廃棄物埋立処分地から発生するメタンガスを利用した木炭等製造とその有効利用調査

公益財団法人 地球環境センター

CDM/JI事業調査結果データベース

調査名廃棄物埋立処分地から発生するメタンガスを利用した木炭等製造とその有効利用調査
調査年度1999(平成11)年度
調査団体(財)オイスカ
調査対象国・地域フィリピン(メトロマニラ)
調査段階プロセス2:プロジェクトの実現可能性の調査
調査概要廃棄物埋立処分地から発生するメタンガスを熱源として利用し、廃木材から木炭などを製造することによって、メタンガスの排出抑制による地球温暖化の防止を図るとともに、木炭による埋立処分地からの浸出水の水質改善などの多重効果の可能性を調査した。
調査協力機関マニラ首都圏開発庁、大阪市環境事業局、大阪市立環境化学研究所、大阪市立工業研究所、国際航業株式会社
調


プロセス1※1(調査対象外)
※2




プロジェクト概要サンマテオ廃棄物埋立処分場にガス抜き管を設置し、メタンガスを収集することにより温室効果ガスを削減するプロジェクト。また集めたメタンガスの燃焼エネルギーを利用して、廃木材などを炭化、賦活して活性炭を製造し、それを埋立処分場の浸出水処理に利用して水質改善も図る。
対象GHGガスメタン
対象技術分野廃棄物管理
CDM/JICDM
実施期間2002年10月から2012年末の約10年間を想定
ベースラインサンマテオ埋立処分場は、2001年には埋立処分された廃棄物の合計が5,986,103tonに達し満杯になる。(その後もメタンガスの排出が続く)。
GHG削減量 IPCCガイドラインにより、廃棄物の埋立処分場からの二酸化炭素(バイオマス起源)はGHG排出と見なさないので、削減対象ガスはメタンガスのみとし、収集したメタンは全て燃焼させるものとして、以下のようにGHG削減量を試算した。

(1)環境庁ガイドライン(平成11年7月)の排出量式および分解年数をもとに埋立処分場から排出されるメタンガスを計算すると、プロジェクトがなかった場合、158,621 (ton)となった(表1)。
このうち70%が収集されると仮定すると、メタン削減量は
158,621 ×70/100=111,035(ton) (CO2換算 2,331,729ton)




(2)炭を賦活する際、使用する発電機用ガソリン燃焼によるGHG排出量は①と比較して非常に微量(0.003%)であるため、無視する。

(3)賦活するのに化石燃料の代わりにメタンガスを使用すればGHGを削減できる。また廃棄木材などを使用して炭を製造し、それを排水処理に利用すれば炭素が固定され、GHGが削減されることになるが、これらも(2)と同様に微量であるため省略する。

 以上より、削減されるGHG量は 2,331,729t-CO2
費用(1)初期投資
 ガス抜き施設と活性炭製造装置の建設に必要な費用 116,032,000円

(2)運転・維持管理(O&M)費
 人件費、発電用燃料費、定期補修費 計 40,644,500円
 
 よって、総事業費は156,676,500円
費用/GHG削減量156,676,500÷2,331,729=67.24円/tCO2
モニタリング埋立ガスのモニタリング項目として、外気温度、ガス温度、発生ガス量、メタン濃度、一酸化炭素濃度、アンモニア濃度、硫化水素濃度。
GHG削減以外の影響・ガス抜き装置の設置により、メタンガスなどを収集するため、埋立処分場の火災や爆発事故が激減し、廃棄物の発酵・安定化を促進することができるので、跡地利用の安全かつ早期実現が可能となる。

・廃木材などから炭を作れば、廃材の再利用が可能となり、リサイクルが拡大される。廃木材に限らず、豊富にある竹材やヤシ殻など、現地で調達可能な素材の再利用も可能である。

・廃木材などで炭を製造すれば、その分埋立処分する量が減り、処分場の延命に繋がる。

・製造した炭や賦活した炭を埋立処分場の浸出水処理に吸着材として使用できる。なお炭や賦活した炭の使い道はこれ以外にも多くあるため、現地で最も効果のある方法を採用すればよい。

・簡単な装置なので、自分たちで実験や改善が可能であり、埋立処分のトータル的な改善への発展や、従事している職員の「やる気」を出させることができる。
実現可能性・埋立完了後に当該埋立地からのガス回収を維持管理していくことは、フィリピン国として初めての試みであり、マニラ首都圏開発庁に本プロジェクトを担当する組織がないので、組織を新設する必要がある。

・埋立ガスの燃焼に関して、1999年に成立したClean Air Actとの整合を図る必要がある。埋立ガス中に含まれる硫化水素を燃焼させると硫黄酸化物が発生するので、その対策を実施しなければならない。

・ガス抜き装置の収集効率(試算では70%とした)が不明であり、この点をさらに調査しなければならない。この効率がプロジェクトの実現可能性に大きく影響する。
他地域への普及効果 ほとんどの発展途上国の廃棄物埋立処分はフィリピンのようにオープンダンピングか衛生埋立処分であるが、衛生埋立処分場であっても、ガス抜き装置の完備した処分場は少ない。

 本プロジェクトは簡単な小型炉を提唱し、どんな国でも汎用性と持続性のあるよう工夫しているので、フィリピン以外の発展途上国でも普及・適応の可能性が高い。
プロセス3※3(調査対象外)
報告書199901.pdf(PDFファイル 273KB)
調査評価・メタンガスを回収し、かつ木炭を製造するなどの環境低負荷型、資源循環型の技術を開発しようとするものであり評価できる。その汎用性を含めたマニュアル作りを行って、温室効果ガス対策のメニューの提案につながることを期待する。

・技術的な側面だけでなく、社会的な側面(特にごみから有価物を回収して暮らす人々の生活向上に寄与すること)にも配慮してプロジェクトを形成する必要がある。
備考

 

※1. プロセス1:
具体的なF/S案件を発掘するため、対象国や技術分野を特定せずに、CDM/JIとして広い可能性を考慮した基礎的な調査
※2. プロセス2:
具体的な調査対象国・調査地域、対象技術分野を前提とした実現可能性調査
※3. プロセス3:
実際に炭素クレジット獲得に向け、プロジェクト設計書の作成、バリデーション、炭素クレジットの投資探しなど、F/S終了後に当たるプロセスを行う調査