調査名 | マレーシアにおける高効率バイオマス発電事業調査 | |
調査年度 | 2004(平成16)年度 | |
調査団体 | JFEエンジニアリング(株) | |
調査協力機関 | 関西電力(株)、(株)環境総合テクノス、双日マレーシア、JFEエンジニアリングマレーシア | |
調査対象国・地域 | マレーシア(ジョホール州) | |
対象技術分野 | バイオマス利用 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素 | |
CDM/JI | CDM | |
実施期間 | 2008年~2029年 | |
報告書 | 概要版 | 概要版 (63KB) |
詳細版 | 本文 (2.4MB) | |
概要 | マレーシアジョホール州のパームオイル工場において、パーム空果房を燃料としたバイオマス発電を実施し、マレーシア政府の小規模再生可能エネルギープログラムの下で電力会社へ売電を行なう。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | 本CDMプロジェクトは、設備容量が3.8MWであり小規模CDMとなるため、ベースラインとしては、小規模CDMタイプI.Dにおける適用可能な簡易化ベースラインのうち、「現状の発電ミックスの加重平均排出量」を選定する。すなわち、事業開始時点での最新の発電ミックス加重平均排出量(本プロジェクトの売電量にグリッド電源の加重平均排出係数を乗じた値)をベースラインとする。 | |
GHG削減量 | 半島マレーシア電力供給グリッドの排出原単位試算データにより、現状の発電ミックスの加重平均排出量(全電源平均排出原単位)を0.595kgCO2/kWhと試算した。本プロジェクトによる半島マレーシア電力供給グリッドへの売電量と同量(年間25,664,000kWh)の電力を、上記の全電源平均排出原単位(0.595kgCO2/kWh)をもつ電源を使用して供給する場合(ベースラインシナリオ)の温室効果ガス排出量がそのままベースライン排出量となる。すなわち、 年間ベースライン排出量=25,664,000kWh/年×0.595kgCO2/kWh=15,270,080kgCO2/年 となる。本プロジェクト実施において排出される温室効果ガスは極めて微小であることから、今回はゼロと仮定した。 よって、 年間温室効果ガス排出削減量=15,270tCO2/年-0tCO2/年=15,270tCO2/年 クレジット期間全体(21年間)温室効果ガス排出削減量=15,270tCO2/年×21年=320,670tCO2 | |
モニタリング | 本プロジェクトが該当する小規模CDMプロジェクトのタイプI.Dのモニタリング方法論と計画については、ベースライン方法論と同様に簡素化された規定の手続きが利用できる。本プロジェクトでモニタリングする項目は、TNBへの売電量、すなわち半島マレーシアの電力グリッドへの電力供給量のみである。本プロジェクト側からの送電量およびTNB側(半島マレーシア電力グリッド)の受電量を、それぞれの側で設置した電力計および会計書類でモニタリングすることになる。 | |
環境影響等 | 1974年環境法に基づく1987年環境影響評価に関する環境命令(Environmental Quality (Prescribed Activities)(Environmental Impact Assessment) Order 1987)に規定される19分野の事業に該当する場合は、所定の手続きによる環境影響評価報告書を作成し、環境局長官に提出して承認を得る必要がある。本プロジェクトの場合、19分野のうち、「発電・送電」分野に該当すると考えられる。その中にはバイオマス発電を規定した項目はないが、最も近い条件としては化石燃料を用いた火力発電所に対する規定がある。その場合の環境影響評価対象事業に該当する条件は以下の通りである。 「化石燃料を燃焼する、10メガワット以上の発電能力を有する火力発電所の建設」 本プロジェクトの場合、10メガワット未満であるので、環境影響評価対象事業には該当しないと判断した。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトはSREP制度を活用することから、申請窓口であるEnergy Commissionへの申請作業、TNBとの売電契約交渉等を進めていく必要がある。 また、EFBを燃料とする発電プロジェクトであることから、燃料の安定供給が最も重要となる。特に本プロジェクトはサイトに隣接するパーム工場から得られるEFBだけでは充分な量を確保することができず、近隣工場から供給を受けるなど、燃料供給体制の信頼度の観点から注意を要すため、Kulim社とは燃料供給を含めて継続的な協議が必要となる。 さらに、クレジットを1t-CO2=US$10で計算したとしても投資回収年数が10年を超えてしまい、現状の事業費のままでは実施することが難しい。今後も主要機器の現地調達可能性を探り、実施可能性を高めていくことが必要となる。 |