染色加工工程の総合的省エネ促進プログラム

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名染色加工工程の総合的省エネ促進プログラム
調査年度2012年度
調査団体株式会社PEARカーボンオフセット・イニシアティブ
調査協力機関Green Project W.S.T
調査対象国・地域 バングラデシュ
対象技術分野 省エネルギー
対象削減ガス 二酸化炭素(CO2)
CDM/JI CDM
報告書概要版
詳細版
資料編
PoA-DD(案)
CPA-DD(案)
参考PPT資料
 プロジェクトの概要当該プロジェクトは、繊維加工業が大きく伸びてきているアジアの最貧国バングラデシュで、多くの既存の繊維加工工場において「省エネ+節水+環境負荷軽減」を実施するプログラムCDM(PoA)である。
当該PoAは、繊維産業の工場(1,000あまりの工場がある)において、圧倒的にエネルギーと水(と化学薬品)を使用する染色機における染色プロセスを最適化し,染色時間の短縮によって電力・蒸気の消費量の削減できる。
適用方法論 AMS-II.D (ver. 12)
ベースラインの設定当該PoAにおけるCPAのベースラインは、各工場での染色工程において従来型の染色手法を用い続け、CDMとならない場合には、そのファシリティーが使い続けられる限り、エネルギー絶対量として過去の平均水準で水とエネルギーを消費し続けると想定することになる。
モニタリング

当該PoAの調整管理組織であるW.S.Tを中心に、全体のモニタリングが実施される。
モニタリングにおける各実施機関の役割とモニタリング項目は以下の通り:
モニタリング項目(モニタリング頻度):

  • プロジェクトにおける年ごとのバッチの数(月ごとに集計)
  • 染色機における水消費量(バッチごと)
  • 染色機における電力消費量(バッチごと)
  • 染色機における蒸気消費量(バッチごと)
  • 工場に給電する発電所における年間発電量および燃料消費量(年一度)
GHG削減量 1,627tCOs/年 (CPA 1)
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間 PoAは28年;各CPAは10年
環境影響等当該PoAの実施により、環境への負の影響はないと思われる。さらに、当該PoAで推進する技術は、染色手法の変化を図るもので、工場での既存の機械・設備などの変化を必要しない。各工場はバングラデシュ政府の環境保全規定(The Environment Conservation Rules, 1997)にしたがって、環境省(または地方レベルでの対応機関)より環境認可証明書(ECC)を取得しており、当該PoAのために環境認可証明書を取得する必要はない。
追加性の証明 "GUIDELINES FOR DEMONSTRATING ADDITIONALITY OF MICROSCALE PROJECT ACTIVITIES, version 04"のパラグラフ3によって、論証を行う。
事業化に向けてCDM 化に必要となる資金は、基本的に各CPAの実施工場が提供者であり、CDM事業に積極的なことから資金的要因が事業化の障害になることは考えにくい。また、本プロジェクトで使用予定の技術もバングラデシュ国内で使われていないが、染色の分野では成熟した(使われなくなった)技術である。W.S.Tの指導・推進でCPA1の実施によって、横展開においても、技術的要因が事業展開のうえで障害になる可能性は低い。
プログラム型CDMの普及シナリオCPA2に対する調査・データ収集は完成し、その他の15の工場において調査が進んでおり、2015年までに30の工場で技術の導入の実現予定である。
ホスト国における持続可能な開発への寄与 当該PoAは、下記の環境面での貢献を通して、バングラデシュの持続可能な開発へ寄与できる。
 バングラデシュには、飲み水のために地下水が主に使われており、近年、織維加工工場の数の増加に伴う地下水の大量の利用により、ダッカ周辺で地下水位の低下が著しくなっている。当該PoAは,節水・省エネ技術の推進によって,織維加工工場における水の消費量を削減でき,水安全保障において意義を持つ。
 PoAによって導入される技術は、染色におけるエンザイム(酵素)処理をなくすことで,労働者の労働環境の改善ができる。エンザイム処理された織維を扱う場合、長期的に労働者の呼吸器官などに健康面での悪影響が生じる。