調査名 | インドネシア国・バンジャチャヤナ灌漑水路における統合小水力開発基礎調査 | |
調査年度 | 2005(平成17)年度 | |
調査団体 | 中国電力(株) | |
調査協力機関 | (株)大和総研、中電技術コンサルタント(株)、インドネシア科学技術応用庁、インドネシアパワー社 | |
調査対象国・地域 | インドネシア(中央ジャワ州 バンジャネガラ県) | |
対象技術分野 | 再生可能エネルギー(水力発電) | |
対象削減ガス | 二酸化炭素 | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間 | 2008~2014(7年間,2回更新予定) | |
報告書 | 概要版 | 概要版(1.7MB) |
詳細版 | 本文(2.8MB)本文(2.8MB) | |
プロジェクト概要 | 本調査では,SITEKI&PLUMBUNGANプロジェクトと6地点プロジェクトという2つのプロジェクトに分けて検討が行われている。両プロジェクトともBanjarcahyana灌漑施設に位置するが,両者は約1km以上離れている。Banjarcahyana灌漑施設は,中部ジャワ州スマラン市南西80kmのBanjarnegara県に位置する。この灌漑施設は1912年に旧オランダ統治下で建設されたものであり,1989年に建設された灌漑施設の上流端に建設されたムリチャダム/貯水池により水が供給されている。本プロジェクトは,この灌漑水路する点在する落差工の未利用落差及び灌漑用水に流れる安定した流量を利用し,小水力発電を行うものである。本プロジェクトは,GHGを排出しない小水力発電により既存系統電力の発電電力を削減するとともに,これに相当する化石燃料の使用量の削減を目的とするものである。SITEKI&PLUMBUNGANプロジェクトと6地点プロジェクトの合計出力はそれぞれ2.8MWと1.36MWである。新たに設置される設備は小規模であり,本プロジェクトは環境にやさしい開発であると言える。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | 本プロジェクトのような系統連系する発電設備容量15MW 以下の小規模な再生可能エネルギー発電事業には, CDM 理事会で承認された簡易化された手法「小規模 CDM プロジェクトのための簡素化手続き附属書B-指定された小規模CDM プロジェクトに関する簡素化されたベースライン及びモニタリング方法論」を用いることが可能であり,本調査で対象とする2つのプロジェクトには,「TYPE I 再生可能エネルギープロジェクト」(以下,Type I)の「I.D. 系統連系する再生可能エネルギー発電」のベースライン及びモニタリング方法論の7項を適用する。投資面(収益性が低いこと),技術面(小水力技術が一般的ではないこと),その他の面(近年,流れ込み式の小水力開発が進んでいないこと)から本プロジェクトは追加的であると言える。 | |
GHG削減量 | 次の視点からWeighted average emissionを選定した(0.783 t-CO2eq/MWh)。①“Approximate Operating Margin”と“Build Margin”の平均と,Weighted average emissionのうち保守的なもの ②系統規模に比べてプロジェクト規模がはるかに小さい。また,本調査で対象とする2つのプロジェクトは水力発電所を新設する計画であり,既存設備に影響を与えないことからリーケージは考慮しない。SITEKI&PLUMBUNGANプロジェクトの年間発電電力量は18,629MWh,削減される温暖化ガスは14,533t-CO2eq/yr,6地点プロジェクトの年間発電電力量は9,931MWh,削減される温暖化ガスは7,747t-CO2eq/yrであると想定される。 | |
モニタリング | 本調査で対象とする2つのプロジェクトでは,AMS-I.D. の9項に準じる。リーケージは考慮しないため,モニターされるべきデータはこのプロジェクトにより発電された電力量のみである。発電された電力量は電力量計により継続的に計測される。電力量計はインドネシア国営電力会社(以下,PT.PLN)の関連会社であるLMKにより毎年校正される。この測定方法は既設発電所の運用において実績があることから,品質管理・保証の体制は既に確立されているといえる。 | |
環境影響等 | 本調査で対象とするプロジェクト活動は灌漑施設の途中の落差工を利用した水力発電所である。また,各発電所の発電規模は1.6MW~0.2MW程度と小規模でありかつ8地点合計でも5MW以下である。現地調査では,本プロジェクトエリア周辺はすべて耕作地であることが確認されたほか,中部ジャワ州環境管理局からも「周辺地域に貴重植物の生息はない」との情報を得た。減水区間が落差工に限られているほか灌漑用水の他用途への影響などの問題もないことから,運転中の影響はほとんどないと想定される。工事中の騒音・振動,周辺地域住民の安全確保などの対応を適切に行うことにより,環境への影響の回避は可能であると判断される。インドネシアの法律によると,調査対象の水力発電所では環境影響評価(EIA)は不要であるが,環境管理計画(UKL)及び環境モニタリング計画(UPL)の提出が必要である。SITEKI&PLUMBUNGAN地点ではUKL,UPLが既に承認されており,一連の手続きが完了している。また,6地点については,建設開始前にUKL,UPLを作成し,承認を得る予定である。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトの実施体制概要を下図に示す。 本プロジェクトの工事費は,原則としてインドネシアパワー社(以下,PT.IP)により負担される。CDM手続きに必要なトランザクションコストは日本側によって負担され,日本側が引き受けるCERの対価が日本側からインドネシア側に支払われる予定である。なお,プラントの運営については,PT.IPが行う予定である。 |