インドネシア・スマラン埋立処分場メタンガス利用調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名インドネシア・スマラン埋立処分場メタンガス利用調査
調査年度2006(平成18)年度
調査団体中国電力(株)
調査協力機関清水建設(株)、インドネシア科学技術応用庁、スマラン市
調査対象国・地域インドネシア(中部ジャワ州)
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガス二酸化炭素, メタン
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/
クレジット獲得期間
2008~2022/
2008~2017
報告書
プロジェクト概要本プロジェクトは、中部ジャワ州の州都スマラン市にあるジャティバラン廃棄物埋立処分場において有機物の発酵により発生するランドフィルガス(Landfill Gas :LFG)を補集し、ガスエンジン発電設備に燃料として供給することによって、温室効果の高いメタンガスの大気中への放出を抑制するものである。また、発生した電力は、系統の電力を代替するものであり、それにより、火力発電所でのCO2排出量も削減される。
ベースラインの設定・追加性の証明・ベースラインの設定
現在、インドネシアでは、稼動中および閉鎖後の廃棄物埋立処分場からLFGを回収することを義務付けた法令等の規制はなく、また廃棄物埋立処分場のLFGを利用した事例は見当たらない。インドネシアにおける埋立処分場の閉鎖方法は、一般的に廃棄物の表面を覆土する程度のものであり、特別な処理は行われていない。このことから、ジャティバラン埋立処分場ではLFGが回収されないで、大気中に放出される現状維持のシナリオをベースラインと設定した。
・追加性の証明
本調査ではCDM理事会で合意された「追加性の証明・評価のためのツール(Ver.2)」を適用し追加性の証明を実施した。本プロジェクトについて、CER(Certified Emission Reduction)販売収入を見込まないケースのIRRは2%弱であり、投資的魅力はなく実現性が低い。
GHG削減量統合化方法論ACM0001に従い調査結果により得られた条件を前提とし算出した結果、クレジット期間(2008年~2017年)におけるGHG排出削減量は605,729t-CO2 と想定される。
モニタリング本プロジェクトにおいては、ベースライン方法論として統合化方法論ACM0001を用いるが、このベースライン方法論はモニタリング方法論とペアで用いなければならない。従って、統合化方法論ACM0001を本プロジェクトのモニタリング方法論として適用する。よってモニタリング項目は統合化方法論ACM0001に基づいて決定される。
環境影響等本プロジェクトにより悪臭防止、ハエ等の発生・鳥等の群集防止、法面の崩落抑制等、衛生面・環境面・防災面の環境改善が見込まれる。
また、本プロジェクトで導入されるガスエンジンは排気ガスを発生するが、先進国のSOX、NOX排出抑制技術を採用することにより、大気環境への負荷を低減する。エンジン、ブロワ-等の騒音、振動対策は防音カバー、防振架台を設置することにより解決する。
事業化に向けてまた,下流6地点は開発方針,計画の基本的考え方,環境影響面などに関する協議を行った結果,本プロジェクトについても基本的な理解が得られた。本プロジェクト課題である経済性向上に向けたの取組みや開発可能と判断された場合の諸手続きなどを着実に実施していく必要があ本プロジェクトは、2007年12月までにCDM理事会の登録を目標に手続きを進め、登録後に建設工事に着手し、2008年上半期中のフレア運転開始を想定している。その後、LFGの発生状況を見極めながら、可能な限り早期にガスエンジン発電設備を導入する計画である。
投資国側からみた本プロジェクトの評価は費用対効果の観点からすればCDM事業として推進できるレベルにある。ただし、具体的な事業化にあたっては、以下のリスクや課題をカウンターパートと共通の認識のうえ、双方の成果が達成できるよう今後解決していく必要がある。
・ランドフィルガス発生量のリスク
・パートナーリスク
・完工リスク
・売電単価変動リスク
・二国間の法律・税務上の相違から生じる課税リスク
・第2約束期間以降の制度に関するリスク
・CDMプロジェクト推進上の課題
・コンポスト事業が及ぼす影響