調査名 | 中国・江蘇省における農林業残渣のペレットを利用したコジェネレーションCDM事業調査 | |
調査年度 | 2009(平成21)年度 | |
調査団体 | 日本エヌ・ユー・エス株式会社 | |
調査協力機関 | 清華大学CDM R&Dセンター、北京喜地愛母科技諮問公司、徐州宜丰三堡环保热电有限公司 | |
調査対象国・地域 | 中国(江蘇省) | |
対象技術分野 | バイオマス利用 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2012年~2026年/2012年~2021年 | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 中国の江蘇省銅山县(Jiangsu Province, Tongshan Xian)に50MW規模のバイオマスコジェネレーションプラントを新規建設し、周辺の農村から回収される農業残渣を燃料として発電及び熱供給を行う。本プロジェクトでは、130t/hのボイラー3台、25MWの蒸気タービン2台並びに30MWの発電機2台(合計出力50MW)を導入する。温室効果ガス削減のカウントの対象となる活動は、グリッド電力の代替並びに腐敗放置されている農業残渣の利用によるメタンガスの排出回避である。本プロジェクトの実施により、2012~2021年のクレジット獲得期間10年間において、毎年約27万tCO2の排出削減が見込まれる。 | |
適用方法論 | ACM0006(Version 9)、及びACM0002(Version 10) | |
ベースラインの設定 | 本プロジェクトに適用する方法論は、ACM0006 “Consolidated methodology for grid-connected electricity generation from biomass residues” (Version 09) である。本プロジェクトでは、(1)グリッド電力の利用(P4)、(2)地域熱など外部熱源からの熱の利用(H7)、(3)バイオマス残渣の投棄・自然腐敗・焼却(B1)の組み合わせであるシナリオNo.2がベースラインシナリオとして同定された。 | |
追加性の証明 | 追加性は“Combined tool to identify the baseline scenario and demonstrate additionality”に基づき検討した。投資分析では、本プロジェクトのIRRは、CERの販売収入がない場合は4.51%であり、中国政府が定める発電産業の総投資に対する部門別ベンチマークの8%を下回る。しかしながら、CERの販売収入(9ユーロ/CER)を加味した場合は12.03%にまで向上する結果となった。また、慣行分析の結果、江蘇省で実施されているバイオマス発電事業は大半がCDMとして開発されたものであり、本プロジェクトは江蘇省において慣行的に実施されているとはいえないことが示された。検証の結果、ベースラインシナリオ以外は、障壁があるため実施が困難であることが証明された。 | |
GHG削減想定量 | 274,584tCO2/年 | |
モニタリング | 方法論ACM0006と関連するツールに従いモニタリングを実施する。主なモニタリング項目は、(1)バイオマス残渣消費量、(2)バイオマス残渣輸送量、(3)バイオマス残渣の準熱量値、(4)燃料ペレット製造施設からサイトまでの平均往復距離、(5)トラック平均積載量、(6)化石燃料消費量、(7)正味発電量、(8)消費電力量、(9)地域のバイオマス残渣の利用可能量など。 | |
環境影響等 | 環境影響評価は2006年に実施されており、大気、水、固体廃棄物、騒音について評価が行われている。その結果、本プロジェクトによる周辺環境への影響は小さく、廃水や固体廃棄物の排出量も最小限に抑えるよう対策が講じられる計画となっている。大気環境に関しては脱硫効率の高い流動床ボイラーや集じん浄化システムを導入するなどの対策を講じている。対処が必要なその他間接影響は、特にないものと予想される。 | |
事業化に向けて | 本調査の結果、本プロジェクトは追加性を有しており、年間約27万tCO2の排出削減量が見込めるプロジェクトであり、CDMとして実施した場合にはある程度の経済性があることが分かった。本プロジェクトの事業化を目指す上では、同事業に共同出資する投資パートナーの獲得が重要な課題である。今後、日本の投資家と出資条件などについて議論を進め、合弁会社の早期設立を目指す。 | |
環境汚染対策効果 | 本調査では、系統電力の代替による「大気汚染物質の削減」としてSO2の排出削減量、並びに農業残渣の利用による「廃棄物発生量の削減」の定量評価を行った。調査の結果、まずSO2排出量についてはプロジェクトで発電された電力が系統電力に供給されることで、1,464t/年の排出削減につながることが明らかになった。また、農業残渣については約42万t/年がプロジェクトで使用されるため、廃棄物の発生削減につながる。 | |
持続可能な開発への貢献 | 本プロジェクトが中国及び地域の持続的発展に貢献できる点としては、主に次の4項目が挙げられる: (1)農業残渣の有効利用とエネルギー自給率の向上 (2)プロジェクトで農業残渣を買い取ることで農民が新たな収入源を得ることによる農民の生活レベルの向上 (3)雇用の創出 (4)熱の集中型安定供給による地域の産業発展 |