設備補助事業を通じたSDGsへの貢献事例(JFEエンジニアリング様)

採択年度 R3
パートナー国 ベトナム
事業名: バクニン省における廃棄物発電    
代表事業者: JFEエンジニアリング株式会社
共同事業者: T&J Green Energy Company Limited
(案件概要URL)https://gec.jp/jcm/jp/projects/21pro_vnm_01/

案件概要:

【日本企業とベトナム企業が共同出資する初の廃棄物発電施設】
本事業では、ベトナム・バクニン省内において処理能力500トン/日、発電出力11.6MWの大型廃棄物発電施設を導入し、JFEエンジニアリング株式会社(以下、JFE社)と同国北部最大手廃棄物処理会社のThuan Thanh Environment Joint Stock Company社(以下、TT社)で共同出資し設立した共同事業者(SPC)T&J Green Energy Company Limited社(以下、T&J社)が同施設の管理運営を行います。
同地域内で発生し埋立処理されていた230t/日の一般廃棄物、及び従来焼却されていた120t/日の一般廃棄物と150t/日の産業廃棄物を、今回導入する大型廃棄物発電施設で日々焼却処理し、それによる発電を行うことで、ベトナムにおける廃棄物の適正処理への貢献と同時に化石燃料を使用しない発電による電力供給を実現し、埋立処分場におけるメタン発生抑制・電力代替による温室効果ガスの削減を行います。2022年に建設を開始しており、2024年第一四半期に運転を開始する予定です。

【SDGsに取り組むようになった動機、背景】
ベトナムの地元企業であるT&J社として、本事業を通して気候変動や環境汚染対策に資することはもちろんのこと、地域社会への貢献ということにも重きを置いています。事業開始以降、近隣住民との関係構築を積極的に行い、地域の持続可能な開発を含め、幅広い地域活動を行っています。コンサルティング会社の調査に基づき、本事業の影響を受けると想定される近隣住民の数は111世帯と特定されており、T&J社の地域活動は当該世帯に対して行われています。

【取り組み内容】

 

T&J社が企業の社会的責任の一環として、また事業サイト周辺住民との関係を重視する上で自主的に行ってきた取り組みに加え、自治体や融資を受けている国際金融公社(IFC)からの要請を受け、より充実した取り組みとなっています。ベトナムの文化や慣習に考慮し、T&J社のベトナム人職員が主導し、地域に密着した活動を行っています。
①苦情申し立て制度の導入:近隣地域の6つの村と事業サイトの計7か所に苦情申立て用のBOXを設置し、住民が直接、容易にアクセスできるようにしているます。定期的に職員が確認していますが、幸いなことにこれまで受け付けた苦情は0件。その他にも電話やウェブサイト上でも苦情があれば常時受け付けています。
②本事業の影響を受ける近隣6村の住民や地域の自治体とのコミュニケーションを通して関係構築を行っています。実際に職員が住民を訪れ、事業の説明を行い、意見や、あれば苦情などについて話を聞く機会を設けています。また、同様に自治体への説明・報告も行っています。
③コミュニティ開発として、脆弱なコミュニティ(貧困者・高齢者)及び女性の日(※ベトナムでは10月20日に祝う)の寄付活動、周辺住民の雇用を優先的に実施。現在検討されている活動として、貧困家庭の子供たちへの奨学金給付(学費の支援)、周辺地域の街灯の設置(夜間の安全対策)など。

【SDGsに取り組んだ結果、事業者及び享受した側にもたらされたベネフィットについて】
前述の通りこれまで近隣住民からの苦情申立ては受けておらず、また、近隣地域との良好な関係を築いていることで何かあればすぐに対処できるような体制が整っています。T&J社で地域での取り組みを担当するベトナム人職員は、近隣住民からの信頼も高く、コミュニティの一員として認められています。事業を行う上で、地域住民との関係構築は不可欠であり、ベトナムでの取り組みが、地域社会の開発、住民の生活の改善につながり、成果として現れることは、今後のJFE社のSDGsへの取り組み強化にもポジティブな影響を与えると考えられます。特に、持続的な開発の文脈において雇用機会の提供は意義のある取り組みであり、すでにT&J社の職員7名の内、2名は周辺地域出身、今後施設が運転を開始する際にはさらに多くの地域雇用を行うことを計画しています。

  
T&J社職員と周辺住民とのコミュニケーションの様子

 

    
T&J社から周辺住民(貧困層・高齢者層)への旧正月のお祝い金の寄付の様子。

 


T&J社からベトナム「女性の日(10月20日)」の寄付と花束贈呈の様子。