調査名 | マレーシア・トレンガヌ州パームオイル工場メタン・固形廃棄物混焼発電事業調査 | |
調査年度 | 2005(平成17)年度 | |
調査団体 | (株)エックス都市研究所 | |
調査協力機関 | 大阪ガス(株)、(株)タクマ、(株)ガスアンドパワーインベストメント、TDM Plantation Sdn Bhd | |
調査対象国・地域 | マレーシア国 (トレンガヌ州) | |
対象技術分野 | バイオマス利用 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素, メタン | |
CDM/JI | CDM | |
プロジェクト実施期間 | 2008~2029(クレジット期間:7年×3回) | |
報告書 | 概要版 | 概要版(115KB) |
詳細版 | 本文(1.2MB)本文(35KB) | |
プロジェクト概要 | 本プロジェクトは、マレーシア・トレンガヌ州に位置するSungai Tong粗パームオイル工場において搾油工程で発生する空房、及びパームオイル廃液から発生するメタンを燃料として発電を行い、電力公社であるTNBへ売電するというものである。現状で野積み処理されている空房からのメタン発生回避、廃液処理過程で発生するメタン回収、及び系統連係による電力代替によって、GHG排出削減を目指す。本事業ではカウンターパートからの要望の強いEFBの有効利用に主眼をおき、下記の2ケースについて事業実施可能性を比較検討し、より事業性の見込まれたケース2に対してCDM事業計画を策定した。 ケース1:EFB発電+POMEからのメタン回収・発電事業 ケース2:EFB発電 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | 本プロジェクトは、小規模方法論「I.D.系統接続再生可能発電」、「III.E.制御的燃焼によるバイオマスの腐敗に伴うメタン発生回避」、「III.H.廃液からのメタン回収」を適用し、空房及び廃液処理のベースラインは下記の通り設定した。 空房のベースライン プランテーションでの野積み処理を禁止する法規制は存在せず、今後もその見込みはない。また、空房の有効利用方法はさまざま検討されているが、商業ベースで成り立っているものは少なく、空房は現在野積み処理されており、今後もそれが続くと考えられるため、野積み処理の継続がベースラインシナリオとなる。 廃液処理のベースライン 対象工場は工業用排水基準を遵守している。また今後、排水基準の引上げは見込まれない。一方、工場の規模拡大に併せて対象工場では新規の開放型廃液処理施設(ラグーン)の導入を昨年完了したところであり、CDM事業を想定しない場合には、廃液のラグーン処理がベースラインシナリオとなる。 本プロジェクトの追加性は、投資バリア、技術バリア、一般的な普及に伴うバリアの3種のバリアで証明される。 | |
GHG削減量 | 空房からのメタン発生回避量は廃棄後徐々に発酵が進むFirst Order Decayモデルに基づき算定しているため、毎年のGHG削減量は変化する。クレジット期間更新までの7年間で各ケースにおいて以下に示すGHG削減量が見込まれた。 ケース1:更新までの7年間で578,567tCO2 ケース2:更新までの7年間で371,073tCO2 | |
モニタリング | 適用した3種の方法論に基づき、以下の項目をモニタリング項目として設定した。 廃液からのメタン回収に関するモニタリング バイオガス流量(ガスエンジン入口、フレア装置入口)、バイオガス中のメタン含有率(ガスエンジン入口、フレア装置入口)、フレア装置稼働時間、排ガス組成分析、プラント運転状況の確認 空房からのメタン発生回避に関するモニタリング 燃焼バイオマス量、近隣工場からのバイオマス搬入量、バイオマス性状、補助燃料使用量、燃焼バイオマス中の非バイオマス炭素量、トラック積載量、電気使用量、軽油を用いた発電量、バイオマス輸送距離増加量、近隣工場におけるバイオマス利用状況の確認 系統接続によるエネルギー代替に関するモニタリング 送電端電力量 | |
環境影響等 | 本事業はパームオイル工場からの固形廃棄物である空房を焼却処理することにより、現在生じさせている環境負荷を低減させるとともに、系統連係を行うことにより、化石燃料起源の電力を置き換えることにも貢献することから、温室効果ガス削減に寄与する。マレーシアでは10MW未満の発電プラントは環境影響評価対象の対象外である。また、発電プラントは既存の工場内に建設するため、本プロジェクトは新たな自然環境破壊をもたらさない。 | |
事業化に向けて | 事業性検討の結果、ケース1の事業化は極めて厳しいことが明らかとなる一方で、ケース2は比較的可能性はあるものの、現在の条件での事業性は十分ではないことが明らかとなった。今後は、早期の事業化へ向けて、下記の項目に対して引き続き検討を行う必要がある。 - 積算の見直し(初期コスト低減による事業性アップ) 発電プラントの規模拡大による売電・CER収益増 よりよい売電条件を獲得するための方策 |