調査名 | マケドニア・スコピエ埋立処分場メタンガス利用調査 | |
調査年度 | 2006(平成18)年度 | |
調査団体 | 清水建設(株) | |
調査協力機関 | スコピエ市役所、トルコ住友商事 | |
調査対象国・地域 | マケドニア(スコピエ市) | |
対象技術分野 | 廃棄物管理 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素, メタン | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/ クレジット獲得期間 | 2008~2021/ 2008~2012 | |
報告書 | ||
プロジェクト概要 | 本プロジェクトは、マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国スコピエ市において、ドリスラ(Drisla)埋立処分場から発生するメタンガスを主成分とするランドフィルガス(LFG)を燃料とした発電及びガス燃焼を行うものである。このプロジェクト対象地の面積は約25haであり、1994年に運用が開始され、今後当分の間運用が継続される予定である。 本プロジェクトでは、埋立処分場にLFG収集のための収集パイプを敷設し、ガスの収集・処理を行ってから、ガスエンジン(GEG)を用いて発電を行う。発電電力は地域の配電グリッドに接続する。また、ガスエンジンで利用できないLFGは、フレアスタックによって燃焼/破壊処理する。 このシステムによる発電により、接続する電力グリッド内の発電所の燃料使用量が削減され、省エネルギー及び温室効果ガス排出削減が期待される。また、ガスエンジンで利用できないLFGについてもフレアスタックによる燃焼/破壊処理によってメタンを二酸化炭素に変換することができるため、温室効果ガス排出削減の効果がある。 システムは、ガス回収設備(垂直抽出井戸、水平配管、ブロアー設備、気密シート)、ガス処理設備、ガス貯留設備、発電設備、送電設備、フレア設備からなる。 発電設備の容量は、発電出力が安定的に確保でき、なおかつ投資効果が高まるように設定する。即ち、プロジェクト期間中における回収可能ガス量の変動に対し、常に定格の発電が可能となるように設定するものとする。 ガスエンジン発電機の容量は、実際にLFGの回収を始め、その量を把握した上で再度検討し、決定するものとする。LFGの発生量が想定よりもかなり少ない場合、あるいはかなり不安定な場合は、発電機を設置せず、フレアだけでメタンガスを破壊処理することも考慮する。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | ベースラインの設定 本プロジェクトでは、「統合化ベースライン方法論 ACM0001/ Version5 ランドフィルガスプロジェクト活動のための統合化ベースライン方法論」を適用する。 ベースラインは以下のシナリオを設定した。 ○LFGの取扱い:LFGの回収は全く行われない。 ○系統の排出係数:マケドニア政府が承認した数値。 追加性の証明 追加性は、追加性の証明ツール(Tools for the demonstration and assessment of additionality)を用いて行う。この中で、ベースラインシナリオの特定を行い、その立証をスクリーニングと投資分析により行う。投資分析では、プロジェクトがベースラインではないことの証明を、ベンチマークを用いて行う。 | |
GHG削減量 | 334,862t-CO2(2008年~2021年の合計)の見込み | |
モニタリング | 本プロジェクトでは、「統合化モニタリング方法論 ACM0001/ Version5 ランドフィルガスプロジェクト活動のための統合化モニタリング方法論」を適用する。 | |
環境影響等 | このプロジェクトは、 ○処分場の悪臭防止という環境改善効果 ○LFGの回収による大気中への汚染物質排出削減という環境改善効果 ○処分場の火災事故防止という環境改善効果 ○老朽化した発電システムの代替効果 など、環境に対して好影響をもたらし、環境保護に関する政策に合致する。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトでは、日本側のプロジェクト参加者がプロジェクトの初期投資(建設費の負担等)を行うが、それ以外のプロジェクトの運営(モニタリング、機器の運転・保守、経理業務、CERの管理、外注・委託契約、人事、報告等)はすべてスコピエ市が実施する予定である。 本プロジェクトは、2008年1月から工事を開始し、2008年7月稼動へ向けて準備を進める予定である。プロジェクトの実施期間は、14年間を予定している。 本プロジェクトにおいては、当該埋立処分場の地形的な特徴である地下水位の問題から、一般的な垂直井戸によるガスの回収が難しい。この点の対応策についてはスコピエ市との協議を継続しているところである。 本プロジェクトにおいては固形廃棄物搬入量予測値の不確実性、LFG発生量の予測不確実性、プロジェクト期間の設定等のリスクの存在もあることから、プロジェクトを進めるにあたっては、それらリスクを慎重に見極めることが必要であると考えている。 |