ブラジル・大豆油バイオディーゼル燃料の生産事業調査 

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名ブラジル・大豆油バイオディーゼル燃料の生産事業調査
調査年度2005(平成17)年度
調査団体新日鉱テクノリサーチ(株)
調査協力機関住友商事(株)、ペトロブラス社
調査対象国・地域ブラジル(ミナスジェライス州ウベルランディア市)
対象技術分野バイオマス利用
対象削減ガス二酸化炭素
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間クレジット獲得期間:2008~2017、工事:2007~8
2008年中以降本運転
報告書概要版概要版(95KB)
詳細版本文(1.2MB)本文(246KB)
プロジェクト概要本プロジェクトは、ブラジル国ミナスジェライス州ウベルランディア地域において、大豆油を原料とするバイオディーゼル燃料(BDF)を生産し、運輸部門で従来使用されてきた石油系ディーゼル軽油の一部を、この再生可能エネルギーであるBDFと転換することにより、石油系ディーゼル軽油の燃焼に伴い発生する温室効果ガスを削減するものである。
ベースラインの設定・追加性の証明ベースライン方法論として、「LCAを考慮した運輸部門のバイオ燃料生産プロジェクトにかかるベースライン方法論(党Generalized baseline methodology for transportation Bio-Fuel production project with Life-Cycle Assessment 党 (NM129→ AM00xx))」が承認されることを前提に本プロジェクトに適用した。
本プロジェクトが本方法論の適用可能条件を満たしているかを検証・確認のうえ、温室効果ガス削減に関連する本プロジェクトのライフサイクルを、次の3段階に分けて検討した結果、あらゆる段階ですべての適用条件を満たしたベースラインシナリオは「現状維持」であるという結論に達した。つまり、プロジェクトシナリオでBDF燃料を使用する自動車が、化石燃料を使っている状態がベースラインシナリオとなり、ベースライン排出量が、プロジェクト排出量より多いことが見込まれることから、本プロジェクトは追加性がある。
段階1:バイオマス原料供給段階(大豆生産)
段階2:バイオ燃料生産(大豆油からのバイオディーゼル生産)
段階3:バイオ燃料消費(バイオディーゼル消費)
GHG削減量本プロジェクトのある年yにおける排出削減量をERy とすると、BDF製造量が100,000[t/yr]の時、ERy は次のように表される。
ERy = BEy-PEy-Ly
= 2.85×105 [tCO2/yr]-15,150[tCO2/yr]-0[tCO2/yr]
= 2.70×105 [tCO2/yr]
ただし、BEy (ベースライン排出量) = 2.85×105 [tCO2/yr]
PEy (プロジェクト排出量) = 15,150 [tCO2/yr]
Ly (リーケージ排出量) = 0
モニタリングモニタリング方法論に従い、本プロジェクトのモニタリングを行う。B、P、Lは、それぞれベースライン排出量、プロジェクト排出量、リーケージ排出量を算出するのに必要なパラメータを示す。

番号
利用データ
データ源
単位
計測(m),計算(c),推定(e)
記録頻度
データのモニタリング割合
データ記録手段
B1. BFyBDFの年間使用量または販売量GJ/yr毎日100%電子媒体
B2. BFvolyBFyの容積容積計m3/yr毎日100%電子媒体
B3. DensityyBDFの密度密度計ton/m3毎月サンプリング電子媒体
B4. HVyBDFの発熱量GJ/ton毎月サンプリング電子媒体
B5. COEFFFBDFが代替する軽油のLCACO2排出係数BDF購入先、統計または科学文献等tCO2/GJクレジット発生時に一度計算100%電子媒体
B6. BF[produced]VOLyBDFの生産量容積計m3毎日100%電子媒体
P1. FFBFPoil,yBDF製造工場に供給される蒸気発生に使用される重油積算流量計kl毎日100%電子媒体
P2. COEFFF oil重油のLCA CO2排出係数燃料購入先、または統計tCO2/klクレジット発生時に一度計算100%電子媒体
P3. BFmassyBDFの年間販売量重量計毎日100%電子媒体
P4. COEFFSBDF中のメタノールのCO2排出係数tCO2/t-BDFPDD作成時に一度計算100%電子媒体
P5. PETransp1yBDF製造設備から供給施設までのBDFの輸送に伴うCO2排出量tCO2/yr毎月100%電子媒体
P6. MLTransp1,yBDF製造設備から供給施設までのBDFの輸送距離輸送会社の領収書または走行キロ計データkm毎月(輸送時に測定)100%電子媒体
P7. COEFTRmode 1BDFの輸送(軽油トラック)にかかるCO2排出係数統計kgCO2/kmPDD作成時に一度測定100%電子媒体
L1. EL y原料大豆油の受入れに消費される電力量及びBDF製造設備で消費される電力量電力計Mwh毎月100%電子媒体
L2. COEFELy電力のCO2排出係数統計データtCO2/MWhc/e毎年100%電子媒体
L3. Lossyグリッドの送電ロス統計データ単位なしc/e毎年100%電子媒体
環境影響等BDF製造設備の建設に当たっては、設置予定場所であるミナスジェライス州の法の定めに従って、諸手続きを行う必要がある。BDFの生産は、7段階にクラス別けされている環境負荷分析(EIA)のうち4段階目に相当し、比較的簡便なEIAが求められる。
副生成物のグリセリンは、石けんやシャンプー等原料として使用されることから、環境への影響は少ない。またBDF製造設備からの廃水は、設備内の廃水処理設備で廃水基準に合致するように処理した後放流することにより環境への影響を少なくできる。
事業化に向けて本プロジェクトへの出資はペトロブラス社、住友商事(株)及びブラジル住友商事(株)がそれぞれ自己資金で行い、公的資金等の導入は予定していない。
投資分析の結果、採算レベルに達するためにはクレジット価格CO21トン当たり8.0US$が必要となる。更なる建設費、運転コストの圧縮が求められる。