令和3年度二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の公募における第一回採択案件の決定について

 公益財団法人地球環境センター(GEC)は、途上国において優れた脱炭素技術等を活用して温室効果ガスの排出削減を行い、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)に基づくクレジットの獲得を目指す「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」について、今般、11件を第一回分として採択しました。
 引き続き、二次採択に向けて案件を募集(二次公募〆切は7月16日)しております。
 今後も、「環境省 脱炭素インフライニシアティブ(参考1)」に基づき、「二国間クレジット制度(JCM)(参考2)」を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進していきます。

 

事業内容

 本事業は、優れた脱炭素技術等を活用し、途上国における温室効果ガス排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行っていただく事業に対して、初期投資費用の1/2を上限として補助を行います。
 開発途上国における温室効果ガスの削減とともに、二国間クレジット制度(JCM)を通じて我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に資することを目的としています。また、「インフラシステム海外展開戦略2025(令和2年12月。経協インフラ戦略会議決定)(参考3)」及び「インフラシステム輸出戦略(平成29年度改訂。経協インフラ戦略会議決定)」に基づく「環境分野の海外展開戦略(平成30年6月、環境省策定)(参考4)」に沿って、相手国のニーズを深く理解した上で先進的な優れた脱炭素技術等を普及・展開することにより、世界の脱炭素化に貢献することが期待されています。

選定した案件の概要

 GECは、環境省から「令和3年度から令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業)」の交付決定を受け、当該補助金の執行団体として、令和3年度4月7日(水)~10月29日(金)まで、日本の民間企業等を対象に公募を行っております。
  このたび、書面審査、ヒアリング審査及びその結果を踏まえた採否審査を実施し、下記のとおり11件を第一回採択分として選定しました。今後、交付決定の手続等を進め、JCMの実施に向けた取り組みの一環として、これらの事業を進めていきます。

【令和3年度 JCM設備補助事業 第一回採択案件一覧】

No. パートナー国 代表事業者 事業名 想定GHG削減量
(tCO2/年)
 1 ベトナム JFEエンジニアリング株式会社 バクニン省における廃棄物発電 41,805
 2 ベトナム 電源開発株式会社 ハウザン省における10MWもみ殻発電プロジェクト 22,315
 3 ベトナム シャープエネルギーソリューション株式会社 工場群への9MW屋根置き太陽光発電システムの導入 3,618
 4 ベトナム 株式会社遠藤照明 ホーチミン市内オフィスビルへの調光調色型高効率LED照明の導入 196
5 インドネシア 住友林業株式会社 木工工場への3.3MW屋根置き太陽光発電システムの導入 2,396
6 インドネシア フマキラー株式会社 化学工場への高効率熱媒ヒーターシステムの導入 1,942
7 メキシコ シャープエネルギーソリューション株式会社 グアナファト州における20MW太陽光発電プロジェクト 20,023
 8 タイ 大阪ガス株式会社 衣料品製造工場への高効率貫流ボイラの導入 2,665
9 タイ 日鉄エンジニアリング株式会社 二輪車製造工場へのオンサイトエネルギー供給のための高効率冷水供給設備及び太陽光発電設備の導入 1,144
 10 フィリピン 三井物産株式会社 イザベラ州コードンにおける60MW太陽光発電プロジェクト 44,860
 11 フィリピン みずほ東芝リース株式会社 タナワン地区20MWフラッシュ地熱発電プロジェクト 38,312

 

【添付資料】

 

参考情報

【参考1:環境省 脱炭素インフライニシアティブ】
 
環境省では、二国間クレジット制度(JCM)を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進するため、「脱炭素インフライニシアティブ」を策定しました。
 JCMにより、2030 年度までに官民連携でGHG 排出削減量累計1億トン程度を目指し(資金の多様化による加速化を通じて、官民連携で事業規模最大1兆円程度)、4つのアクションによる条件整備を行います。
 (参考サイト https://www.env.go.jp/press/109707.html

 

【参考2:二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)の概要】
 JCMは、途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、日本の削減目標の達成に活用するものです。
 JCMのパートナー国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイ及びフィリピンの17か国です。
 JCMによって、毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業により、2030年度までの累積で5,000万から1億t-CO2の国際的な排出削減・吸収量を見込んでいます。
 (参考サイト https://www.carbon-markets.go.jp/jcm/index.html

 

【参考3:インフラシステム海外展開戦略2025】
 世界の脱炭素化をリードしていくため、相手国のニーズを深く理解した上で、風力、太陽光、地熱等の再生可能エネルギーや水素、エネルギーマネジメント技術、CCUS/カーボンリサイクル等も含めたCO2排出削減に資するあらゆる選択肢の提案やパリ協定の目標達成に向けた長期戦略など脱炭素化に向けた政策の策定支援を行う、「脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援」を推進していくことを基本方針とする。
 (参考サイト https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keikyou/dai49/siryou2.pdf

 

【参考4:環境分野の海外展開戦略】
 我が国の幅広い技術・経験を活かし、各国の様々なニーズを踏まえ、インフラや人材づくりの面から各国のエネルギー転換を支援。特に、欧米・中国企業等が事業組成力や価格競争力を武器に各国で再エネ・省エネ事業を拡大する中、我が国として再エネ・水素・省エネ等の脱・低炭素型のインフラ技術を核に、世界をリードできる強力な官民の連携体制を構築して対抗することが重要。
 その際、二国間クレジット制度(JCM)等を活用して、我が国の先進的な脱炭素技術等を普及・展開し、災害に強い再生可能エネルギーなど、我が国が比較優位を有するインフラの海外展開を促進。
 (参考サイト https://www.env.go.jp/press/105573.html

 

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 地球環境センター 東京事務所 事業第一グループ(担当:高橋、石原)
TEL:03-6801-8860
Email: jcm-info@gec.jp