ベトナム・二輪車両整備技術導入を通じたCO2排出削減CDM実現可能性調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名ベトナム・二輪車両整備技術導入を通じたCO2排出削減CDM実現可能性調査
調査年度2010(平成22)年度
調査団体パシフィックコンサルタンツ株式会社
調査協力機関株式会社タンスイ 他
調査対象国・地域ベトナム(ホーチミン市)
対象技術分野交通
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間2012年~2021年(10年間)
報告書
プロジェクトの概要調査対象地域において使用されている既存の自動二輪車両を対象として、自動二輪を適切に整備する技術・機器・体制の整備、それらを用いた自動二輪の検査・整備を実施することで、温室効果ガス(CO2)の排出削減と同時に大気汚染物質の排出削減を実現するプロジェクトのCDM実現可能性を調査する。実施する項目は以下のとおり。
    1. 排気ガス計測機器の整備
    2. バイクの燃費向上に資する対策(整備)の実施体制の構築
    3. 自動二輪の排気ガス対策(技術や機器)の教育啓発
 これらの整備の継続的な実施により、年間で15,075tCO2の温室効果ガス排出削減を見込んでいる。
適用方法論本FS内で開発した新方法論
ベースラインの設定 ベトナム・ホーチミン市では、自動二輪の定期的な整備を義務付ける法律や規制が現時点では存在しない。将来的には、排気ガス規制の導入が検討されているが、これまでの経緯から考えても、排気ガス規制が順調に導入されるかどうかも不透明であり、かつ導入されたとしてもそれらを順守するための体制(検査体制や整備体制)の構築が、費用や技術の問題から困難であることが想定される。車両の整備技術についても、適正な車両整備に関する知識や技能が不足しているため、適正な整備を行うことが出来ない事が想定される。
 このような状態が今後も継続することで、適正な整備を受けずに走る燃費の悪い自動二輪により、より多くの燃料(ガソリン)が使用され続ける状況をベースラインシナリオとして設定する。
追加性の証明 本プロジェクトの追加性は、投資分析、障壁分析、一般慣行分析により証明を行う。

①投資分析:
     本プロジェクトに関しては、CDMを考慮せずに事業を実施した場合、ベンチマークIRRを下回るため、投資的魅力がないと判断される。
②障壁分析:
     ベトナムにおいて、自動二輪の整備技術水準は低い状況である。その理由としては、車両整備を実施するのが街中の自営業者が多く、適正な整備技術に関する教育を受けていないためである。よって、プロジェクト活動には、技術的障壁が存在すると考えられる。 この技術的障壁を克服するために、日本からの専門的な技術移転が必要となる。
③一般的慣行分析:
     自動二輪の適正な整備事業が、ベトナムでは一般的な行為ではないことを証明する。現在の一般的慣行は、街中の個人自営の整備業者による簡易的な整備のみであり、新規排出ガス規制に対応可能な整備を行うことは、従来では行われない行為である。
GHG削減想定量2012年~2021年:139,340tCO2
年間平均:13,934tCO2/年
モニタリング モニタリングは定期整備(3ヶ月に1回程度と想定)の際、プロジェクト対象とした車両整備場で検査・整備を受けた自動二輪を対象とした排気ガスの測定検査と燃費についてのモニタリング調査を実施する。
 モニタリング計画に沿って収集されるべき全てのデータは電子的に保管を行い、最後のクレジット期間の終了後、最低でも2年間は保存する。
 モニタリングにおいて、対象車両を厳密に特定するために、プロジェクト対象となる整備場を利用するユーザーに対しては、利用者及び対象車両の特定に結びつく情報の提供を求めるものとする。
環境影響等 本事業については、ベトナム国における環境影響評価実施の対象事業としては位置づけられないため、環境影響評価は実施しない。
 今回のプロジェクト活動の効果としては、大気汚染物質(一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物や粉塵など)の排出抑制であり、全て正のインパクトである
事業化に向けて ホーチミン市との協議を進め、排ガス測定に関する協議会設立後、整備場の場所の確保、整備・検査機器の導入、整備技術者に対する技術講習会の開催などについて早期に目処を立てるとともに、新規方法論の早急な承認を目指す。
「コベネフィット」効果
(ローカルな環境問題の改善の効果)
 バイクや自動車などの移動発生源に対する排出ガス規制として使用されている、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物の中から、炭化水素(HC)を評価指標として選定する。
ホスト国における持続可能な開発への寄与-