調査名 | フィリピン・精米工場における籾殻利用発電CDM事業調査 | |
調査年度 | 2008(平成20)年度 | |
調査団体 | 日本技術開発株式会社 | |
調査協力機関 | Isabela La Suerte Rice Mill Corporation、Tranzen Group Inc. | |
調査対象国・地域 | フィリピン(イサベラ州) | |
対象技術分野 | バイオマス利用 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2)、及びメタン(CH4) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 | 2010年~2019年/2010年~2019年 | |
報告書 | ||
プロジェクトの概要 | 本プロジェクトは、ルソン島中央部のサンマニュエル市にある精米会社であるIsabela La Suerte Rice Mill社の3精米工場から排出される、未利用の廃棄物である籾殻(47,000t/年)を燃料として利用する、発電容量2MWの発電プロジェクトである。 本プロジェクトの実施により、現在精米工程に使用されているディーゼル発電電力及び公共グリッドからの給電電力を、カーボンニュートラルな精米後の籾殻をクリーンエネルギー源として利用することで代替する。さらに、一部埋立処分されて腐敗している籾殻からのメタンの排出を抑制することにつながる。 | |
ベースラインの設定 | 本プロジェクトは、精米工場で発生する籾殻を“管理燃焼”することにより「発電」を実施し、それらのプロジェクト活動により、現状、最終処分場に投棄処分されている籾殻の腐敗及びメタン発生を回避する。精米工場で使用する電力は、上記稼働中の1MW発電分以外は、燃料として化石燃料の軽油が使用されているディーゼル発電機及び不安定な公共グリッドからの給電により賄われている。 本プロジェクトの計画発電容量は2MWであり、15MW以下であることから、本プロジェクトは小規模CDMプロジェクトとされ、方法論は上記状況からAMS-I.CとAMS-Ⅲ.Eを適用する。 | |
追加性の証明 | 既存の1MW発電プロジェクトは採算性がとれておらず、投資の魅力に乏しいため、そのままでは既存の1MW発電プロジェクトと同種の本プロジェクトの実施は難しい。投資分析により、本プロジェクトはCERs売却益がない場合、ベンチマークである銀行の長期金利を下回り、CDMプロジェクトでない場合は、実現可能性が低いと判断される、少なくとも投資バリアが存在することが証明されるため、本プロジェクトは追加的である。 | |
GHG削減想定量 | 年平均18,675tCO2、186,756tCO2/10年間 | |
モニタリング | 本プロジェクトでは、AMS-I.C及びAMS-Ⅲ.Eに従って、排出削減量の検証に必要となるパラメーターをモニタリングする。モニタリングは、プロジェクトプラントの各箇所及び発電機等での籾殻燃焼量や発電量を直接測定することを基本としている。モニタリング計画では、それらの値を計装機器により測定する方法を採用する。 | |
環境影響等 | ホスト国における環境影響評価に関する法律、基準等を調査した。廃棄物発電プロジェクトに分類される本プロジェクトのプラント規模(2MW)では、初期環境調査書(IEE:Initial Environmental Examination)の提出による環境適合証明(ECC:Environmental Compliance Certificate)が必要である。また、本プロジェクト実施に係る環境影響及び社会影響として、温室効果ガス削減、廃棄物発生削減、電力供給、雇用創出、環境保全意識の普及啓発等が期待される。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトの事業化に向けて、技術的には海外技術に依存する部分はあるものの、既存のプラントが稼働しており、運転技術などの蓄積はあるため実現の可能性は高いものと思われる。 世界的な金融危機が、フィリピン側出資者の資金計画に影響を与える可能性がある。一方、日本側出資者は、為替変動のリスクを考慮する必要がある。また、CDM登録に至るまでにCDM理事会等の審査手続きの長期化や、2013年以降の動向によっては、CERsの売却益の低下等が懸念される。 | |
コベネフィットの実現 | 本プロジェクト実施により、2MWの籾殻発電プラントで燃料として消費される39,270t/年の籾殻は、廃棄物としての埋立処分が回避されるため、廃棄物発生量削減という公害防止効果として定量化できる。さらに、本プロジェクト実施により、籾殻の腐敗による水質悪化、悪臭の発生の回避、また一部で行われている籾殻の野焼きによる大気汚染の削減なども挙げられ、バイオマスエネルギー発電による化石燃料での発電シェアの低減(化石燃料の使用削減)による大気汚染防止効果など、間接的に発生する大気汚染などの公害も抑制できるという改善効果ももたらされる可能性が示唆される。 |