOD削減量は約220トンになると推定される。 |