調査名 | ベトナムにおける都市廃棄物からのメタン回収による発電事業調査 | |
調査年度 | 2004(平成16)年度 | |
調査団体 | 新日鉱テクノリサーチ(株) | |
調査協力機関 | ホーチミン市 | |
調査対象国・地域 | ベトナム(ホーチミン市ホックモン地区) | |
対象技術分野 | 廃棄物管理 | |
対象削減ガス | 二酸化炭素, メタン | |
CDM/JI | CDM | |
実施期間 | クレジット獲得期間:2007年~2016年の10年間 2005年Validation、2006年工事、2007年本運転 | |
報告書 | 概要版 | 概要版 (166KB) |
詳細版 | 本文 (1.1MB)本文 (2.8MB) | |
概要 | 本プロジェクトは、温室効果ガスの排出量を削減することを目的として、ドンタン廃棄物埋立処分場から発生するLFGの一部を回収し、LFG中のメタンを燃料にガスエンジン発電機で発電を行い、電力を地元の電力グリッドに供給するものである。なお、発電に利用できない余剰のLFGはフレアスタックで燃焼する。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | 提案されているプロジェクトに対する代替案として下記の3つのシナリオを考える。 シナリオ1:現況がそのまま継続され、埋立地においてLFGは回収されずに大気中に放出されたままの状態。 シナリオ2:LFGを回収し、フレア燃焼する。 シナリオ3:LFGを回収・発電し、発電電力を地元の電力グリッ ドに供給する。また、余剰のメタンはフレア燃焼させる。(CDMなしのプロジェクトシナリオ) プロジェクトシナリオに対するベースラインシナリオとして、上記シナリオ1~3をリストアップした。すべてのシナリオが現在のベトナムの法制度のもとで起こり得ることを確認したうえで、投資分析およびバリア分析を行った。その結果、事業の経済性やホスト国の状況に鑑みて、シナリオ2、3はベースラインシナリオになり得ず、シナリオ1の現状維持の状態がベースラインシナリオとなる。また、本プロジェクトであるシナリオ3は、CDMプロジェクトとして登録されることによって、つまりCERの売却益があって初めて実現化するという意味で、追加的であると言える。 | |
GHG削減量 | 発電、フレアにより削減されるCO2排出量を以下に示す。 本プロジェクトにおける削減されるCO2排出量の累積量を以下に示す。 | |
モニタリング | 本プロジェクトはUNFCCCのCDM理事会によって承認、登録されているACM0001 (LFGプロジェクト活動の統合化ベースライン方法論)を採用している。したがってモニタリング計画に関しても、「ACM0001:LFGプロジェクト活動の統合化モニタリング方法論」を適用することが妥当である。 ただし、本プロジェクトでは熱エネルギーの利用は発生しないため、熱エネルギーの利用の部分は含まない。 本プロジェクトのモニタリング計画(モニタリング項目設定およびデータ収集の手法等)を以下に示す。図中の○印はモニタリング項目およびポイントを示している。 | |
環境影響等 | 埋立地の浸出水については、産業排水基準の規制が適用される。排水対象水域は下記のとおり分類されている。 A類型:生活用水源として利用される水域に排水する場合 B類型:水運、灌漑、水産、水浴に利用される水域に排水する場合 C類型:行政から特に許可された水域に排水する場合 本プロジェクトの場合は、B類型が適用される。 ベトナムでの敷地境界における騒音は騒音基準により管理されている。本プロジェクトの場合、No.4の人口密集地域にある工場地域の基準が適用される。ドンタン廃棄物埋立処分場の場合は、処分場出入口が最も近い敷地境界となる。本プロジェクトの発電設備設置場所はその敷地境界から約100m以上離れており、その結果、敷地境界での騒音は大幅に減衰されているため、問題とならないといえる(発電所設置場所より約60m地点で50 dB(A)以下となる)。 本プロジェクトの環境影響評価はこれから実施される予定である。また、プロジェクト実施者は、ホスト国の環境基準を継続的に遵守できるようにプロジェクト実施期間にわたり、各種データをモニタリングする予定である。 | |
事業化に向けて | 廃棄物埋立処分場から発生するLFGの発生量を予測する方法としてFirst Order Decay Modelを用いたが、実際に計算結果どおりのLFGが発生することを証明することは難しいため、正確なCO2削減量を求めることができない。小規模な現地テストを実施するなどLFGの発生量及び化学成分(シリカ等)分析などデータの精査を行うことが必要である。更にCDM事業化の為には地方行政を中心としたキャパシティビルディングが必要と考えられる。 |