調査名 | ベトナム・高効率エアコン導入に関する新方法論の開発を伴うCDM実現可能性調査 |
---|---|
調査年度 | 2011年度 |
調査団体 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 |
調査協力機関 | ベトナム商工省(MOIT: Ministry of Industry and Trade) 省エネルギーセンター(ECC: Energy Conservation Center) エネルギー研究所(IE: Institute of Energy) |
調査対象国・地域 | ベトナム |
対象技術分野 | その他(省エネ) |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2) |
CDM/JI | CDM |
報告書 | 概要版 |
プロジェクトの概要 | 本プロジェクトは、温室効果ガスの排出削減を実現すべく、ベトナム商工省(MOIT: Ministry of Industry and Trade)を中心とした組織が、補助金を活用することにより、ベトナム全域での、高効率ヒートポンプ技術を採用した家庭用インバーター・エアコンの普及促進を目的としたものである。 世界のトップ水準にある我が国の高効率エアコンを段階的に導入し、従来型の非インバーター・エアコンを置き換えることにより、ベトナム全土において、年平均121,853tCO2の温室効果ガスの排出削減が期待できる。 また、本プロジェクトは、温室効果ガスの排出量削減だけでなく、環境汚染対策として、系統電源に接続する発電所からのNOx、SOx、ばいじんの排出量削減にも寄与するものである。本調査を通じ、本プロジェクトに適用可能なCDM方法論を開発し、2013年4月以降のプロジェクト開始を目指す。 |
適用方法論 | Methodology for introduction of energy efficient air conditioners to households (新方法論) |
ベースラインの設定 | 本プロジェクト地域で実施するエアコン市場に関する投資分析を用いてベースラインシナリオを設定する。プロジェクト開始前に、市場で普及している機器を調査し、投資分析の結果、最も経済性が高い機種をベースライン機種として特定する手法を用いた。 |
モニタリング | サンプル世帯をランダムに選択し、対象世帯に調査票を配布することにより、エアコンのエネルギー効率等、モニタリングに必要となる項目に関する情報を収集する。モニタリングの実施頻度は、原則、年一度とする。 |
GHG削減量 | 121,853tCO2/年(平均) |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2013年~2027年/2014年~2028年(7年間を1回更新) |
環境影響等 | 従来型普及機種と比べてエネルギー消費量の少ないインバーター・エアコンを導入することにより、導入家庭における消費電力の削減を図るものである。これにより、電力グリッドに接続する発電所における燃料使用量の削減に貢献し、化石燃料の燃焼によって発生する温室効果ガスを削減する環境的に持続可能な社会の構築に貢献するものである。 |
追加性の証明 | 独自に実施した市場調査より得た高効率家電購入時の意思決定を促す3都市の平均投資回収年数(初期購入費差額 / 省エネによる電気料金削減額)3.5年をベンチマークとしている。2011年のデータを基に投資回収年数を算出した結果、補助金がない場合の投資回収年数は12年と、ベンチマーク値を上回り、インバーター・エアコンの購入のインセンティブがないことが明らかとなった。 |
事業化に向けて | 現地調査における関係機関との協議の結果、本プロジェクトに関するニーズは高く、方法論が承認された暁には予算化についても政府内で検討がされているとのことである。ただし、政府の予算も逼迫した状況にあるため、CERによる収益の確保が不可欠であり、そのためにも方法論の早期承認が望まれている。方法論が承認された際には直ちにプロジェクト実施段階に進めるよう、プロジェクト実施計画の協議を現地関係機関と開始した。 |
「コベネフィット」効果 (ローカルな環境問題の改善の効果) | 本プロジェクトは、一般家庭における高効率機器の導入により電力需要を減らし、その家庭が電力供給を受けるグリッド電力に接続する発電所での化石燃料使用から放出される大気汚染物質の削減に間接的に寄与するものである。 |
ホスト国における持続可能な開発への寄与 | 本プロジェクトは、ベトナムにおけるエネルギーの安定供給をベースにした経済成長と、電力需要の適正化による発電所における化石燃料の燃焼から発生する汚染物質の低減、更には気候変動の緩和を実現するものであり、「包括的貧困削減と成長戦略」、「環境保護国家戦略」等で掲げられたベトナムの持続可能な開発目標に多いに寄与すると考える。 |