インドネシア・ランポン州タピオカ廃液からのメタン回収事業調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名インドネシア・ランポン州タピオカ廃液からのメタン回収事業調査
調査年度2007(平成19)年度
調査団体JFEテクノリサーチ株式会社
調査協力機関ランポン大学(インドネシア)  鹿島建設㈱
調査対象国・地域インドネシア共和国ランポン州東ランポン県
対象技術分野バイオマス利用(廃液からのメタン回収)
対象削減ガスメタン(CH4)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/
クレジット獲得期間
7年/7年
報告書
プロジェクト概要カウンターパートであるPT.WIRAKENCANA ADIPERDANAの運営するタピオカ澱粉製造
 Kedaton工場(Ds.Kedaton Kec.Sukadana Kab.Lampung Timur)を対象サイトとし、タピオカ澱粉製造廃液から高濃度メタンを含むバイオガスを回収し、既設デイーゼル発電設備代替としてバイオガス発電設備を新設し、その電力をオンサイトで使用することを目的としたプロジェクト(以下、本プロジェクト)に関するCDM事業化調査を行った。同工場のタピオカ澱粉生産量を日量92トン、年間稼動日数260日、対象廃液のCOD濃度を15,000(mg/l)、年間廃液発生量を431,860m3と設定した。本プロジェクトに適用を予定している技術は、短い滞留時間(HRT: Hydraulic Retention Time)で安定したメタン発酵が行える密閉型発酵槽方式である。発酵槽内にはタピオカ製造工程で発生するオンゴック(Onggok)を微生物固定化担体として初期充填し、短HRTと安定したメタン発酵を実現する。ガスエンジンはドイツ製のパッケージ型エンジン1,024kWを予定している。
ベースラインの設定・追加性の証明 ACM0014Ver.01に従い、代替シナリオを設定し障壁分析を行った結果、妥当なベースラインシナリオは、廃液処理については開放型ラグーンで処理を行ない、発電については化石燃料を用いた自家発電を行う現状が継続するシナリオであった。
 “Tool for the demonstration and assessment of additionality” (version 04).を用いて、追加性の証明の検討を行った。対象サイトのあるランポン州では、40以上のタピオカ工場が稼動している。ホスト国のタピオカ加工業界にとっては、提案している密閉型メタン発酵槽のような技術の適用には、投資障壁、技術的障壁、一般的慣行上障壁、社会的障壁お呼びビジネス文化障壁が存在し、提案されているプロジェクトの実施予定地域及び産業分野において同種のプロジェクトは現在運用されていない。よって、提案されているプロジェクトは追加的である。
GHG削減量28,661トンCO2e/年   200,627トンCO2e/7年
モニタリング モニタリング計画は下図のとおりである。
 相手国協力機関であるランポン大学が、モニタリング・分析指導をPT.Wiraに対し実施する予定である。
環境影響等 本プロジェクト実施により、温室効果ガスの発生抑制、周辺の臭気低減効果、最終放流先の水質改善、エンジン排気ガスによる大気汚染の低減等の環境に対する好影響を与えることができる。
 2006年に布告された環境省令(No.11 of 2006)により、既存のタピオカ工場廃液処理プロセスからのバイオガス回収プラント及び10MW以下の発電設備の建設に関しては、新たなEIA(環境影響アセスメント;Environmental Impact Assessment, Analysis Mengenai Dampak Lingkungan/AMDAL)は不要となった。但し、環境マネージメント(Environmental management, Upaya Pengelolaan Lingkungan/UKL)及び環境モニタリング計画(Environmental monitoring plan,Upaya Pemantauan Lingkungan/UPL)を提出しなければならない。
事業化に向けて 本事業に適用を予定している技術は、短い滞留時間で安定したメタン発酵が行える密閉型発酵槽方式である。機器調達については,国際調達を行う。建設に関しては現地工事会社の起用を想定している。現時点での設備建設コストは、5億円であった。
金利前・税前の条件で本プロジェクトのIRRを試算した結果、プロジェクト期間を7年、CER売却価格を10US$以上と想定した場合、IRRは10%を超え、事業収益性はよいと判断できた。
 投資回収年数検討結果は4年であった。一方、プロジェクト稼働日数低下に関するリスクが高く、IRRに大きく影響を与えることが判明した。プロジェクト稼働日数確保の為には、キャッサバ品種改良による生産性の向上、キャッサバ買い上げ価格の安定化等インドネシア官民挙げての対策が必要であろう。その他、必要投資額の圧縮によるIRRの向上、2013年以降のCER市場の安定的継続、運転・保守管理主体の決定、リスク及びベネフィットの参加者間での分担についての取り決めが今後の課題である。更にホスト国においては、CDM事業登録までに時間がかかるということがいわれている。実用化段階では、DOE選定も含め、時間的ロスの最小化を計る必要があると考える。