調査名 | タイ・アルコール工場排水からのメタン回収及び発電プロジェクト | |
調査年度 | 2007(平成19)年度 | |
調査団体 | 兼松株式会社(KG) | |
調査協力機関 | Thai Beverage PLC(TB)、Bionic Humus Co., Ltd.(BHC)、関西設計株式会社(KDC)、Toyo-Thai Corporation Limited(TTCL) | |
調査対象国・地域 | タイ・ナコーンパトム県ドーントゥーム郡 | |
対象技術分野 | バイオマス利用 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4) | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間/ クレジット獲得期間 | 2010年~2019年(10年間)/2010年~2019年(10年間) | |
報告書 | ||
プロジェクト概要 | Thai Beverage PLCはモラセス(糖蜜)を原料とする飲料用アルコール製造工場を17工場所有している。この17工場の一つであるナコーンパトム県ドーントゥーム郡に位置するこの工場では蒸留後の排水が嫌気性オープンラグーン形式の排水処理設備で処理されている。しかしながら、排水処理設備の嫌気性ラグーンが巨大となり、その土地の確保に窮しているとともに、そこからの悪臭対策に苦慮している。また、嫌気性オープンラグーンからのメタンガスが、使用されることなく大気中へ放出されているのが現状である。よってこの状況を改善し、メタンガスを有効利用するために、新設の嫌気性発酵槽(ADI-BVF Reactor)を設けることによりメタンガスの回収率を画期的にあげて、メタンガスを回収し、高効率ガスエンジン発電用の燃料として使用し、また余剰メタンガス及び緊急時運転に対応するためのフレアリング設備を設置するプロジェクトを実施することにより、省エネとCO2削減を図る。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | プロジェクト活動が行われない理由として説明すべき障壁は、4つの中から一つ以上について証明する。
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GHG削減量 | ・ベースライン排出量:64,831 t-CO2e ・プロジェクト排出量:24,005 t-CO2e ・排出削減量:40,826 t-CO2 ・リーケージ:0 t-CO2e | |
モニタリング | 排出量の算定等に必要な項目をモニターする必要がある。 D:年間放流日数:330日、 Qd,ww:一日処理排水量:450m3/日、 Qy,ww:年間処理排水量:148,500m3、 CODy,ww,untreated:入口排水の化学的酸素要求量:0.115t/m3、 CODy,ww,treated:出口排水の化学的酸素要求量:0.0345t/m3、 EPcomsumed:年間消費電力量:825MWh、 EPBIO:年間バイオガス発電ユニット製造電力量:8,984MWh、 Tflare:フレアからの排ガス温度:500℃以上、 Tflare_time:フレア内500℃の維持持続時間:測定min/h、 Sy,final:年間処理システムからの汚泥量:測定t、 Tbiogas:バイオガス燃焼温度:測定℃/K、 Pbiogas:バイオガス燃焼圧力:測定bar、 DOCy,s,final:排水処理によって発生する最終汚泥の年間分解性有機含有量:0.09、 MCFs,final:最終汚泥を受けとる埋立地のメタン補正係数:0、 Vtotal:年間バイオガス流量:5,406,999m3、 Vgene:発電機ユニット入口のバイオガス流量:約91% m3、 Vflare:フレアへのバイオガス量:約9% m3、PCH4:バイオガスメタン含有量:65% | |
環境影響等 | IEEはONEPの事前IEEのためのガイドラインに従って記述するが最も重要視されているのは、地域貢献である。これは道路、地域雇用者の採用、ユーティリティ設備のインフラ等の要求があり、コストインパクトが非常に大きく、プロジェクト実施に大きな影響を及ぼす。よって、この件についてプロジェクト実施に向けて、TB社(所有者)に詳細に説明を行うと共に別途協議、検討が必要である。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトは、CER価格を20US$/t-CO2とするとIRR(税引後)は10.6%であった。今後の課題として、 1)TB社(所有者)の承認 解決策として以下が挙げられる。 ①熱利用設備への全量変換 ②H2S回収システムのBHC社自社開発の機器の使用によるコスト削減 ③嫌気性発酵槽の材料(ジオメンブレンカバーシステム)を現地調達によるコスト削減 ④ガスエンジン発電設備の中古品の利用 ⑤スラッジ分のコンポストとしての利用 ⑥最終的にはタイでの所有者(TB社)によって競争させられるため、CER買取価格の差別化が必要である。よって、CER単価をEUユーロベースまで上げることを目標とする。 2)排水変動 排水計画が平均であり、近日中にアルコール生産体制が各工場に割り当てられその生産量の計画変更が予定されている。解決策として更なる排水量が増加することを前提にTB社と工場生産計画を見直すよう協議を行う。 3)COD除去率の保証値 ADIとは保証値65%、設計値70%で協議しているが、今後解決策として保証値70%まで上げるようにする。 4)IEEに関連する、ステークホルダーの集会の実施 解決策として住民の要求が非常に大きいが、住民対策等での追加費用が少なくなるよう、TB社の十分な説明(根回し)と住民との同意が必要である。 |