調査名 | 中国南京市浦口ごみ埋立処分場メタンガス回収発電事業調査 | |
調査年度 | 2004(平成16)年度 | |
調査団体 | 中部電力(株) | |
調査協力機関 | - | |
調査対象国・地域 | 中国(南京市) | |
対象技術分野 | 廃棄物管理 | |
対象削減ガス | メタン | |
CDM/JI | CDM | |
実施期間 | 2004年6月17日~2005年3月4日 | |
報告書 | 概要版 | 概要版 (174KB) |
詳細版 | 本文 (1.7MB) | |
概要 | 本プロジェクトでは、ごみ埋立処分場から大気放出されているLFGを回収利用するCDMプロジェクトとするため、LFG回収システム、ガスエンジン発電システムさらには余剰分のLFGを燃焼させるためのフレアリングシステムの設置を検討した。発生した電力は近接する電力グリッドシステムへ供給し売電収入を一定量確保するとともに、カーボンクレジットの獲得により費用対効果のあるプロジェクトとすることを目的とした。 プラント設計にあたって最も重要なファクターであるLFG発生予想量は、US EPA のFirst Order Decay式を用いて算出した。その算定結果から最大でガスエンジン発電機(キャタピラー社製G3516LE;出力1,030kW)6機導入が可能である。LFG発電事業の場合、LFG発生量を正確に予想することは困難であるため、プロジェクトの実施の際には発生するLFGを最大限有効に利用すること、また逆に余剰設備を設置しないことが高い収益を確保するうえで重要な課題となる。本プロジェクトの特徴として、そのようなLFGプロジェクトの難しさを克服するため、LFG量の増減にあわせてガスエンジン発電機の設置台数を増減させる設計とした。すなわち将来的にLFG量が減少した場合は、他プロジェクトサイトへ売却するよう設計した。またもう1つの特徴として、回収したLFGを余さず処理し獲得するクレジットを最大化するため、ガスエンジンが停止した場合でも全量のLFGをフレア処理できるようフレアリング処理設備の容量を大規模とした。 | |
ベースラインの設定・追加性の証明 | ベースラインの設定 ・プロジェクト領域は、ベースライン排出量の算定への影響を考慮すべきLFGを回収利用するプロジェクトサイトおよび発電した電力で他電源を代替する電力グリッドと定義した。 ・今回使用したベースラインの方法論は、既にCDM理事会に承認されている「LFGプロジェクト活動の統合化方法論(ACM0001)」を使用した。この方法論は埋立地ガス回収利用事業に対して適用できる。現在ホスト国では一部の国際機関からの支援によるモデルサイトを除きLFG回収設備のあるサイトはほとんどなく、また実効性のあるLFG回収規制は存在しないため、LFGは回収されず大気放出されることをベースラインと設定した。将来の規制導入の可能性もほとんどないことから、有効化調整係数(AF)を5%と想定した。また、発電した電力 をグリッド送電し他のエネルギー源を代替することに伴う排出削減量の算定は、発電出力15MW以下の「小規模発電CDMに対して適用できる方法論(Type1.D.)」を適用した。 追加性の証明 <投資バリア>売電収入だけでは収益率が低いこと(市中金利や国債とのベンチマーク方式にて評価)、また電力購入契約も短期(1~2年)とリスクがあることから、投資プロジェクトとしての魅力が少ない。 <技術バリア>LFG発電技術は世界的には新しいものではないが、ホスト国においては運転実績が乏しく新しい技術を用いたプロジェクトであるといえる。 <制度面でのバリア>LFG回収を義務づける法規制は存在しない。 | |
GHG削減量 | 本プロジェクト実施に伴い実現されるGHG削減量は、大気放出を回避し回収利用(ガスエンジン発電用途+フレア設備での燃焼用途)したメタンと電力代替に伴う化石燃料焚き減らしに伴う排出削減量の合計で算出される。 (電力グリッド排出係数の算定) プロジェクトサイトのある華東電力網の平均グリッド排出係数(t-CO2/MWh)は、2002 China Year Bookより抜粋したデータをもとに算定した。(結果:1.11 t-CO2/MWh) 当該グリッド内の電源開発計画の情報公開は制約されており、クレジット獲得期間内の平均グリッド排出係数の想定が困難であることから、事前(ex-ante)計算ではこの平均排出係数を使用して将来の排出削減量を計算した。ただし平均排出係数はモニタリングの対象とし毎年リバイスされるデータをもとに数値の見直し事後(ex-post)計算を行うこととした。 (排出削減量算定結果) 初期プロジェクト期間の排出削減量の算定結果は下表のとおり。 なお、本プロジェクトでは想定されるリーケージはない。 | |
モニタリング | モニタリング方法論および手法に関しては、既にCDM理事会で承認されているランドフィルメタンガス回収プロジェクトに対する統合化方法論ACM0001を使用する。この方法論は埋立地ガスを回収し、燃焼または発電さらには電力グリッド接続によりグリッドの電源を代替することでメタンガス排出量を削減するプロジェクトに適用することができる。 | |
環境影響等 | 環境影響評価(EIA)は、ホスト国の国家環境保全局のガイダンスに基づき実施する。承認は投資額により実施機関が異なり、大規模(1億USD以上)は国レベル、小規模(1億USD未満)は省レベルである。本プロジェクトは小規模に該当すると予想されることから省レベルでの承認となる。 | |
事業化に向けて | ホスト国政府はCDMプロジェクト運営管理暫定方法を制定し、承認にあたっては投資国側にクレジット価格、収益の獲得等に関して様々な制約を課している。従って外国資本である当社にとって不当に不利益とならない条件で中国政府が承認するかどうかが最大の課題である。また現時点では本プロジェクトはホスト国地元企業による出資と融資により資本構成される見込みであり当社の出資参画は難しい情勢である。従ってCDMスキーム構築、クレジット獲得手続実施およびカーボンクレジット購入で事業参画を目指す。 |