調査名 | インドネシア国都市固形廃棄物発電事業調査 | |
調査年度 | 2004(平成16)年度 | |
調査団体 | (株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル | |
調査協力機関 | パシフィックコンサルタンツ(株)、DNV、IMW、YBUL、PT Surveyor Indonesia | |
調査対象国・地域 | インドネシア(シドアルジョ県) | |
対象技術分野 | 廃棄物管理 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素, メタン | |
CDM/JI | CDM | |
実施期間 | クレジット期間:2007年から2020年までの14年間 | |
報告書 | 概要版 | 概要版 (313KB) |
詳細版 | 本文 (6.5MB) | |
概要 | 東ジャワ州シドアルジョ県において未処理のまま投棄(オープンダンプ)されている固形廃棄物をクリーン技術を用いて焼却処分することで地域環境の改善を図るとともに、焼却熱を利用して発電を行い、余剰電力を系統に供給することで、系統に接続する発電所が使用する化石燃料を代替し、温室効果ガス(GHG)や大気汚染物質の排出削減に寄与するもの。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | 本プロジェクト用に策定した新方法論に基づき、廃棄物管理に関するベースラインシナリオを「シドアルジョ県においてメタン排出を抑制する有効な廃棄物処理施設は設置されず、同県で排出される廃棄物は既存の埋立処分場に引き続き埋め立てられる」状態とし、また、電力系統に関するベースラインシナリオは、本プロジェクトによって生成される電力量が系統内の発電量には影響しないため、「既存の発電所は現在と同じように運転を継続する」とし、排出係数はオペレーティングマージンとする。 また、追加性は「プロジェクトケースはベースラインケースではないこと」及び「プロジェクトケースのGHG排出量がベースラインのGHG排出量よりも少ないこと」を示すことによって証明できるという考え方(CDM M&P, para 43)に基づいて証明した。 | |
GHG削減量 | ベースライン排出量は、「廃棄物が埋め立てられた場合に発生するメタン排出量①」および「電力を外部電力系統で生成した場合に発生するGHG発生量②」の合計とし、①の算出には、IPCCの定めるFirst Order Decay (FOD)モデルを使用し、また、②の算出に際しては、本プロジェクトによる発電量は、接続するグリッドの発電量に比べて著しく小さいことから、排出係数はオペレーティングマージンを使用した。 プロジェクト排出量は「プロジェクト活動におけるプラスチック等の石油起源物質の燃焼による排出量③」および「プロジェクト活動における化石燃料の燃焼による排出量④」の合計として算出した。なお、④の燃料には、焼却炉の起動に使用する軽油および廃棄物等のトラック運搬に使用される軽油が含まれる。 また、本プロジェクトにおいてリーケージは発生しない。 クレジット期間中のGHG削減量は初年度の102,031トンから14年目には159,377トンへと推移し、14年間の総削減量は1,869,714トンと算出される。 | |
モニタリング | 本プロジェクト用に策定したモニタリング方法論に従い、モニタリングはホスト国の事業実施者であるIMW社が担当することとし、モニタリング項目には次を含むものとする:焼却される廃棄物の重量、焼却される廃棄物に含まれるプラスチック性物質の割合、プロジェクトで使用する軽油の量、グリッドへの電力供給量、排出係数(オペレーティングマージン)、廃棄物中の腐敗性炭素含有率、腐敗率、実際に分解される炭素の割合、埋立地ガスに関する法規制。また、モニタリングの方法はメータ計測、サンプリング、実験室分析、および統計収集とする。 | |
環境影響等 | 本プロジェクトの環境影響評価(AMDAL)はIMW社が2005年3月から実施する予定になっている。導入される焼却炉は、焼却時に微量のスラグを排出するが、道路の舗装や建設資材として再利用が可能である。また、廃棄物を高温で焼却するためにダイオキシン等の有害物質の発生も抑制される。 2003年8月に本プロジェクトに関する住民説明会が開かれており、事業実施者やシドアルジョ県政府関係者を含めた約200名が参加した。同説明会において、地元住民を優先的に雇用することや、周辺環境への影響を最小限に抑えることなどの点で住民との合意が得られた。 | |
事業化に向けて | 本プロジェクトの実施に必要な投資はIMW社が調達することになっており、ベルギー国の「Foundation Universal Connection」の適用を検討しており、プロジェクトコストは全額インドネシア側によって負担される。プロジェクト開始後CDM手続きに従い発生するクレジット(Certified Emission Reduction: CER)の購入代金が日本側の負担範囲となり、その際、CDM手続きに必要なトランザクションコストは日本側の負担となる。 プラントの運営についてはIMW社が行うが、同社はサプライヤーであるWES社(英国)と最低10年間の有償サポート契約を結ぶことになっている。またシドアルジョ県とはプロジェクト期間中の廃棄物の供給とプロジェクトサイトの土地の提供を受け、PT.PLNとはPPA(Power Purchase Agreement)を結び電力の購入を確保する予定である。 | |
備考 | 仮バリデーション DNVによる本プロジェクトのドラフトPDDに対するデスクレビュー(仮有効性審査)が2005年2月8日に行われ、その結果3つの修正事項(corrective action requests: CAR)および4つの確認事項(clarification: CL)が提示された。3点の修正事項は、CAR1:インドネシア政府および日本政府による本プロジェクトの正式な承認がまだである点、CAR2:CERの発行・分配に係る、党modalities of communication媒の文書が作成されていない点、そしてCAR3:PDDで提案されているベースラインがCDM理事会に未提出・未承認である点が指摘された。 |