令和6年度二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の公募における第二回及び第三回採択案件の決定について

 公益財団法人地球環境センター(GEC)は、途上国等において優れた脱炭素技術等を活用して温室効果ガスの排出削減を行い、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)に基づくクレジットの獲得を目指す「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」について、今般、令和6年度事業の第二回採択案件として1件、第三回採択案件として2件を採択しました。
 今後も、「地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)」等に基づき、「二国間クレジット制度(JCM)」を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進し、世界の脱炭素化に貢献していきます。

二国間クレジット制度とは

 二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)とは、グローバルサウス等のパートナー国で、日本企業や日本政府が技術や資金の面で協力して対策を実行し、追加的に得られた温室効果ガス(GHG)の削減や吸収の効果を、パリ協定6条に沿ってクレジット化し、パートナー国側と日本側で分け合う仕組みです。
 日本とパートナー国双方のNDC(Nationally Determined Contribution:排出削減目標)に貢献し、かつ民間企業の参画により両国の経済が活性化することが期待されます。さらに、パートナー国側の社会・経済・環境面の各種課題の解決(持続可能な発展)にも寄与するものです。
 2013年にモンゴルとの間で初めて署名して以来、これまでに29か国※とJCMを構築し、250件以上のプロジェクトを実施中です。官民連携で2030年度までの累積総量で、1億トン程度の国際的なGHGの排出削減・吸収の実現を目指しています。

※モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイ、フィリピン、セネガル、チュニジア、アゼルバイジャン、モルドバ、ジョージア、スリランカ、ウズベキスタン、パプアニューギニア、UAE、キルギス、カザフスタン、ウクライナ

二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の概要

 二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業では、パートナー国において優れた脱炭素技術等を活用して温室効果ガス(GHG)の排出量を削減し、GHG排出削減効果の測定・報告・検証を行い、JCMクレジットを発行し、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に活用することを目指します。

選定した案件の概要

 GECは、環境省から「令和6年度から令和8年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業)」の交付決定を受け、当該補助金の執行団体として、令和6年4月5日(金)~11月29日(金) 12:00(正午)まで、日本の民間企業等を対象に公募を行ってきました。
 このたび、書面審査及びヒアリング審査を踏まえ、パートナー国の合意を得た令和6年度事業の3件を第二回及び第三回採択分として選定しました。
 今後、交付決定の手続等を進め、JCMの実施に向けた取り組みの一環として、これらの事業を進めていきます。

【令和6年度 JCM設備補助事業 第二回採択案件一覧】

No. パートナー国 代表事業者 事業名 事業概要 想定GHG
削減量
(tCO2/年)
 4 モンゴル
アジアゲートウェイ株式会社
ドルノゴビ県エルデネにおける15MW太陽光発電・80MWh蓄電池導入プロジェクト 15MWの太陽光発電と80MWhの蓄電池システムを導入し、発電した電力を蓄電池の活用も通じて効率的に売電することで、系統電力を再生可能エネルギー由来電力で置き換え、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。同時に、モンゴルにおけるエネルギーインフラの強化に貢献する。 16,396

【令和6年度 JCM設備補助事業 第三回採択案件一覧】

No. パートナー国 代表事業者 事業名 事業概要 想定GHG
削減量
(tCO2/年)
 5 インドネシア 関西電力株式会社 自動車部品工場への0.8MW屋根置き太陽光発電システムの導入 0.8MWの太陽光発電システムを導入し、発電した再生可能エネルギー由来電力を工場内で自家消費することで系統電力の消費量を削減し、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 681
 6 パラオ シードおきなわ合同会社 リゾートホテルにおける0.6MW太陽光発電システムおよび0.3MWh蓄電池の導入 0.6MWの太陽光発電と0.3MWhの蓄電池システムを導入し、発電した電力を蓄電池の活用も通じて効率的に売電することで、系統電力を再生可能エネルギー由来電力で置き換え、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。同時に、パラオにおける再生可能エネルギーの活用モデルとなることを目指す。 506

【添付資料】

参考情報

【参考1】地球温暖化対策計画(令和3年10 月閣議決定)〔抄〕
 途上国等への優れた脱炭素技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国のNDCの達成に活用するため、JCMを構築・実施していく。これにより、官民連携で2030年度までの累積で、1億t-CO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標とする。
 ●地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定) 
  http://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html

【参考2】環境省COP26後の6条実施方針(令和3年11月発表)〔抄〕
■COP26※において、パリ協定6条(市場メカニズム)ルールの大枠が合意、市場メカニズムを活用した世界での排出削減が進展することが期待される。
■6条ルール交渉をリードし、世界に先駆けてJCMを実施してきた我が国として、以下3つのアクションを通じて、世界の脱炭素化に貢献する。
 <3つのアクション>
 1.JCMのパートナー国の拡大と、国際機関と連携した案件形成・実施の強化
 2.民間資金を中心としたJCMの拡大
 3.市場メカニズムの世界的拡大への貢献
※国連気候変動枠組条約第26回締約国会議  
 ●参考サイト https://www.env.go.jp/annai/kaiken/files/r04/cop26%206jou.pdf

【参考3】新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月閣議決定)〔抄〕
 JCM の拡大のため、2025年を目途にパートナー国を30か国程度とすることを目指し、関係国との協議を加速するとともに、2022年度に民間資金を中心とするJCMプロジェクトの組成ガイダンスを策定し普及を行う。
 ●フォローアップ(令和4年6月閣議決定) 
  https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/fu2022.pdf

【参考4】令和6年度の本事業第一回採択案件(令和6年10月18日報道発表)

本件に関するお問い合わせ先

公益財団法人 地球環境センター 東京事務所 事業第一グループ(担当:高橋、石原)
TEL:03-6801-8860
Email: jcm-info@gec.jp