中国・コークス工場廃ガス利用発電CDM事業調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名中国・コークス工場廃ガス利用発電CDM事業調査
調査年度2008(平成20)年度
調査団体イー・アンド・イーソリューションズ株式会社
調査協力機関日本テピア株式会社、陝西海燕焦化集団公司
調査対象国・地域中国(陝西省韓城市)
対象技術分野その他(廃ガス利用)
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間2009~2019、10年間・更新無し
報告書
プロジェクトの概要中国・陝西省に立地する陝西海燕焦化集団公司において、新規コークス生産プロセス(生産規模:100万トン/年)が建設され、コークスの製造過程で約27,400Nm3/hrのコークス炉ガス(COG)が生成され、未利用のまま大気中に放散される。本プロジェクトは、このCOGを回収し、163,800MWhの発電を行う。発電した電力は西北電網(NWPG)に売電しグリッドの電力の代替を行う。排ガス発電に伴うGHG排出はなく、削減効果が期待できる。
 期待される年間GHG排出削減量は年間143,653トンと予測されている。
ベースラインの設定 本プロジェクトの地理的バウンダリーには、COGを発生するコークス工場、COGを回収・利用する発電プラント、および西北電網(NWPG)が含まれる。ベースライン排出源としては、NWPGでの化石燃料を利用した発電に伴って排出されるCO2が含まれる。プロジェクト排出量およびリーケージ排出量はゼロである。
 ベースラインはCOGのフレア処理と大気放散である
追加性の証明 本プロジェクトは、以下のような複数の実施を妨げるバリアに直面しており、CDMによりそれらが取り除かれることから、追加性を有する。
投資バリア
     投資分析によれば、プロジェクトのIRRはクレジット収益なしでは、ベンチマークIRRを下回り済的なメリットが生じない。一方でクレジット収益を考慮した場合、IRRはベンチマークを上回った。
②一般慣行バリア
     陝西省におけるコークス向上のCOG利用事例の調査によれば、CDMを適用せず実施された同様のプロジェクト例は存在せず、プロジェクトは追加的であると考えられた。
GHG削減想定量 年間平均143,653tCO2、1,436,526tCO2/10年間
モニタリング ACM0012に基づきプロジェクトにおける総発電量、発電に関する自家消費電力量、発電に使用されたCOGガス量がモニタリングされる。
 モニタリングデータは電気的に記録されプロジェクトのクレジット期間終了後2年後まで保持される。
環境影響等 本プロジェクトは以下のように環境改善に貢献する。
  • 総合的な廃ガス資源利用に資すると共に、エネルギーの有効利用、廃熱汚染の防止に貢献する。
  • グリッドにおける石炭燃焼による発電電力の削減に貢献することで、大気汚染の防止効果がある(SO2, TSP)。
 排ガスによる直接的な熱汚染、大気汚染の防止につながる。
事業化に向けて 本プロジェクトの事業化に当たっての問題点は特にない。
 本調査によりPDDが作成され次第、速やかにValidationの手続きに入る計画となっている。
コベネフィットの実現 ボイラ排ガス処理装置による脱硫率を約70%とすると年間97tのSO2が除去される。
 本プロジェクトによる化石燃料削減効果により1,062t/年相当のSO2発生が回避される。