平成27年度二国間クレジット制度を利用したプロジェクト設備補助事業の採択案件の決定について(二次募集における第5回採択)
2016年1月12日
公益財団法人地球環境センター(GEC)は、途上国において優れた低炭素技術等を活用してCO2排出削減を行い、二国間クレジット制度(JCM)に基づくクレジットの獲得を目指す「JCM設備補助事業」について、今般、17件を採択しました。今後、各案件を着実に実施することで、世界規模でのCO2排出削減と優れた低炭素技術の海外展開を具体化するとともに、JCMクレジットの獲得を図っていきます。
補助事業の概要
環境性能に優れた低炭素技術・製品は、一般的にコストが高く、途上国への普及が困難という課題があります。これを踏まえ、JCM設備補助事業では、初期投資費用の1/2を上限として資金支援を行うことで、途上国において優れた低炭素技術を活用した機器・製品等を導入していただきます。その際、各案件の事業者(国際コンソーシアム)には、CO2排出削減量の測定・報告・検証(MRV)を行っていただき、JCMクレジットとしての発行を目指していただきます。また、発行されたクレジットの1/2以上を日本国政府に納入していただきます。
採択した案件の概要
GECは、環境省から「平成27年度から平成30年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(リープフロッグ型発展の実現に向けた資金支援事業)」の交付決定を受け、当該補助金の執行団体として、平成27年9月7日(月)から12月18日(金)までの間、JCM設備補助事業の二次募集を実施し、これまでに4件を採択しています(10月19日、11月9日、11月19日、11月26日)。
今般、書面審査、ヒアリングによる二次審査及びその結果を踏まえた最終採否審査を21件実施し、下記のとおり17件を採択しました。今後、各案件を通じて途上国に優れた低炭素技術を導入することで、世界規模でのCO2排出削減と優れた低炭素技術の海外展開を具体化するとともに、JCMクレジットの獲得を図っていきます。
<採択案件の概要>
パートナー国 | 代表事業者 | 案件名 | 想定削減量 (tCO2/年) |
---|---|---|---|
インドネシア | シャープ(株) | ジャカバリン・スポーツシティ1.6MW太陽光発電導入プロジェクト | 1,277 |
インドネシア | 住友ゴム工業(株) | ゴルフボール工場における高効率貫流ボイラ設備の導入 | 329 |
カンボジア | アジアゲートウェイ(株) | インターナショナルスクールへの超軽量太陽光発電システムの導入 | 149 |
ケニア | パシフィックコンサルタンツ(株) | ルピンガジ6MW小水力発電プロジェクト | 16,528 |
ケニア | パシフィックコンサルタンツ(株) | 製塩工場における太陽光発電プロジェクト | 873 |
サウジアラビア | 兼松(株) | 塩素製造プラントにおける高効率型電解槽の導入 | 1,276 |
タイ | ソニーセミコンダクタ(株) | 半導体工場における省エネ型空調システム及び冷凍機の導入 | 2,588 |
タイ | 稲畑産業(株) | タイヤ工場への高効率冷凍機の導入による空調の省エネ化 | 385 |
バングラデシュ | パシフィックコンサルタンツ(株) | 50MW太陽光発電所建設プロジェクト | 41,943 |
バングラデシュ | 荏原冷熱システム(株) | 衣料品タグ工場における省エネ型ターボ冷凍機を利用した空調の効率化 | 519 |
ベトナム | 裕幸計装(株) | 空調制御システムを用いた工場の省エネ | 4,681 |
ベトナム | 裕幸計装(株) | 南部・中部地域の配電網におけるアモルファス高効率変圧器の導入 | 4,360 |
ベトナム | TOTO(株) | 衛生陶器生産工場への高効率焼成炉の導入 | 1,410 |
ベトナム | (株)エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所 | 鋳物工場への高効率電気炉の導入 | 968 |
ベトナム | イオンリテール(株) | ホーチミン市ショッピングモールにおける太陽光発電の導入 | 274 |
モンゴル | シャープ(株) | ダルハン市における10MW太陽光発電事業 | 14,746 |
モンゴル | ファームドゥ(株) | 首都近郊農場での2.1MW太陽光発電による電力供給プロジェクト | 2,707 |
【添付資料】
平成27年度 JCM設備補助事業 採択案件一覧
環境省JCM資金支援事業案件一覧(2013・2014・2015年度)
>>英文ページ
【参考1:二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)の概要】
JCMは、途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、日本の削減目標の達成に活用するものです。
JCMのパートナー国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー及びタイの16か国です。
JCMによって、毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業により、2030年度までの累積で5,000万から1億t-CO2の国際的な排出削減・吸収量を見込んでいます。
<参考サイト>
・新メカニズム情報プラットフォーム:二国間クレジット制度 (JCM)
・(公財)地球環境センター:二国間クレジット制度(JCM)とは
【参考2:COP21首脳会合 安倍総理スピーチ(抜粋)(平成27年11月30日)】
先進的な低炭素技術の多くは、途上国にとってなかなか投資回収を見込みにくいものです。日本は、二国間クレジット制度などを駆使することで、途上国の負担を下げながら、画期的な低炭素技術を普及させていきます。
<参考サイト>
【本件に関するお問い合わせ先】
公益財団法人地球環境センター東京事務所 補助事業グループ(担当:辻、貝原)
住所 :〒113-0033 東京都文京区本郷3丁目19番4号 本郷大関ビル4階
TEL :03-6801-8860
E-mail :jcm-sbsd@gec.jp