調査名 | タイ・ナコンサワン県砂糖・エタノール工場における廃水バイオガス発電及び有機廃棄物コンポスト化CDM事業調査 | |
調査年度 | 2009(平成21)年度 | |
調査団体 | 東北電力株式会社 | |
調査協力機関 | 三菱UFJ証券株式会社 | |
調査対象国・地域 | タイ(ナコンサワン県) | |
対象技術分野 | 廃棄物管理 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2010年~2024年/2011年~2022年 | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 本事業は、エタノール製造工場から発生する有機排水からバイオガスを生成し、そのバイオガスを利用して発電事業(10MW)を行うものである。適用技術は、隣接する砂糖工場の副産物であるモラセス(糖蜜)を原材料としたエタノール製造工場から排水される有機廃水を嫌気性分解してメタンガスを発生させ、そのメタンガスを回収して発電に利用するものである。隣接砂糖工場では、サトウキビの搾り残さであるモラセスをエタノールの原材料として、本プロジェクトの対象となるエタノール工場に供給している。 プロジェクト計画段階では、エタノール及び砂糖製造工場から発生する有機廃水と有機固形廃棄物を再利用し、それぞれ、バイオガス発電事業(10MW)と有機肥料製造(9 万トン/年)をする複合プロジェクトを検討していた。具体的には、 ① バイオガス製造・発電設備:有機廃水からバイオガスを生成し10MW の発電を行う。 ② コンポスト製造設備:年間9 万トンの有機コンポスト(有機肥料)を製造する。 の2つの設備を構成し、このうちバイオガス製造施設では、エタノール製造工場からの有機廃水を処理し、バイオガスを生成する。バイオガスは10MWのガスエンジン設備により発電に利用し、約8MW程度をタイの地方配電公社に販売する。コンポスト製造施設では、エタノール工場に隣接する砂糖工場からの有機固形廃棄物である「ろ過ケーキ」とバイオガス製造設備からの処理済排水を混合し、有機コンポストを製造し、砂糖工場に販売、砂糖工場の契約プランテーションに供給される。 しかしながら、調査を進める中で、製造される計画であったコンポストがタイ政府のコンポスト基準を満たさないことが判明し、コンポスト製造部分を事業化することができなくなったため、エタノール工場廃水によるバイオガス利用発電事業として、本プロジェクトを進めることとした。 | |
適用方法論 | ACM0014「産業廃水処理からの温室効果ガス排出量の削減」 | |
ベースラインの設定 | エタノール製造工場では、廃水処理として開放型ラグーンによる処理が行われており、ACM0014におけるシナリオ1「明らかに嫌気状態である開放型ラグーンにて廃水処理がされている」が適用される。この処理方法は、エタノールプラントにおいてコストが最も少なく技術的にも簡易であるため、タイで最も広く使用されている。 | |
追加性の証明 | ACM0014が求めている追加性ツールに基づく証明のうちベンチマーク分析を適用し、CER売却による収入を見込まない場合のエクイティIRRを算出した。この結果、タイにおけるエネルギー・電力セクターに属する企業の平均収益性を下回る値となり、本プロジェクトは通常のビジネス判断では経済性が低く実施される可能性が低いことが判明した。 | |
GHG削減想定量 | 199,058tCO2/年 | |
モニタリング | モニタリング装置は専門家によって設置され、定められた周期で校正される。モニタリングにあたりプロジェクト会社の下にモニタリングチームを構築し、方法論に規定されるモニタリング項目を定期的にモニタリングする。同チームは、CDMプロジェクトの運用・メンテナンスから、排出削減量算定に必要な全ての事項のデータ収集に対し責任を負う。 | |
環境影響等 | プロジェクト地点は首都バンコクの北約170kmに位置し、周囲を平坦な原野及びサトウキビ畑に囲まれる。工場周辺は極めて僅かなサトウキビ農家が点在する以外まとまった居住地区はなく、新たに本プロジェクトが実施されることによる、自然・住民環境に与える影響はないものと想定される。 タイ政府の規定による本プロジェクトに適用される初期環境影響評価は、現在現地カウンターパートにおいて準備中であり、既に同地域の関係行政局に対し基本説明を実施し了解を得ている。今後IEEの正式完成ののち、タイにおける担当部局である天然資源省(MONRE)、天然資源環境政策計画局(ONEP)に説明することとしている。 | |
事業化に向けて | 本事業は、タイ有数の精糖事業者による大規模なエタノール工場から安定的に供給される有機廃水を原料として活用した事業であり、その供給はエタノール工場事業者とのBOT契約により長期にわたり保証される。またプロジェクトにより発電される電力は地方配電公社(PEA)に長期売買され、その価格はタイ政府により明確に規定されており長期的なキャッシュフローの評価が可能である。また、本プロジェクトでは、一定期間におけるVSPPスキームによる売電価格への補助金及び法人税免除の適用対象となり、CDM事業としては比較的安定した収益性が確保できる見込みであり、事業化の可能性は高い。 | |
環境汚染対策効果 | 工場や事業所などからの排水を対象とした水質処理分野におけるコベネフィット型温暖化対策・CDMプロジェクトの実施効果の評価指標である、「COD」及び「臭気」が対象となり、それぞれプロジェクトの実施によるCOD排出削減効果と臭指標の変化による悪臭抑制効果の評価が可能である。 |