ウクライナ・ルガンスク市埋立処分場メタンガス利用調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名ウクライナ・ルガンスク市埋立処分場メタンガス利用調査
調査年度2004(平成16)年度
調査団体清水建設(株)
調査協力機関ルガンスク市、プロトス社
調査対象国・地域ウクライナ(ルガンスク市)
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガス二酸化炭素, メタン
CDM/JIJI
実施期間2008年~2022年
報告書概要版概要版 (166KB)
詳細版本文(2.7MB)
概要 システムは、ガス回収設備(垂直抽出井戸、水平配管、ブロアー設備、気密シート)、ガス処理設備、ガス貯留設備、発電設備、送電設備、フレア設備からなる。
 発電設備の容量は、発電出力が安定的に確保でき、なおかつ投資効果が高まるように設定する。即ち、プロジェクト期間中における回収可能ガス量の変動に対し、常に定格の発電が可能となるように設定するものとする。現在の予測では、500kWの発電機を1基設置できる見込みである。このガスエンジン発電機からの発電電力の一部は、ブロアー等所内で消費され、余剰分が系統に売電される予定である。
 ガスエンジン発電機の容量は、実際にLFGの回収を始め、その量を把握した上で再度検討し、決定するものとする。LFGの発生量が想定よりもかなり少ない場合、あるいはかなり不安定な場合は、発電機を設置せず、フレア処理だけでメタンガスを破壊処理することも考慮する。
 フレア設備は、ガスエンジン発電機に対して余剰のメタンガスを破壊する目的で設置する。また、ガスエンジン発電機が点検や緊急停止で使用できない場合には、発生するメタンガスの全量をフレア設備で破壊する。
ベースラインの設定・追加性の証明ベースラインの設定
 本プロジェクトでは、統合化方法論ACM0001(Consolidated baseline methodology for landfill gas project activitiesとConsolidated monitoring methodology for landfill gas project activities)をベースライン方法論、及びモニタリング方法論として採用している。一方、本プロジェクトは、発電によって系統側のエネルギーの利用を避けたことによる排出削減をクレームするが、その際のベースラインは、ウクライナ政府が承認した数値を使用する。
 ベースラインは以下のシナリオを設定した。
○LFGの取扱い:LFGの回収は全く行われない。
○系統の排出係数:ウクライナ政府が承認した数値。

追加性の証明
 追加性は、追加性の証明ツール(Tools for the demonstration and assessment of additionality)を用いて行う。この中で、ベースラインシナリオの特定を行い、その立証をスクリーニングと投資分析により行う。投資分析では、プロジェクトがベースラインではないことの証明をベンチマークを用いて行う。
GHG削減量4.63×105t-CO2(2008年~2022年の合計)の見込み
モニタリング本プロジェクトでは、統合化方法論ACM0001(Consolidated baseline methodology for landfill gas project activitiesとConsolidated monitoring methodology for landfill gas project activities)をベースライン方法論及びモニタリング方法論として採用している。
環境影響等このプロジェクトは、
○処分場の悪臭防止という環境改善効果
○LFGの回収による大気中への汚染物質排出削減という環境改善効果
○処分場の火災事故防止という環境改善効果
○老朽化した発電システムの代替効果
など、環境に対して好影響をもたらし、ウクライナの環境保護に対する政策に合致する。
事業化に向けて本プロジェクトは、クレジットが獲得できる2008年1月稼動へ向けて準備を進める予定である。
備考仮バリデーション
 OEは、日本国内に営業拠点を持ち、CDMの有効化審査及びJIの適格性決定に実績がある者を選ぶ必要がある。また、当該プロジェクトの分野(Sectoral Scopes=1と13)において、CDM理事会から信任を受けているOEを選定することが望ましいと考えた。そこで、DNV社をOEとして採用することに決定した。
 現段階までのDNVとのやり取りでは、2005年1月21日に実施した当社へのインタビューがある。この中で、DNVは、1つのCAR(Corrective Action request)と10個のCL(Clarification)を指摘した。これらの指摘事項は、PDDの第2版に反映され、2月17日付の最終報告書では指摘事項はなくなり、本プロジェクトは「In the view of the determination team, “Lugansk Landfill Gas Capture and Power Generation Project in Ukraine” is likely to meet the UNFCCC criteria for JI project activities.」「Emission reductions attributable to the project are hence additional.」「The project is likely to achieve the estimated amount of emission reductions.」(いずれも、DNV作成のPRELIMINARY DETERMINATION REPORTの5 DETERMINATION OPINIONより引用)との結論が示された。