令和3年度二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の公募における第二回採択案件の決定について

 公益財団法人地球環境センター(GEC)は、途上国において優れた脱炭素技術等を活用して温室効果ガスの排出削減を行い、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)に基づくクレジットの獲得を目指す「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」について、今般、19件を第二回分として採択しました。第一回分と合わせて計28件のプロジェクトを採択しております。今後、交付決定の手続等を進め、JCMの実施に向けた手続きを進めていきます。
 なお、令和3年度の採択は、今回の発表で最後となります。たくさんのご応募誠にありがとうございました。
 

事業内容

 本事業は、優れた脱炭素技術等を活用し、途上国における温室効果ガス排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行っていただく事業に対して、初期投資費用の1/2を上限として補助を行います。
 開発途上国における温室効果ガスの削減とともに、二国間クレジット制度(JCM)を通じて我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に資することを目的としています。また、「インフラシステム海外展開戦略2025(令和2年12月。経協インフラ戦略会議決定)(参考3)」及び「インフラシステム輸出戦略(平成29年度改訂。経協インフラ戦略会議決定)」に基づく「環境分野の海外展開戦略(平成30年6月、環境省策定)(参考4)」に沿って、相手国のニーズを深く理解した上で先進的な優れた脱炭素技術等を普及・展開することにより、世界の脱炭素化に貢献することが期待されています。

選定した案件の概要

 GECは、環境省から「令和3年度から令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業)」の交付決定を受け、当該補助金の執行団体として、公募期間令和3年度4月7日(水)から同年10月29日(金)までの予定で日本の民間企業等を対象に公募を行っておりましたが、交付内示額が予定額に達したため、今年度の公募は終了となりました。
 このたび、書面審査、ヒアリング審査及びその結果を踏まえた採否審査を実施し、下記のとおり19件を第二回採択分として選定しました。

【令和3年度 JCM設備補助事業 第二回採択案件一覧】

No. パートナー国 代表事業者 事業名 想定GHG削減量
(tCO2/年)
 1 ベトナム 丸紅株式会社 商業・産業需要家への12MW屋根置き太陽光発電システムの導入 5,815 
 2 ベトナム 大阪ガス株式会社 工業団地への9.8MW 屋根置き太陽光発電システムの導入 4,254 
 3 ベトナム アジアゲートウェイ株式会社 飲料工場への 5.8MW 屋根置き太陽光発電システムの導入 2,531 
 4 ベトナム 関西電力株式会社 食品工場及び衣料品製造工場への2.5MW屋根置き太陽光発電システムの導入 982 
5 ベトナム 東急株式会社 ショッピングセンターへの高効率チラー及び調光型高効率LED 照明導入事業 726 
6 ラオス リベラルソリューション株式会社 シエンクワーン県における19MW太陽光発電プロジェクト 7,861
7 インドネシア WWS-JAPAN株式会社 ランプン州ベサイ川における6MW小水力発電プロジェクト 20,307 
 8 インドネシア 株式会社大塚製薬工場 輸液製造工場への高効率滅菌釜導入による省エネプロジェクト2 8,796 
9 インドネシア WWS-JAPAN株式会社 ランプン州メレソム川における2.3MW小水力発電プロジェクト 6,787 
 10 チリ 株式会社ユーラスエナジーホールディングス バルパライソ州カサブランカ市における9MW太陽光発電プロジェクト 8,527 
11 チリ 株式会社ユーラスエナジーホールディングス ビオビオ州ユンガイ市における9MW太陽光発電プロジェクト 8,476 
12 チリ ファームランド株式会社 マウレ州の農地を活用した3MW太陽光発電プロジェクト 2,489 
13 タイ 株式会社兼松KGK スパンブリ県における35MW太陽光発電・蓄電池導入プロジェクト 13,197 
14 タイ シャープエネルギーソリューション株式会社 タイヤ工場群への23MW屋根置き太陽光発電システムの導入 8,928 
15 タイ 関西電力株式会社 繊維工場及び食品工場への高効率ボイラ、高効率ターボ冷凍機、太陽光発電システムの導入 1,885 
16 タイ 関西電力株式会社 非鉄金属工場への2MW屋根置き太陽光発電システムの導入 945 
17 タイ 東京センチュリー株式会社 食品工場への1.85MW太陽光発電システムの導入(JCMエコリース事業) 858 
18 タイ 東京センチュリー株式会社 自動車部品工場への0.13MW太陽光発電システムの導入(JCMエコリース事業) 52 
19 フィリピン 株式会社オリエンタルコンサルタンツ ケソン市庁舎への省エネ型空調設備の導入 780 

 

【添付資料】

 

参考情報

【参考1:環境省 脱炭素インフライニシアティブ】
 
環境省では、二国間クレジット制度(JCM)を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進するため、「脱炭素インフライニシアティブ」を策定しました。
 JCMにより、2030 年度までに官民連携でGHG 排出削減量累計1億トン程度を目指し(資金の多様化による加速化を通じて、官民連携で事業規模最大1兆円程度)、4つのアクションによる条件整備を行います。
 (参考サイト https://www.env.go.jp/press/109707.html

 

【参考2:二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)の概要】
 JCMは、途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、日本の削減目標の達成に活用するものです。
 JCMのパートナー国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイ及びフィリピンの17か国です。
 JCMによって、毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業により、2030年度までの累積で5,000万から1億t-CO2の国際的な排出削減・吸収量を見込んでいます。
 (参考サイト https://www.carbon-markets.go.jp/jcm/index.html

 

【参考3:インフラシステム海外展開戦略2025】
 世界の脱炭素化をリードしていくため、相手国のニーズを深く理解した上で、風力、太陽光、地熱等の再生可能エネルギーや水素、エネルギーマネジメント技術、CCUS/カーボンリサイクル等も含めたCO2排出削減に資するあらゆる選択肢の提案やパリ協定の目標達成に向けた長期戦略など脱炭素化に向けた政策の策定支援を行う、「脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援」を推進していくことを基本方針とする。
 (参考サイト https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keikyou/dai49/siryou2.pdf

 

【参考4:環境分野の海外展開戦略】
 我が国の幅広い技術・経験を活かし、各国の様々なニーズを踏まえ、インフラや人材づくりの面から各国のエネルギー転換を支援。特に、欧米・中国企業等が事業組成力や価格競争力を武器に各国で再エネ・省エネ事業を拡大する中、我が国として再エネ・水素・省エネ等の脱・低炭素型のインフラ技術を核に、世界をリードできる強力な官民の連携体制を構築して対抗することが重要。
 その際、二国間クレジット制度(JCM)等を活用して、我が国の先進的な脱炭素技術等を普及・展開し、災害に強い再生可能エネルギーなど、我が国が比較優位を有するインフラの海外展開を促進。
 (参考サイト https://www.env.go.jp/press/105573.html

 

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 地球環境センター 東京事務所 事業第一グループ(担当:高橋、石原)
TEL:03-6801-8860
Email: jcm-info@gec.jp