インドネシア・中部ジャワ州における木質バイオマス発電プロジェクト調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名インドネシア・中部ジャワ州における木質バイオマス発電プロジェクト調査
調査年度2006(平成18)年度
調査団体住友林業(株)
調査協力機関PT. Rimba Partikel Indonisia、 CER Indonesia、 (有)クライメートエキスパーツ、 (株)JACO CDM
調査対象国・地域インドネシア(中部ジャワ州)
対象技術分野バイオマス利用
対象削減ガス二酸化炭素
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/
クレジット獲得期間
2007~2032/
2008年~2014(最初のクレジット期間)
報告書
プロジェクト概要本プロジェクトは、インドネシア共和国中部ジャワ州ケンダル県にある、リンバ パーティクルインドネシア社(以下、媒RPI社媒)において実施する。
  RPI社は、現在ディーゼル発電機を使い、自社の工場で消費する電気を発電しているが、石油製品の高騰により、収益が悪化し、代替エネルギー利用の検討を強いられた。電力供給の再検討に当たり、採算面だけを考えると石炭ボイラー発電設備が有利であったが、CDM活動としてクレジットを獲得する事で、木質バイオマスボイラー発電設備の導入を検討することが可能であることがわかった。
  RPI社は現在、約2.4MWの発電を行っている。年間の発電量は約19 GWh である。発電した電力で工場および敷地内の施設で利用される電力を全てまかなっており、外部の送電網との接続及び外部からの電力購入は行っていない。 本プロジェクトでも同様に、外部の送電網との接続及び外部からの電力購入は行わない。本プロジェクトで導入する設備は、既存の設備・施設に供給する電力(2.4MW)に加え、発電設備自体に必要とされる電力(0.7MW)の発電を行う。また、過負荷発生への対応も考慮し、導入設備の発電容量を4MWとする。
ベースラインの設定・追加性の証明エネルギーベースラインの算出には、方法論AMS-1.A. ( 第09版)を適用する。
既存のディーゼル発電による発電量がエネルギーベースライン(EB)であり、公式は、ごく限られたエリア内で適用されるオプション2を用いる。本プロジェクトは、現在と同様に外部の送電網との接続を行わず、外部からの電力購入も行わない。
本プロジェクトがなかった場合に選択される設備は、石炭ボイラー発電であり、木質バイオマスボイラー発電は投資障害の克服による追加性がある。
エネルギーの種類:設備導入への障害など
  • 既存のディーゼル発電設備:石油製品価格の高騰。国家政策の方向性に反する。
  • 公共電力の購入:損益面ではメリットあるが、価格が上昇傾向。停電すると火災発生の危険性あり、また、生産性低下。
  • 天然ガスエンジン発電:パイプライン設備なくインフラ未整備。
  • 石炭ボイラー発電:石油製品価格の高騰により、代替エネルギー源として、インドネシア国内に豊富にある石炭の利用が増加している。
  • 木質バイオマスボイラー発電:石炭ボイラーと比較すると初期投資額が15~25%大きくなる。CDMプロジェクトとしてクレジットを獲得すると採算面で石炭ボイラーと同等に評価することができる。
GHG削減量最初の7年のクレジット期間(2008-2014年)における合計のプロジェクト排出削減量は、233,156 tCO2e (33,308 tCO2e/年) となる。
モニタリングCDMプロジェクトが実施された後、プロジェクトバウンダリー内で消費される電力は、新しく設置される木質バイオマスボイラー発電設備と既存のディーゼル発電設備で作られる。
それぞれの発電機には積算電力計を設置し、継続して個々に発電量を計測する事ができるので、小規模CDMプロジェクト活動に関する簡易化方法論、カテゴリーI.A.“ ユーザーによる発電”のモニタリング方法の内、(b) “全システムによる発電量の計測”を適用する。本プロジェクトで導入する設備の燃料は、木質バイオマス100% である。混焼もしくはハイブリッドシステムとは異なる。
RPI社は、1999年12月29日より、ISO9001の認証登録工場である(認証番号191014: Komite Akreditasi Nasional)ので、モニタリングに関する手順をISO手順書の中に文書化することによって、自主的に監査され、継続した管理状態を保ち、正確な測定の維持を図る。
環境影響等インドネシア共和国では環境影響評価制度(AMDAL)が導入されており、事業所等に対して環境への影響度に応じた管理体制が要求されている。バイオマス発電設備においては、発電の容量が10MW以上の設備を導入する場合は環境影響評価の対象となるが、本プロジェクトの発電設備容量は、4MWであるので、導入設備に関しては環境影響評価の対象とならない。
RPI社は、パーティクルボードを製造しているので同地域において、RPL:環境モニタリング計画書とRKL:環境管理計画書を、年に1度、行政に提出しなければならない。PT.RPIはその中で水質、大気、騒音、および振動について調査しなければならない。 PT.RPIではこれらの環境基準が遵守されている。
RPI社は、2005年10月21日にISO14001の認証を取得している。(認証番号:05/EM/023)
事業化に向けて事業計画
2007年 3月まで、主要機械の仕様確定、発注。
2007年 3月頃より、基礎工事開始
2007年 12月より、試運転開始
2008年 1月より、本格運転開始予定
資金計画
設備投資等金額、約640万㌦の内 500万㌦の銀行融資を受ける。
経済性
設備投資等金額、約640万㌦を、発電コスト低減及び排出権クレジット獲得により、およそ4年弱で回収できる計画である。