インドネシアにおける廃棄物処分場バイオガス回収有効利用調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名インドネシアにおける廃棄物処分場バイオガス回収有効利用調査
調査年度2004(平成16)年度
調査団体鹿島建設(株)
調査協力機関八千代エンジニアリング(株)、インドネシア国住宅・インフラ省、ブカシ市清掃局
調査対象国・地域インドネシア(西ジャワ州 ブカシ市)
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガス二酸化炭素, メタン
CDM/JICDM
実施期間2008年~2017年
報告書概要版概要版 (142KB)
詳細版本文(1.3MB)本文(364KB)本文(667KB)
概要当該プロジェクトは、ジャカルタ市の南方約40kmに位置するブカシ市にあるバンタールゲバン廃棄物処分場を対象に、埋立完了後及び使用中の処分場から発生する温室効果ガス(バイオガス)の回収と有効利用(ガス発電設備により電力に変換し売電)を行うものである。同処分場は1989年より供用されており2004年には閉鎖予定である。有機性廃棄物主体の嫌気性構造であることから、多量のメタンガスを主成分とするバイオガスが発生しているが、予算不足、適用技術不足のため閉鎖に際して発生ガスの回収・有効利用は計画されていない状況である。本プロジェクトは、回収したバイオガスを電力に変換することで既存系統電力の使用量を削減すると同時に、変換された電力に相当する化石燃料の使用削減が期待できる。また、処分場の適正閉鎖を実施することで周辺の環境汚染防止にもつながるものである。
ベースラインの設定・追加性の証明ベースライン方法論については、認定方法論ACM0001:媒Consolidated baseline methodology for landfill gas project activities媒 をベースとする。埋立処分場の適正閉鎖の方策しては、埋立地を土で覆う、さらに井戸を設置して埋立地ガスを排出させるという通常の埋立地閉鎖手段の他、コンポスト化や焼却処理等が考えられる。しかしながら、インドネシアにおける処分場の閉鎖方法は一般的に粘性土で覆土するだけのものであり、特別な処理は全く実施していない。また、安全閉鎖を規定するガイドラインや法的規制もない。従って、現状が維持されると仮定した場合に、閉鎖に際してバンタールゲバン処分場がとり得る一般的な代替案は、同処分場のゾーンⅣ、Ⅴのみに採用されている、閉鎖埋立地を土で覆い、井戸を設置して埋立地ガスを排出させる閉鎖方法である。同閉鎖方法をこのプロジェクトにおけるベースラインとする。
インドネシア国は経済発展途上にあり、他に優先する重要公共プロジェクトが多数存在する。また、本プロジェクトの収益性は低く、クレジットなしには経済的に実現しない。よって、本プロジェクトには十分な追加性が認められると考えられる。
GHG削減量温室効果ガスの発生量については、現地におけるボーリング調査での廃棄物成分分析結果及びガス発生量調査結果、毎年のゴミ処分量の統計値に基づいて、IPCCの提案式をベースにして求めた。温室効果ガスの発生量の計算に用いたパラメーターの値を表-1に示す。
       表-1 ガス発生量算定のためのパラメータ
 
また、年度毎の温室効果ガス発生量及び本プロジェクトによるCO2削減量を表-2に示す。
表-2 年間ガス発生量と温暖化ガス削減量

 リーケージについては、オフサイトでの資材調達やオペレーション時の温室効果ガス排出増の影響は無視できる範囲であると考え、本検討では考慮しない。
モニタリングベースライン同様モニタリング手法についても、認定方法論ACM0001をベースとする。本プロジェクトにおけるモニタリングシステムの計画図を図-1に示す。モニタリングは温室効果ガス回収時、ガス発電機での燃焼時、フレアー燃焼時、発電電力量、売電電力量等を連続して計測する。
なお、モニタリング方法等についてはISO9001の規定に従い、マニュアルに基づいて24時間体制で計測、記録を実施する。













図-1 モニタリング計画図
環境影響等本プロジェクトは温暖化ガス回収に伴うゴミ埋立処分場の適正閉鎖により、ハエや悪臭に悩まされている周辺住居地域の環境改善に寄与することから、周辺環境への負のインパクトは発生しない。また、プロジェクト自体が運用中の処分場内で実施され、比較的小規模なため法的規制を受けない(インドネシアでの環境影響評価についてはAMDALの規定に従うが、発電事業の場合、10MW以下の事業ではEIAは不要とされている)ことから、環境影響評価調査等は実施する必要はないと考えられる。
事業化に向けて本プロジェクトの持つCDM事業としてのポテンシャルは非常に高いものであり、採算性の面でも期待できる事業である。但し具体的な事業化にあたっては、以下の課題を解決すべく協議を継続していく必要がある。
① 現地でのゴミ埋立処分事業が将来も継続されるため、事業を行うエリアとゴミ埋立を継続するエリアとを分けてゾーン毎に事業計画を立てていく必要がある。
② 埋立処分事業はジャカルタ市が行っているが、今後新会社を設立し民間に委託する予定とのことであり、今後の運用期間・運営方式・事業主体が流動的である。
地元住民は現在の処分場の運用に反対しており、今後の運用をめぐっては地元住民との調整が非常に重要である。
備考仮バリデーション
PDDのデスクレビューは、OEであるLRQAに依頼し、IETAのバリデーションマニュアルに従い実施した。LRQAは現在すでにUNFCCからIndicative Letterを受領しており、近くDOEに認証される予定である。
デスクレビュー結果においては、事業実施体制やプロジェクト実施計画が確定していないことに関連した指摘や、ホスト国の承認体制・評価基準に関連した指摘が比較的多くみられた。