ヨルダン・アルカイデル埋立処分場メタンガス利用調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名ヨルダン・アルカイデル埋立処分場メタンガス利用調査
調査年度2007(平成19)年度
調査団体清水建設株式会社
調査協力機関イルビット公共サービス委員会、El Concolde
調査対象国・地域ヨルダン・ハシェミット王国イルビット市
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/
クレジット獲得期間
2008年~2022年/2009年~2012
報告書
プロジェクト概要 本プロジェクトは、ヨルダン・ハシェミット王国イルビット市において、アルカイデル(Al Akidar)埋立処分場から発生するメタンガスを主成分とするランドフィルガス(LFG)を回収し、フレアスタックによって燃焼・破壊処理するものである。このプロジェクト対象の埋め立て処分場の全体面積は60ha、プロジェクト対象面積は約12haであり、1990年に運用が開始され、今後当分の間、埋立処分場として稼働する予定である。
 本プロジェクトでは、埋立処分場にLFG収集のための収集パイプを敷設し、ガスの収集・処理を行う。収集したLFGをフレアスタックに送り、燃焼/破壊処理する。これによってメタンを二酸化炭素に変換することができるため、温室効果ガス排出削減の効果がある。
 システムは、ガス回収設備(垂直抽出井戸、水平配管、ブロアー設備、気密シート)、ガス処理設備、ガス貯留設備、フレア設備からなる。
 なお、回収したLFGは発電の燃料に利用することもできるが、現時点ではLFGの量がはっきりしないことと、発電電力の売電単価が低いことが理由となって、発電利用はプロジェクトに含めていない。
ベースラインの設定・追加性の証明ベースラインの設定:
 本プロジェクトでは、「統合化ベースライン方法論 ACM0001/ Version8 ランドフィルガスプロジェクト活動のための統合化ベースライン方法論」を適用する。
 ベースラインは以下のシナリオを設定した。
  • LFGの取扱い:LFGの回収は全く行われない。
追加性の証明:
 追加性は、追加性の証明ツール(Tools for the demonstration and assessment of additionality)を用いて行う。この中で、ベースラインシナリオの特定を行い、その立証をスクリーニングと投資分析により行う。投資分析では、プロジェクトがベースラインではないことの証明を、ベンチマークを用いて行う。
GHG削減量601,847t-CO2(2009年~2022年の合計)の見込み
モニタリング 本プロジェクトでは、「統合化モニタリング方法論 ACM0001/ Version8 ランドフィルガスプロジェクト活動のための統合化モニタリング方法論」を適用する。
環境影響等 このプロジェクトは、
  • 処分場の悪臭防止という環境改善効果
  • LFGの回収による大気中への汚染物質排出削減という環境改善効果
  • 処分場の火災事故防止という環境改善効果
など、環境に対して好影響をもたらし、環境保護に関する政策に合致する。
事業化に向けて 本プロジェクトでは、日本側のプロジェクト参加者がプロジェクトの初期投資(建設費の負担等)を行うが、それ以外のプロジェクトの運営(モニタリング、機器の運転・保守、経理業務、CERの管理、外注・委託契約、人事、報告等)はすべてイルビット公共サービス委員会が実施することを前提として交渉を進めているが、本調査の協力機関であるEl Concorde社がプロジェクト実施者となって運営を行うことも、検討されている。
 本プロジェクトは、2008年下期に工事を開始し、2009年1月稼動へ向けて準備を進める予定である。プロジェクトの実施期間は、14年間を予定している。
 本プロジェクトにおいては固形廃棄物搬入量予測値の不確実性、LFG発生量の予測不確実性、プロジェクト期間の設定等のリスクの存在もあることから、プロジェクトを進めるにあたっては、それらリスクを慎重に見極めることが必要であると考えている。