調査名 | インド・未利用資源を有効利用した無焼成レンガ製造事業調査 | |
調査年度 | 2006(平成18)年度 | |
調査団体 | 亀井製陶(株) | |
調査協力機関 | ・日本側:名古屋工業大学、丸紅(株)、東京電力(株) ・インド側:Jypti Transformers & Electricals | |
調査対象国・地域 | インド・オリッサ州サンバルプール市 | |
対象技術分野 | その他 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素 | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/ クレジット獲得期間 | 10年 | |
報告書 | ||
プロジェクト概要 | インドでは非効率焼成によるレンガが、推計で年間3,600億個製造されており、燃料として大量の低品位石炭が消費され、多くのCO2、SOx、NOx、ばいじんが放出されている。また、製品そのものの品質も粗悪かつ不安定で、2001年に起きたインド西部地震の大きな被害要因にもなったと報告されており、レンガの原料となる粘土の大量採取による荒地化の問題や水資源が少ない国での地下水の大量消費も大きな問題となっている。現地調査の結果、このレンガ焼成に使われる石炭は年間144百万t以上ともなり、排出されるCO2は186百万t以上、またインド国産の石炭は灰分が多い(平均40%)ため、57百万t以上の浮遊粒状物質(SPM)が排出されていることが判明した。 無焼成レンガは、石炭火力発電所などで発生する石炭灰などの廃棄物をそのまま原料としてリサイクル活用し、燃焼工程なしにスラグセメントおよび薬品による化学反応によりレンガを製造するもので、未利用資源の有効活用と環境保全、化石燃料の消費削減(又は転換活用:インドでは2007年には石炭火力発電所への供給不足が133Mtに上ると予測されている)、及び労働環境の改善に繋がる技術として期待でき、既に日本国内では各地で商業化されている。 インド国内のレンガメーカーは設備も建物も無く、組織としても国際的な直接取引きが出来るほどの体を成していないため、現地カウンターパート:Jypti Transformers & Electricals社とともに、既設のレンガメーカーを買収または合弁により、労働力と販売ルートを確保したうえで、既存レンガを「無焼成レンガ」に置き換えることを計画、それにより、 ①石炭の消費を抑制 (省エネルギー) ②原料の90%以上をフライアッシュなどの副産物を利用することによる資源保全(省資源) ③機械製造による安定的な品質の確保 ④水資源の30%以上の節約 ⑤1ライン(年間製造量約5800万個)でおよそ年間30,000tのCO2削減 が期待できることが判明。クレジツトの獲得につながるCDM事業の可能性について、その採算性、実現性を調査した。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | ・ベースラインの設定 AMS II.D. – 産業施設における省エネ及び燃料転換措置/第8版 に規定されるとおり、代替ケースのベースラインは、代替される既存施設ないしサブシステムのエネルギーベースラインによって構成される。代替される既存施設は、従来の石炭集約的な方法で従来型レンガを製造している11件の現地レンガ工場である。上記方法論に規定されるように、排出ベースラインにおける各エネルギー形態に排出係数を乗じる。セクションB.3に記載されるとおり、本ベースラインシナリオにおける排出源は、1)現地レンガ工場における石炭の熱使用によるCO2排出、2)採掘場からこれらの工場への石炭輸送によるCO2排出、3)これらの工場からユーザーへの最終製品輸送によるCO2排出である。したがって、ベースライン排出量は、これら3つの排出源からの排出量の合計である。 ・追加性の証明 技術バリア - 提案される無焼成レンガ製造プロセスは革新的なものであり、プロジェクト実施地域においてこの種のものとしては全く新規のものである。 | |
GHG削減量 | CO2削減量:年間約約3万トン。10年間では約30万トンとなる。 | |
モニタリング | 本プロジェクトでは以下のモニタリングを実施する ①プロジェクト・プラントにおけるy年の電力消費量 ②プロジェクト・プラントにおけるy年のスラグセメント消 ③9tトラックでプロジェクト・プラントに輸送されるスラグセメント ④y年に9tトラックでプロジェクト・プラントに輸送される石炭灰 ⑤y年に9tトラックでプロジェクト・プラントに輸送される製鉄スラグ(sponge iron)量 ⑥プロジェクト・プラントまで9tトラックがセメントを運ぶ輸送距離(片道) ⑦石炭火力発電所からプロジェクト・プラントまで9tトラックが石炭灰を運ぶ輸送距離(片道) ⑧プロジェクト・プラントまで9tトラックが製鉄スラグ(sponge iron)を運ぶ輸送距離(片道) ⑨y年における車両モードvののべ走行距離 | |
環境影響等 | 当該プロジェクトが環境を悪化させる要素は存在しない。当プロジェクトにより、SOx、NOx、ばいじん及び粉塵が減少して大気の環境が改善される。また地下水の使用量も大幅に削減され、製造工程からは廃棄物や排水も出ないため全体的な環境改善効果は大きい。劣悪な労働環境の改善にも役立ち、結果としてGHGが削減されるので、地球温暖化現象の改善にも結びつ<。 | |
事業化に向けて | プロジェクト実施のための資金計画:具体的な投資・融資計画は未定であるが、インド側としては、日本・インドから各12.5%の投資を期待し、残り75%をloanにて資金手当てしたい意向である。日本側のloanとしてはJBIC、商社、銀行等が考えられるが、CER価格の将来動向との関連もあり、現状未定である。全体計画が確定した段階で検討予定である。 |