ウクライナ・ベラヤツェルコフ埋立処分場メタンガス利用調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名ウクライナ・ベラヤツェルコフ埋立処分場メタンガス利用調査
調査年度2007(平成19)年度
調査団体清水建設株式会社
調査協力機関ベラヤツェルコフ市役所、中国電力(株)
調査対象国・地域ウクライナ国ベラヤツェルコフ市
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)
CDM/JIJI
プロジェクト実施期間/
クレジット獲得期間
2009年~2023年/2009年~2012年
報告書
プロジェクト概要 本プロジェクトは、ウクライナ国ベラヤツェルコフ市において、埋立処分場から発生するメタンガスを主成分とするランドフィルガス(LFG)を既存の地域暖房プラントにて有効利用し、余剰分をフレア処理するものである。このプロジェクト対象の埋め立て処分場の面積は約11haであり、1983年に運用が開始され、2012年頃まで搬入される予定である。
 本プロジェクトでは、埋立処分場にLFG収集のための収集パイプを敷設し、ガスの収集・処理を行う。約2km離れた地域暖房プラントまでパイプを敷設し、収集したLFGを供給し、既存ボイラの燃料の一部として利用する。また、ボイラで利用できないLFGは、フレアスタックによって燃焼/破壊処理する。
 このシステムによるLFGの熱利用により、既存ボイラプラントにおける燃料(天然ガス)使用量が削減され、省エネルギー及び温室効果ガス排出削減が期待される。また、ボイラで利用できないLFGについてもフレアスタックによる燃焼/破壊処理によってメタンを二酸化炭素に変換することができるため、温室効果ガス排出削減の効果がある。
 システムは、ガス回収設備(垂直抽出井戸、水平配管、ブロアー設備、気密シート)、ガス処理設備、ガス貯留設備、LFG用バーナー、フレア設備からなる。
ベースラインの設定・追加性の証明ベースラインの設定:
 本プロジェクトでは、「統合化ベースライン方法論 ACM0001/ Version8 ランドフィルガスプロジェクト活動のための統合化ベースライン方法論」を適用する。
 ベースラインは以下のシナリオを設定した。
  • LFGの取扱い:LFGの回収は全く行われない。
  • 地域暖房プラントにおける燃料:天然ガス(現状維持)
追加性の証明:
 追加性は、追加性の証明ツール(Tools for the demonstration and assessment of additionality)を用いて行う。この中で、ベースラインシナリオの特定を行い、その立証をスクリーニングと投資分析により行う。投資分析では、プロジェクトがベースラインではないことの証明を、ベンチマークを用いて行う。
GHG削減量410,063t-CO2(2009年~2023年の合計)の見込み
モニタリング 本プロジェクトでは、「統合化モニタリング方法論 ACM0001/ Version8 ランドフィルガスプロジェクト活動のための統合化モニタリング方法論」を適用する。
環境影響等 このプロジェクトは、
  • 処分場の悪臭防止という環境改善効果
  • LFGの回収による大気中への汚染物質排出削減という環境改善効果
  • 処分場の火災事故防止という環境改善効果
  • 地域暖房システムにおける化石燃料の代替効果
など、環境に対して好影響をもたらし、環境保護に関する政策に合致する。
事業化に向けて 本プロジェクトでは、日本側のプロジェクト参加者がプロジェクトの初期投資に見合う資金の拠出を行うが、建設工事の発注、プロジェクトの運営(モニタリング、機器の運転・保守、経理業務、ERUの管理、外注・委託契約、人事、報告等)はすべてベラヤツェルコフ市、およびプロジェクト実施企業が実施する予定である。
 本プロジェクトは、2008年下期に工事を実施し、2009年1月稼動へ向けて準備を進める予定である。プロジェクトの実施期間は、15年間を予定している。
 本プロジェクトにおいては固形廃棄物搬入量予測値の不確実性、LFG発生量の予測不確実性、プロジェクト期間の設定等のリスクの存在もあることから、プロジェクトを進めるにあたっては、それらリスクを慎重に見極めることが必要であると考えている。