設備補助事業を通じたSDGsへの貢献事例(みずほ東芝リース株式会社)
採択年度 R3
パートナー国 フィリピン
事業名: タナワン地区20MWフラッシュ地熱発電プロジェクト
代表事業者: みずほ東芝リース株式会社
共同事業者: Bac-Man Geothermal Inc.
(案件概要URL)https://gec.jp/jcm/jp/projects/21pro_phl_02/
案件概要:
日本企業と、世界最大の垂直統合型地熱発電企業であるフィリピンのEnergy Development Corporation(EDC)の子会社であるBac-Man Geothermal Inc. (以下BGI)が実施する地熱発電事業です。
本事業では、共同事業者であるBGIが、ルソン島南部のタナワン地区に有する地熱井戸に、20MWフラッシュ蒸気地熱発電設備を新設し、ルソン系統の電力需要を満たすため、信頼性の高いベースロード電源を新たに提供するものです。
同国エネルギー省の戦略的方向性である燃料の多様化を促進し安全性と供給余力を改善、また、再生可能で持続可能なエネルギー資源を利用することで、石油輸入依存を低減し、よりクリーンな技術を使用することにより、大気汚染と温室効果ガス排出量の大幅削減を目指します。
【SDGsに取り組むようになった動機、背景】
共同事業者BGIの親会社であるEDCは、2013年にフィリピンを襲った超大型台風(HAIYAN)により甚大な被害を受けたことをきっかけに、EDCを含むFirst Philippine Holdings全体として取り組むべきミッションは何かを改めて考え、世界的な気候変動問題を緩和すべく、再生可能かつ脱炭素化した未来を目指す活動を開始しました。低炭素電力源によるエネルギー供給を通じて、グリッドのGHG排出の大幅削減を通じ、人々のより良い生活の保全を目指しています。
EDCが考えるKey Stakeholdersは①Customers(顧客)、②Co-Creators(協働者)、③Earth(地球環境)、④Communities(地域社会)、⑤Investors(出資者)の5つであり、これらに対して適切に対応していなければ、金銭的にあるいは物質的に大きなリスクを抱えることになると考えています。
従って、安定的な経営と継続的な成長、社会からの高評価を保ちつつ、社会的責任を果たし、顧客の信頼を持ち続けるために、SDGsにおける5つの柱を掲げています。SDGsにおける5つの柱とはPlanet(地球)、People(人)、Prosperity(繁栄)、Peace (価値観や ESG 保障)、Partnership(CIC, WWF,UN Women& PBCWE,BSD,等とのパートナーシップ)であり、EDCはそれらを確実にサポートします。
【取り組み内容】
- 違法乱伐による森林減少を止める:違法な伐採を行うことにより、森林が減少し、自然災害による土砂崩れなどの危険性が増すため、裸になった山に植林をし、森林を回復する活動を行う一方で、伐採で生活を立てていた人々に、コーヒー栽培による新たな生活の基盤を指導。
- 発電所の周辺地域の子女への奨学金給付:地域の高等学校の協力を得、周辺住民の子女が大学へ進学する際に1月6000ペソの奨学金を給付する。必要に応じてラップトップパソコンも提供。(フィリピンの公立大学は授業料が無料のため、奨学金は生活費や食費、交通費に充てられる)
- 高等学校卒業生に職業訓練:高等学校卒業後、毎年100名に対し職業訓練の機会を与え、企業に就職させることにより、より高度な技術が身につきかつ、所得も上がり、生活の基盤が安定化。
- 廃棄物マネージメント:EDC企業グループ内で発生する様々な廃棄物(事務機器、ビン、缶、プラスチック等の資源ごみ等)のリユース、リサイクル等に注力し、フィリピンでは一般的ではないプラスチックリサイクルも実施。
【SDGsに取り組んだ結果、事業者及び享受した側にもたらされたベネフィットについて】
質の高い教育の機会を与えることで、教育を受ける側だけでなく、事業者側も良い人材を確保することができます。奨学金で大学を卒業した人数は200名を超え、フィリピン社会で広く活躍しております。中にはEDCグループに就職した人もいます。また、高等学校卒業後に職業訓練を受けた人は10年間で1000名に上り、EDC関連の職場で職を得る、あるいは他の企業に就職する場合でも、100%就職できるようにサポートしています。
廃棄物のマネージメントについては、「廃棄物ゼロ」を目指し、分別の徹底、リユースやリサイクルをすることで従業員の廃棄物に対する意識を変え、ゴミの減量にもつながっています。