ラオス・未電化地域におけるバイオマスを活用した電化事業調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名ラオス・未電化地域におけるバイオマスを活用した電化事業調査
調査年度2007(平成19)年度
調査団体中国電力株式会社
調査協力機関清水建設株式会社、ラオス・エネルギー鉱業省、国立ラオス大学
調査対象国・地域ラオス
対象技術分野バイオマス利用
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/
クレジット獲得期間
2007~2023/2010~2023
報告書
プロジェクト概要本プロジェクトの対象国であるラオス人民民主共和国(以下、ラオス)は、インドシナ半島の内陸に位置する最後発国(LDC)で、同国政府は「2020年までに後発途上国から脱却すること」を最上位の目標として掲げ、その具体的な施策として、現在48%に過ぎない電化率を2010年に70%、2020年に90%に向上させることに取組んでいる。
 本プロジェクトは、同国において最優先の開発ニーズである農村電化促進を、村落から発生する農業廃棄物などのバイオマスをガス化し、同国に自生するジャトロファから得られる油とディーゼル発電装置の燃料として活用するもので、パイロット・プロジェクト(CPA)として、サヤブリ県ピアン郡の未電化村を対象とした。
 あわせて、今後、電化が進められる約6、000村の未電化地域に対して、関係省庁における地方電化施策との整合をはかりつつ、本プロジェクトをプログラム化(POA)して普及・展開を目指すものである。
ベースラインの設定・追加性の証明ベースラインの設定
 現在、未電化である約6,000村については、個別の電化促進のシナリオはないため、ラオス全体の電化促進政策に基づいたシナリオ(2020年までに電化率90%)で、ディーゼル発電を活用したオフグリッドでの電化が進められるものとした。
追加性の証明
 本プロジェクトについてのCER販売収入を見込まないケースのIRRは、パイロット・プロジェクトで8%程度、プログラム化ではマイナスとなり、カントリーリスクなどを考慮すると、投資的魅力はなく実現性が低い。
GHG削減量 調査結果に基づく条件を前提とし、小規模CDM方法論AMS-I.Aにより算出した結果、パイロット・プロジェクトにおけるGHG削減量は10,010t-CO2と想定される。
モニタリング 本プロジェクトにおいては、小規模CDM方法論をモニタリング方法論として適用する。
環境影響等 本プロジェクトは、ラオスの村落で未利用の農業廃棄物等のバイオマスを発電装置のエネルギーとして活用するもので環境への影響はない。
 ラオスの環境関連制度に基づくと、本プロジェクトは発電プロジェクトとして、「電力プロジェクトにおける環境管理基準」による環境評価を行なうことになる。本プロジェクトでは個別プロジェクトの発電出力が100kW以下であることから、事業内容説明書の提出のみでそれ以上の環境影響評価は不要である。
事業化に向けて 本プロジェクトは、ラオスの開発ニーズである農村電化による貧困撲滅を、これら村落から発生する農業廃棄物などのバイオマスを発電装置のエネルギー源として活用することで実現する「コベネフィッツ型CDM」である。
 個別プロジェクト(CPA)では、GHG削減量が小さくCDMプロジェクトとしての魅力は低いが、これをプログラム化することにより普及・展開することで大きなGHG削減量を得ることが出来る。これを実現するためには、同国のDNAである水資源・環境庁(WREA: Water Resource and Environment Agency)など関係機関との調整を進めるとともに、以下のような課題について解決への取り組みを行なう必要がある。
  • バイオマス燃料買取価格に関するリスク
  • 売電単価変動に関するリスク
  • プロジェクト技術の実証
  • ラオスにおけるCDMプロジェクトの推進