令和5年度二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の公募における第四回採択案件の決定について

 公益財団法人地球環境センター(GEC)は、途上国等において優れた脱炭素技術等を活用して温室効果ガスの排出削減を行い、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)に基づくクレジットの獲得を目指す「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」について、今般、9件を第四回分として採択しました。
 今後も、「地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)」等に基づき、「二国間クレジット制度(JCM)」を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進していきます。

事業内容

 本事業は、優れた脱炭素技術等を活用し、途上国等における温室効果ガス排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行っていただく事業に対して、初期投資費用の1/2を上限として補助を行います。
 途上国等における温室効果ガスの排出を削減するとともに、二国間クレジット制度(JCM)を通じて我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に活用することを目的としています。また、「地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)」、「環境省 COP26 後の6条実施方針(令和3年11月環境省発表)」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月閣議決定)」等に沿って、相手国のニーズを深く理解した上で先進的な脱炭素技術等を普及・展開することにより、世界の脱炭素化に貢献することが期待されています。

選定した案件の概要

 GECは、環境省から「令和5年度から令和7年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業)」の交付決定を受け、当該補助金の執行団体として、令和5年4月6日(木)~11月30日(木) 12:00(正午)まで、日本の民間企業等を対象に公募を行ってきました。
  このたび、書面審査、ヒアリング審査及びその結果を踏まえた採否審査を実施した上で、日本と各JCMパートナー国との間で設置された合同委員会において採択に異論が無いことを確認し、下記のとおり、9件を第四回採択分として選定しました。今後、交付決定の手続等を進め、JCMの実施に向けた取り組みの一環として、これらの事業を進めていきます。

【令和5年度 JCM設備補助事業 第四回採択案件一覧】

No. パートナー国 代表事業者 事業名 想定GHG削減量
(tCO2/年)
 14 ベトナム社会主義共和国 イーレックス株式会社 トゥエンクアン省における50MWバイオマス発電事業 83,118
 15 ベトナム社会主義共和国 イーレックス株式会社 イエンバイ省における50MWバイオマス発電事業 81,802
 16 ベトナム社会主義共和国 第一実業株式会社 ドンナイ省ビエンホア市の食品工場へのバイオマスコージェネレーションシステムの導入 24,967
 17 ベトナム社会主義共和国 関西電力株式会社 工場群への15MW屋根置き太陽光発電システムの導入による電力供給事業 5,192
 18 ベトナム社会主義共和国 丸紅株式会社 医療機器工場、食品工場及び自動車部品工場への4.1MW屋根置き発電システムの導入 1,463
 19 ベトナム社会主義共和国 東京センチュリー株式会社 繊維製品製造及び化学製品製造工場への1.9MW屋根置き太陽光発電システムの導入 739
 20 ベトナム社会主義共和国 関西電力株式会社 プラスチック製品工場への1.25MW屋根置き太陽光発電システムの導入による電力供給事業 393
 21 チュニジア共和国 株式会社ユーラスエナジーホールディングス トズール地域における50MW太陽光発電プロジェクト 48,157
 22 チュニジア共和国 株式会社ユーラスエナジーホールディングス シディブジッド地域における50MW太陽光発電プロジェクト 47,101

【添付資料】

参考情報

【参考1】令和5年度の本事業第一回採択案件(令和5年8月17日発表)
https://gec.jp/jcm/jp/kobo/mp230817/

【参考2】令和5年度の本事業第二回採択案件(令和5年10月5日発表)
https://gec.jp/jcm/jp/kobo/mp231005/

【参考3】令和5年度の本事業第三回採択案件(令和6年2月2日発表)
https://gec.jp/jcm/jp/kobo/mp240202/

【参考4】地球温暖化対策計画(令和3年10 月閣議決定)におけるJCMの位置付け
 途上国等への優れた脱炭素技術、製品、システム、サービス、インフラの普及や対策実施を通じ、実現したGHG 排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国のNDCの達成に活用するため、JCMを構築・実施していく。これにより、官民連携で 2030年度までの累積で、1億 t-CO2 程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標とする。
 令和6年3月現在のパートナー国は、モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国及びウクライナの29か国。
 ●地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定) 
  http://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html

【参考5】環境省 COP26 後の6条実施方針(令和3年11月発表)
 国連気候変動枠組条約第 26 回締約国会議(COP26)において、パリ協定6条(市場メカニズム)ルールの大枠が合意された。市場メカニズムを活用した世界での排出削減が進展することが期待される。6条ルール交渉をリードし、世界に先駆けてJCMを実施してきた我が国として、以下3つのアクションを通じて、世界の脱炭素化に貢献する。
 <3つのアクション>
 1.JCMのパートナー国の拡大と、国際機関と連携した案件形成・実施の強化
 2.民間資金を中心としたJCMの拡大
 3.市場メカニズムの世界的拡大への貢献
 ●参考サイト https://www.env.go.jp/annai/kaiken/files/r04/cop26%206jou.pdf

【参考6】新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月閣議決定)(抄)
 JCM の拡大のため、2025年を目途にパートナー国を30 か国程度とすることを目指し、関係国との協議を加速するとともに、2022 年度に民間資金を中心とする JCM プロジェクトの組成ガイダンスを策定し普及を行う。
 ●フォローアップ(令和4年6月閣議決定) 
  https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/fu2022.pdf

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 地球環境センター 東京事務所 事業第一グループ(担当:高橋、石原)
TEL:03-6801-8860
Email: jcm-info@gec.jp